1ページ 第1章 計画の概要 1 計画策定の背景 計画策定の背景 区では、令和3年3月に、「目黒区障害者計画(第6期目黒区障害福祉計画・第2期目黒区障害児福祉計画)令和3年度〜令和5年度」を策定し、障害福祉施策を総合的・体系的に推進してきました。 この間、国においては、障害者総合支援法や児童福祉法の改正をはじめ、障害者情報アクセシビリティ*・コミュニケーション施策推進法や医療的ケア*児及びその家族に対する支援に関する法律が制定されました。東京都においては「東京都手話言語条例」が制定されるなど、障害児者に係る重要な法令等の整備が進んでいます。 また、新型コロナウイルス感染症の拡大や引き続く物価高騰などによる社会生活への影響もあり、障害のある人の多様化・複雑化するニーズに的確に対応していくことが必要です。 こうした背景のもと、障害者計画策定に関する調査結果、目黒区地域福祉審議会の答申及び目黒区障害者自立支援協議会の意見等を踏まえて、第7期目黒区障害福祉計画・第3期目黒区障害児福祉計画を含む、目黒区障害者計画を策定します。 法令改正等の動き 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(障害者文化芸術推進法)【新規】 障害のある人による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、文化芸術活動を通じた障害のある人の個性と能力の発揮及び社会参加の促進を目的として、平成30年6月に公布、施行されました。 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー*法)【新規】 視覚障害のある人等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進し、障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的として、令和元年6月に公布、施行されました。 聴覚障害者による電話の利用の円滑化に関する法律【新規】 聴覚障害のある人等の電話による意思疎通を手話等により仲介する電話リレーサービスの制度の創設等の措置により、聴覚障害のある人等による電話の利用の円滑化を図ることを目的として、令和2年6月に公布、同年12月に施行されました。 2ページ 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)【改正】 これまで行政機関等は義務、事業者は努力義務とされていた「合理的配慮*の提供」について、改正法により、事業者も義務化されることとなり、令和6年4月から施行されます。東京都については、平成30年10月に制定した東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例により、法改正に先立ち義務化されています。 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)【新規】 医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職防止を目的として、令和3年6月に公布、同年9月に施行されました。 障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)【新規】 全ての障害のある人が、あらゆる分野の活動に参加するためには、情報の十分な取得利用・円滑な意思疎通が極めて重要であることから、障害のある人による情報の取得利用・意思疎通に係る施策を総合的に推進し、共生社会*の実現に資することを目的として、令和4年5月に公布、施行されました。 東京都手話言語条例【新規】 手話が独自の文法を持つ一つの言語であるとの認識の下、手話を使用しやすい環境づくりを推進することにより、手話を必要とする者の意思疎通を行う権利が尊重され、安心して生活することができる共生社会を実現するため、令和4年9月に施行されました。 児童福祉法等の一部を改正する法律【改正】 児童虐待の相談対応件数の増加など、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化してきている状況等を踏まえ、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化等を行うため、児童発達支援センター*の役割の明確化、機能強化等が規定され、令和4年6月に公布、令和6年4月から施行されます。 