目黒区障害者計画 第6期目黒区障害福祉計画 第2期目黒区障害児福祉計画 令和3年度から令和5年度 令和3年3月 目黒区 この計画書は視覚等に障害のある人のために音声版(デイジー)も用意しております。 音声コード ユニボイスについて 各ページの角の位置に印刷された模様はユニボイスという音声コードです。 スマートフォンのアプリや活字文書読上げ装置を使って音声で内容を聞くことができます。 模様の印刷された部分には位置を分かりやすくするために切りかきを付けてあります。 はじめに 目黒区では、平成30年3月に「目黒区障害者計画(第5期障害福祉計画・第1期障害児福祉計画)平成30(2018)年度から平成32(2020)年度」を策定し、本区における障害福祉施策に取り組んでまいりました。 この間、障害者雇用促進法の改正をはじめ、障害福祉施策を取り巻く環境が大きく変化しました。 このような背景の中、国とうの制度改正や社会情勢の変化に的確に対応し、本区における令和3年度から5年度までの障害福祉施策を総合的・体系的に推進することを目的とするとともに、障害福祉サービス及び障害児福祉サービスの成果目標と必要な見込量などを定めた「目黒区障害者計画(第6期障害福祉計画・第2期障害児福祉計画)令和3年度から令和5年度」を策定いたしました。 計画改定にあたりましては、目黒区地域福祉審議会や目黒区障害者自立支援協議会で議論いただいたほか、アンケートやヒアリング、パブリックコメントとうにおいて、障害のあるかたやそのご家族のかた、関係団体をはじめ区民の皆さまから多くのご意見やご提案をいただきました。ご協力いただいた皆さまに改めて心から感謝申し上げます。 本計画は、障害者基本法の目的を踏まえ、障害の有無によって分け隔てられることなく、全ての区民のための計画であることを基本理念に位置づけました。区民の皆さまのご理解とご支援をいただきながら、本計画の着実な推進に取り組んでまいります。 令和3年3月 目黒区長 青木 英二 目次 第1章 計画の概要 1 計画策定の背景と趣旨 1ページ 2 計画の位置づけと構成 3ページ 3 区の障害者を取り巻く現状 5ページ 4 障害保健福祉の理念(基本的な考え方)12ページ 5 計画の推進 15ページ 第2章 重点的な取組と施策の体系 1 重点的な取組 16ページ 2 施策の体系 20ページ 第3章 課題別事業計画 基本目標1 身近な地域で暮らし続けていくことができる仕組みづくり 1 相談支援体制の充実 26ページ 2 権利擁護の推進 30ページ 3 保健・医療・福祉サービスの連携 32ページ 4 地域における日常生活の支援 35ページ 5 人材の確保・定着・育成とサービスの質の向上 39ページ 基本目標2 誰もが社会に参加し、貢献することができる仕組みづくり 1 社会参加を促進するための支援 43ページ 2 就労支援の充実 46ページ 3 多様な活動の場の提供 49ページ 基本目標3 ともに暮らすまちづくりの実現 1 地域における安定した暮らしの場の確保 53ページ 2 心のバリアフリーの推進 58ページ 3 地域における支え合い 62ページ 4 緊急時・災害時よう配慮者の支援 64ページ 基本目標4 障害のある児童の健やかな育成のための発達支援 1 多様なニーズに応える支援体制の充実 67ページ 2 ライフステージに応じた支援の充実 70ページ 第4章 第6期目黒区障害福祉計画 1 令和5年度における成果目標 75ページ 2 障害福祉サービス等の必要な見込量確保のための方策 81ページ 3 障害福祉サービス等の種類 85ページ 4 障害福祉サービスの必要な見込量 87ページ 5 地域生活支援事業の必要な見込量 93ページ 第5章 第2期目黒区障害児福祉計画 1 令和5年度における成果目標 100ページ 2 障害児福祉サービスの必要な見込量確保のための方策 101ページ 3 障害児福祉サービス等の種類 102ページ 4 障害児福祉サービスの必要な見込量 103ページ 資料 1 アンケート調査結果 106ページ 2 目黒区障害者計画改定経過 118ページ 3 目黒区地域福祉審議会委員名簿 120ページ 4 障害者施策の推移 121ページ 5 用語解説(50音順) 129ページ 第1章  計画の概要 1 計画策定の背景と趣旨 目黒区では、昭和59年の第一次障害者行動計画の策定以来、障害のある人を取り巻く環境の変化に的確に対応するため、障害のある人に関わる計画の改定を重ね、障害者福祉を総合的・体系的に推進してきました。 平成5年の障害者基本法の改正により、障害者施策の総合的・計画的な推進が法的に位置づけられ、平成16年には「市町村障害者計画」の策定が義務化されました。この間、区では「第二次障害者行動計画(平成5年度から平成15年度)」、「第三次障害者行動計画(平成15年度から平成24年度)」を策定し、障害者施策を推進してきました。  平成18年の障害者自立支援法の施行により、障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に係る目標を定める「市町村障害福祉計画」の策定が義務づけられ、平成19年3月に「第1期目黒区障害福祉計画」を策定しました。平成20年度には、障害者基本法に基づく「市町村障害者計画」に位置づけられている「第三次障害者行動計画」の名称を改めるとともに、「第2期目黒区障害福祉計画」と一体化する形で「目黒区障害者計画(平成21年度から平成23年度)」を策定しました。  障害者の権利に関する条約の批准に必要な国内法の整備を図るために、国は平成21年から障害者制度改革に向けた取組を開始します。平成23年7月には障害者基本法が改正され、これを受ける形で「目黒区障害者計画(第3期目黒区障害福祉計画)(平成24年度から平成26年度)」を策定しました。平成24年6月には、それまでの障害者自立支援法に代わって障害者総合支援法が制定され、平成25年6月には、障害を理由とした不当な差別的取扱の禁止や障害者への合理的配慮の提供等を定めた障害者差別解消法が制定されました。 平成26年1月、日本は障害者の権利に関する条約を批准し、これらの動きを踏まえて、「目黒区障害者計画(第4期目黒区障害福祉計画)(平成27年度から平成29年度)」を策定しました。 平成28年6月には障害者総合支援法及び児童福祉法が改正され、新たに障害児支援の強化・推進のために「市町村障害児福祉計画」の策定が義務づけられました。これらの動きを踏まえて、「目黒区障害者計画(第5期目黒区障害福祉計画・第1期目黒区障害児福祉計画)(平成30年度から平成32年度)」を策定しました。 以上のような障害者福祉をめぐるこれまでの動向や、昨今の社会情勢の変化に鑑み、目黒区障害者計画策定に関する調査、目黒区地域福祉審議会の答申及び目黒区障害者自立支援協議会の意見等を踏まえて、第6期目黒区障害福祉計画・第2期目黒区障害児福祉計画を含む目黒区障害者計画として策定するものです。 2 計画の位置づけと構成 (1)計画の位置づけ ・この計画は、長期的展望のもとに目黒区における障害保健福祉の総合的な計画としての基本目標を示したものです。 ・この計画は、障害者基本法に規定する障害者に関する基本的な施策を計画的に推進するための「障害者計画」、障害者総合支援法に規定する計画期間における成果目標及び障害福祉サービス等の必要な見込量等を定める「障害福祉計画」、児童福祉法に規定する計画期間における成果目標及び障害児福祉サービス等の必要な見込量等を定める「障害児福祉計画」に位置付けています。 ・この計画は、「目黒区基本計画」の補助計画であり、「目黒区保健医療福祉計画」等との整合性を図ります。 ・この計画の具体化は、「目黒区実施計画」及び各年度の予