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律【改正】 障害のある人等の地域生活や就労の支援の強化等により、障害のある人や難病患者等が地域や職場で生きがい・役割を持ち、医療、福祉、雇用等の各分野の支援を受けながら、その人らしく安心して暮らすことができる体制の構築を目指すため、令和4年12月に公布されました。 3ページ 障害者基本計画(第5次) 共生社会の実現に向け、障害のある人が、自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加し、その能力を最大限発揮して自己実現できるよう支援するとともに、障害のある人の社会参加を制約する社会的障壁*を除去するための障害者施策の基本的な方向が定められています。政府が講ずる障害者施策の最も基本的な計画として、令和5年3月に策定されました。 2 計画の位置づけ 本計画は、障害者基本法に基づく「障害者計画」、障害者総合支援法に基づく「障害福祉計画」、児童福祉法に基づく「障害児福祉計画」に位置付けており、目黒区における障害福祉施策を総合的・体系的に推進していくため、これらを一体的に策定するものです。 障害者計画(第1章から第4章) 障害福祉施策を総合的かつ計画的に推進するための基本となる計画であり、障害福祉施策に関する理念や、区の現状と課題を踏まえた障害のある人に関する具体的な取組を示しています。 障害福祉計画・障害児福祉計画(第5章から第6章) 国の基本指針*に基づき、障害福祉サービス等の必要量を見込み、その提供体制を確保するための基本的事項等を定める、障害福祉サービスに関する実施計画です。 本計画は、目黒区基本計画の補助計画であり、目黒区保健医療福祉計画等の関連する計画との整合を図っています。 国基本方針、障害者基本計画 都東京都障害者・障害児施策推進計画 区目黒区基本構想・目黒区基本計画目黒区実施計画 目黒区障害者計画障害福祉計画・障害児福祉計画 保健医療福祉計画介護保険事業計画子ども総合計画健康めぐろ21 4ページ 3 計画の期間 本計画は、令和6年度〜令和8年度の3年間を計画期間とします。 なお、この計画の具体化は目黒区実施計画及び各年度の予算によるものとします。 国の障害者基本計画は令和5年から令和9年まで 国の障害福祉計画に係る基本指針は令和6年から令和8年まで 目黒区基本計画は、令和4年から令和13年まで 目黒区保健医療福祉計画は令和6年から令和10年まで 目黒区障害者計画第7期目黒区障害福祉計画第3期目黒区障害児福祉計画は令和6年から令和8年まで 5ページ 4 計画の推進 総合的な障害福祉施策の推進 本計画に掲げる目標の実現、サービス基盤の確保のため、福祉部門と他の部門との連携をより深めながら、それぞれの担当部局が障害福祉施策を推進します。また、障害のある人の地域生活への支援や、希望する暮らしの実現のために、行政のみならず、地域福祉審議会や障害者自立支援協議会等の場において、地域における障害福祉に関するネットワークの連携強化により一層努めるとともに、区民の参加と理解・協力を得て、障害福祉施策を総合的に推進します。 また、障害・高齢・子ども・生活困窮など様々な分野にわたる複合的な課題に対応するため、包括的な支援体制の充実を図り、地域包括支援センター*等との連携を強化します。 計画の進行管理 計画の推進にあたっては、毎年度、各取組における実績の把握と分析評価、課題を踏まえた見直しを行い、PDCA*サイクルによる進行管理を行います。評価の結果は公表し、区民や関係者の理解と協力を得ながら、計画を着実に進めていきます。 @ PLAN(計画)目標を設定し、目標達成に向けた方法や方策等を定めます。 A DO(実行)計画に基づき、事業を実施します。 B CHECK(評価)実施内容の実績評価を行います。評価にあたっては、目黒区障害者自立支援協議会等の意見を踏まえるとともに、結果を公表します。 C ACTION(改善)評価結果を踏まえ、必要に応じて計画の見直しを行います。 6ページ 国都他自治体との連携 事業実施においては、関係機関との連携を深め、国、都、区の適切な役割分担をしながら施策を推進します。また、国、都の役割に関して、必要に応じて要望を行うとともに、情報交換を通じて他自治体との連携を深めます。 計画とSDGs SDGs*(エス・ディー・ジーズ:SustainableDevelopmentGoals:持続可能な開発目標)は、平成27年、国連サミットにおいて全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた世界共通の目標です。 令和12年を目標の達成年限として、「誰一人取り残さない、持続可能で多様性と包摂性のある社会」の実現を目指しており、17の目標(ゴール)と169の指標(ターゲット)から構成されています。SDGsの「誰一人取り残さない、持続可能で多様性と包摂性のある社会」とは、本計画が目指す 障害福祉の理念(基本的な考え方)の実現につながるものです。 また、本計画の基本理念や基本目標は、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標10「人や国の不平等をなくそう」、目標11「住み続けられるまちづくりを」をはじめ、SDGsが示す各目標とも共通するものです。 1 貧困をなくそう 2 飢餓をゼロに 3 すべての人に健康と福祉を 4 質の高い教育をみんなに 5 ジェンダー平等を実現しよう 6 安全な水とトイレを世界中に 7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに 8 働きがいも経済成長も 9 産業と技術革新の基盤をつくろう 10 人や国の不平等をなくそう 11 住み続けられるまちづくりを 12 つくる責任、つかう責任 13 気候変動に具体的な対策を 14 海の豊かさを守ろう 15 陸の豊かさも守ろう 16 平和と公正をすべての人に 17 パートナーシップで目標を達成しよう 7ページ 第2章区の障害福祉を取り巻く環境 1障害に関する手帳所持者数等の推移 令和4年度末時点の障害に関する手帳所持者数の合計は9,170人となっています。 障害別では、身体障害者手帳所持者数は5,874人となっており、障害に関する手帳所持者数全体に占める割合は64.1%で最多となっています。次いで、精神障害者保健福祉手帳所持者数は2,000人(全体に占める割合21.8%)、愛の手帳所持者数は1,296人(全体に占める割合14.1%)となっています。 障害種別ごとの手帳所持者数 年度身体障害知的障害精神障害 H30(2018)年度5,915 1,186 1,513 R元(2019)年度 5,819 1,199 1,595 R2(2020)年度 5,811 1,230 1,597 R3(2021)年度 5,812 1,256 1,772 R4(2022)年度 5,874 1,296 2,000 各年度末時点 単位:人 出典:目黒区の健康福祉 8ページ 身体障害者手帳所持者数 身体障害者手帳所持者数は5,900人前後で推移しており、平成30年度から大きな変化はありません。 部位別にみると、平成30年度から令和4年度までのいずれにおいても「肢体不自由」が最も多く、次いで「内部障害」が多くなっています。 部位別の割合でみると、令和4年度において「肢体不自由」が45.5%、「内部障害」が38.8%を占めています。 年度視覚障害聴覚障害音声言語障害肢体不自由内部障害合計 H30(2018)年度368456732,9002,1185,915 R元(2019)年度367446662,8072,1335,819 R2(2020)年度374441662,7592,1715,811 R3(2021)年度374441662,7602,1715,812 R4(2022)年度387457762,6732,2815,874 各年度末時点 単位:人 出典:目黒区の健康福祉 愛の手帳所持者数 愛の手帳所持者数は増加傾向にあり、平成30年度から令和4年度にかけて110人(9.3%)増加しています。 障害の程度別にみると、平成30年度から令和4年度までのいずれにおいても、「軽度」が最も多く、平成30年度から令和4年度にかけて71人(14.7%)増加しています。 年度最重度重度中度軽度合計 H30(2018)年度314032684841,186 R元(2019)年度304122654921,199 R2(2020)年度294182725111,230 R3(2021)年度294112815351,256 R4(2022)年度294232895551,296 各年度末時点 単位:人 出典:目黒区の健康福祉 9ページ 精神障害者保健福祉手帳所持者数 精神障害者保健福祉手帳所持者数は増加傾向にあり、平成30年度から令和4年度にかけて487人(32.2%)増加しています。特に令和2年度からの増加傾向が著しく、令和4年度までで403人(25.2%)増加しています。 H30(2018)年度1,513 R元(2019)年度1,595 R2(2020)年度1,597 R3(2021)年度1,772 R4(2022)年度2,000 各年度末時点 単位:人 出典:目黒区の健康福祉 特殊疾病(難病)の医療費助成認定件数 特殊疾病(難病)の医療費助成認定件数は、指定難病追加等の制度変更があるため、単純比較はできませんが、平成30年度と令和4年度を比較すると、340人(14.7%)増加しています。 H30(2018)年度2,320 R元(2019)年度2,395 R2(2020)年度2,584 R3(2021)年度2,552 R4(2022)年度2,660 各年度末時点 単位:件数 国及び東京都の医療費助成件数(小児慢性疾患を除く) 出典:目黒区の健康福祉 10ページ 2障害者計画策定に関する調査の概要 調査の目的 新たな「目黒区障害者計画」を策定するにあたり、障害に関する手帳をお持ちの方及び難病患者の方、発達に関する不安や障害のあるお子さまの保護者の方の生活の様子や将来の希望などを把握し、計画策定のための基礎資料とすることを目的として実施しました。 調査の方法と回収状況 身体障害のある人、知的障害のある人、精神障害のある人及び難病患者、児童の保護者について、無作為抽出(50%)した対象者に調査票を郵送しました。 調査票は郵送またはインターネットにより回収しました。 調査地域目黒区内(施設入所者含む) 調査方法郵送配布回収、インターネット 調査期間令和4年9月から10月 調査対象身体障害のある人1408、知的障害のある人371、精神障害のある人768、難病患者319、児童の保護者426、合計3292 有効回収数身体障害のある人735、知的障害のある人218、精神障害のある人342、難病患者178、児童の保護者213、合計1686 有効回収率身体障害のある人52.2%、知的障害のある人58.8%、精神障害のある人44.5%、難病患者55.8%、児童の保護者50.0%、合計51.2% 11ページ 調査結果の概要 障害のある人向けアンケート結果 障害のある方が、必要な支援を受けながら地域で自立した生活を送るために、重要と思う取組(上位5項目) 「相談支援の充実」が最も高く59.6%となっています。 障害別では身体障害・精神障害・難病において「相談支援の充実」が最も高くなっており、知的障害では「グループホーム*など地域での生活の場の整備」が最も高くなっています。 相談支援の充実59.6% 情報保障(必要な情報の取得や円滑な意思疎通のための取組)の充実40.9% 医療的ケアを必要とする人への支援の充実36.1% 障害や病気に対する理解や障害者差別解消法の周知・啓発36.2% 緊急時や災害時の対策促進32.7% 出典:目黒区障害者計画策定に関する調査報告書 将来希望する暮らし方(上位5項目) 「現在の自宅で暮らし続けたい」が最も高く62.4%となっています。 障害別にみても、すべての障害で「現在の自宅で暮らし続けたい」が最も高くなっています。 現在の自宅で暮らし続けたい62.4% アパートやマンションを借りて暮らしたい9.3% グループホーム、福祉ホームのようなところ(介護や支援、見守りがある少人数の共同生活の場)で暮らしたい6.4% 公営の障害者住宅に入りたい4.8% わからない9.1% 出典:目黒区障害者計画策定に関する調査報告書 12ページ 差別されたと感じた割合 「されたことはない」が最も高く66.1%となっており、次いで「わからない」が19.5%となっています。 されたことがある14.5% わからない19.5% されたことはない66.1% 出典:目黒区障害者計画策定に関する調査報告書 「障害者虐待防止センター」の認知度 「障害者虐待防止センター」に相談や通報ができることを「知らない」が82.6%となっており、 「知っている」の17.4%を大きく上回っています。 知っている17.4% 知らない82.6% 出典:目黒区障害者計画策定に関する調査報告書 「成年後見制度*」の認知度及び利用意向 「どのような制度か知っているが、今後、制度を利用する予定はない」が最も高く43.2%となっており、次いで「どのような制度か知らない」が41.8%となっています。 成年後見制度をすでに利用している2.8% どのような制度か知っており、今後、制度を利用したい12.3% どのような制度か知っているが、今後、制度を利用する予定はない43.2% どのような制度か知らない41.8% 出典:目黒区障害者計画策定に関する調査報告書 13ページ 災害発生時や避難所での生活において必要な支援(上位5項目) 「自分にあった食事や必要な薬を入手するための支援」が最も高く52.3%となっています。 障害別では身体障害・精神障害・難病において「自分にあった食事や必要な薬を入手するための支援」が最も高くなっており、知的障害では「障害や症状について他の避難者の理解を得るための支援」が最も高くなっています。 安否確認を行う38.0% 自分に合った食事や必要な薬を入手するための支援52.3% 避難先の設備(トイレや浴室、ベッドなど)を利用するための支援38.8% 災害発生の連絡や避難所での情報を得るための支援27.9% 障害や症状について他の避難者の理解を得るための支援34.1% 出典:目黒区障害者計画策定に関する調査報告書 情報発信や情報取得に当たり適した方法(上位5項目) 「パソコン・スマートフォン」が最も高く69.6%となっています。 障害別では身体障害・精神障害・難病において「パソコン・スマートフォン」が最も高くなっており、知的障害では「絵図・写真(コミュニケーションボードなど)」が最も高くなっています。 その他としては、主に「会話・ゆっくり分かるような説明」「介助者を通じて」という趣旨の内容が記載されています。 拡大鏡・拡大文字9.9% 音声による読み上げ(Uni-voiceコードなど)8.6% 絵図・写真(コミュニケーションボードなど)11.8% パソコン・スマートフォン69.6% その他15.5% 出典:目黒区障害者計画策定に関する調査報告書 14ページ 就労状況 令和4年度において「働いている」人は46.3%となっており、障害別では知的障害、難病の半数以上が「働いている」と回答しています。 「働いている」人は平成28年度の33.7%と比較して12.6ポイント増加しています。 H28(2016)年度R元(2019)年度R4(2022)年度 働いている33.7%42.4%46.3% 働いていない63.3%57.6%53.7% (※)調査結果は、四捨五入による算出等により、合計は必ずしも100%にならない場合があります。 出典:目黒区障害者計画策定に関する調査報告書 企業などで働くために重要と思うこと(上位5項目) 「企業、上司、同僚の理解」が最も高く46.7%となっています。 障害別にみても、すべての障害で「企業、上司、同僚の理解」が最も高くなっています。 就職に向けた相談29.2% 給料が充実していること34.6% 就職先の紹介等の支援(休職中・退職後の転職を含む)29.8% 企業、上司、同僚の理解46.7% 就業の日数や時間、場所などについて多様な就労の形が認められていること37.4% 出典:目黒区障害者計画策定に関する調査報告書 15ページ 児童の保護者向けアンケート結果 発達に関する不安や障害のあるお子さんが、早期に適切な支援を受けるために必要なこと(上位5項目) 「専門家による相談体制を充実させる」が最も高く88.2%となっており、次いで「関連するサービスについての情報提供を充実させる」が58.3%となっています。 専門家による相談体制を充実させる88.2% 乳幼児の健康診断を充実させる37.0% 電話・メールによる相談体制を充実させる27.5% 関連するサービスについての情報提供を充実させる58.3% 居宅訪問や訪問看護等による相談や支援サービスの提供36.5% 出典:目黒区障害者計画策定に関する調査報告書 (就学前の子どもについて)療育や支援について充実させるべきだと思うこと(上位5項目) 「会話などコミュニケーションに対する支援」が最も高く63.0%となっており、次いで「友達など、人との関わり方に対する支援」が56.5%、「保護者への支援」が55.2%と近い割合で並んでいます。 会話などコミュニケーションに対する支援63.0% 言葉や読み書きに対する支援54.5% 友達など、人との関わり方に対する支援56.5% 保護者への支援55.2% 療育を行う施設の増設54.5% 出典:目黒区障害者計画策定に関する調査報告書 16ページ (就学中の子どもについて)教育や学校生活について充実させるべきだと思うこと(上位5項目) 「学習指導」「教職員の理解・支援」が最も高く57.8%となっています。 学習指導57.8% 学校や施設の整備39.4% 日常生活に対する支援37.6% 友人との関係づくり47.7% 教職員の理解・支援57.8% 出典:目黒区障害者計画策定に関する調査報告書 利用したことがある福祉サービス(上位5項目) 「児童発達支援(未就学児向けの集団療育、個別療育)」が最も高く60.5%となっており、次いで「放課後等デイサービス」が48.3%となっています。 訪問看護18.0% 補装具の利用13.2% 紙おむつの支給14.1% 児童発達支援(未就学児向けの集団療育、個別療育)60.5% 放課後等デイサービス48.3% 出典:目黒区障害者計画策定に関する調査報告書 17ページ 3 障害者計画策定に関するヒアリングの概要 ヒアリングの目的等 本計画を策定するための基礎資料を得ることを目的として、障害者団体連絡打合会参加団体 (21団体)に対し、障害福祉施策全般に対する意見等についてヒアリングを実施しました。 実施日時令和5年8月23日 ヒアリング方法対面形式で1団体ずつ、障害福祉施策全般に関する意見や障害のある人を支援する現場での課題等について聴き取りを行った。 主な意見 相談支援体制について 地域生活支援拠点*の機能を充実させてほしい。 基幹相談支援センター*・地域生活支援事業と相談支援関係事業所との連携を強化してほしい。 暮らしの場の整備 障害特性に応じたグループホームを整備してほしい。 障害のある人本人や家族の高齢化を見据えグループホームの整備を急いでほしい。 事業者がグループホーム事業を開始しやすいよう整備や運営に係る補助の更なる充実をお願いしたい。 保健医療福祉の連携強化 精神保健分野において、医療・保健・福祉関係者による連絡会等を設置してほしい。 災害時支援体制の強化 障害のある人が、災害時に安心・安全に避難できるよう、避難経路の整備や在宅避難者への支援の充実を図ってほしい。 社会参加の保障・充実について 失語症会話パートナーが活動しやすい環境整備を図ってほしい。 18ページ 多様な活動の場の提供について 障害があっても、スポーツ・芸術文化に気軽に参加できるような環境整備をお願いしたい。 青年余暇活動支援を実施する法人が増えるような取組を検討してほしい。 人材確保・育成・定着 不足している福祉人材の確保・定着のための対策を講じてほしい。 相談支援事業所が増えていくよう、区としての支援をお願いしたい。 事業者間の連携 各事業者間の職員の交流、意見交換ができるような機会を設けてほしい。 障害のある児童について 障害のある児童の居場所や活動の場を拡充してほしい。 重度障害のある児童や医療的ケアを受けている児童が利用できる居場所や活動の場を整備してほしい。 新型コロナウイルス感染症について 障害を理由に入院できないことが無いよう、保健所での入院調整を続けてほしい。 その他 障害者団体の活動を安心して継続できるようなスペースの確保などの環境整備をお願いしたい。 19ページ 第3章 基本的な考え方 1 基本理念 障害福祉施策を推進していくことにより目指す社会は、全ての区民が社会の一員として生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らすことができる、誰にとっても暮らしやすい社会にほかなりません。 このため、障害の有無にかかわらず、誰もが等しく基本的人権を享有する個人として尊重されるとともに、相互に人格と個性を尊重し合いながら、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができるよう、基本理念は「誰もが自分らしく輝きながら共に暮らせる社会の実現」とします。 「基本的な考え方」のイメージ図 基本理念:誰もが自分らしく輝きながら共に暮らせる社会の実現 基本方針:自己決定の尊重政策決定過程への参加・参画切れ目ない横断的な支援社会的障壁の除去 基本目標1安心して暮らせる地域社会の実現 基本目標2自分らしい生活ができる環境整備の推進 基本目標3ライフステージや障害特性に応じた自立への支援の充実 12施策 20ページ 2 基本方針 基本理念の実現に向けた取組を進めていくにあたり、基本となる考え方や姿勢(基本方針)は次のとおりとします。 自己決定の尊重 障害のある人が社会のあらゆる活動に主体的に参加するために、本人の自己決定を尊重し、自らの意思で望む生活のあり方を選択・決定し自己実現できるよう、意思決定の支援を行います。 政策決定過程への参加・参画 障害のある人は、障害のある人として生きてきた経験を活かして、社会に貢献をすることができる社会の一員であり、障害福祉施策に係る政策決定過程においては、障害のある人が参加・参画し、意見を反映できるよう留意します。 切れ目ない横断的な支援 保健・医療・福祉をはじめとした各分野連携のもと、地域で安心して暮らしていくための適切なサービスの確保と質の向上を図り、障害のある人とその家族に対し、ライフステージや障害特性に応じた切れ目のない横断的な支援を行います。 社会的障壁の除去 障害理解・差別解消の推進、物理的障壁、情報取得・利用や意思疎通に係る障壁など社会参加の妨げとなる社会的障壁をなくし、障害のある人があらゆる場面で個性豊かに輝ける環境づくりを行います。 21ページ 3 基本目標 基本理念の実現に向けて、次の3つの基本目標に基づき施策を推進していきます。 基本目標1 安心して暮らせる地域社会の実現 障害のある人が住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくために、地域社会全体の障害理解と、障害のある人の権利擁護という基盤のもとに、いかなる相談も受け止める相談支援体制や、安全・安心な生活環境の整備を進めていきます。 基本目標2 自分らしい生活ができる環境整備の推進 全ての障害のある人が、あらゆる分野の活動に参加し、その能力を最大限に発揮しながら、社会の一員として生きがいや役割を持ち、自分らしく充実した生活を送るために、情報の十分な取得利用や円滑な意思疎通ができる環境整備、働きやすい社会の実現、余暇等を楽しむことができる多様な活動の場の確保に取り組んでいきます。 基本目標3 ライフステージや障害特性に応じた自立への支援の充実 障害特性やライフステージに応じた専門性の高い細かな相談及び支援を切れ目なく円滑に受けることができるよう、支援体制の充実を進めていきます。 また、将来にわたって安定して質の高い障害福祉サービス等を提供していくために、福祉分野の共通課題である福祉人材の確保に向け、区と事業者が連携して取り組んでいきます。 4 施策の推進 障害者計画策定に関する調査や団体へのヒアリング結果、社会状況の変化等を踏まえ、基本目標に基づく12の施策として整理し、基本理念の実現を図ります。 (各施策の前提となる課題整理、施策を構成する具体的取組は第4章に掲載します。) 22ページ 5 計画の体系 基本理念誰もが自分らしく輝きながら共に暮らせる社会の実現 基本目標安心して暮らせる地域社会の実現 施策相談支援の充実、暮らしの場の整備、心のバリアフリーの推進、保健医療福祉の連携強化、権利擁護の推進、災害時支援体制の強化 基本目標自分らしい生活ができる環境整備の推進 施策社会参加の保障充実、多様な活動の場の提供、多様な就労ニーズに応じた就労支援の充実 基本目標ライフステージや障害特性に応じた自立への支援の充実 施策障害福祉サービスの質の確保向上、障害特性に応じた支援、障害児支援体制の充実 23ページ 相談支援の充実の取組:地域生活支援拠点事業の充実、基幹相談支援センターの機能強化、包括的支援体制の充実、目黒区障害者自立支援協議会の体制等の見直し 暮らしの場の整備の取組:障害者グループホームの整備促進、住宅確保要配慮者への支援、ユニバーサルデザインバリアフリー化の推進 心のバリアフリーの推進の取組:障害者差別解消の推進、交流機会の推進、福祉教育の推進 保健医療福祉の連携強化の取組:精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築、精神障害のある人の退院促進 権利擁護の推進の取組:障害者虐待防止に関する周知・啓発の推進、成年後見制度の利用促進、意思決定支援の推進 災害時支援体制の強化の取組:避難行動要支援者名簿の作成・配備、災害時個別支援プラン作成の推進、障害のある人に特化した防災訓練の実施、在宅人工呼吸器使用者に対する家庭用蓄電池の配備促進 社会参加の保障充実の取組:誰もが必要な情報を取得できる環境づくり、障害特性に応じた意思疎通支援の充実、情報保障意思疎通に関する理解促進 多様な活動の場の提供の取組:余暇等における活動の場の確保充実、障害者スポーツの推進、障害者の芸術文化活動の推進、障害のある人のための学習機会の提供 多様な就労ニーズに応じた就労支援の充実の取組:障害のある人の一般就労の促進、福祉的就労における工賃向上、障害のある人の区職員採用の促進及び採用後の活動推進のための支援 障害福祉サービスの質の確保向上の取組:人材の確保定着育成、保健福祉サービスの質の確保向上、事業者指導監査の実施 障害特性に応じた支援の取組:発達障害支援事業の充実、高次脳機能障害のある人への支援、強度行動障害のある人の支援体制整備 障害児支援体制の充実の取組:児童発達支援センターの機能強化、重症心身障害児(医療的ケア児を含む)及びその家族への支援、保育園児童館学童保育クラブでの障害児の受け入れ、インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別支援教育の推進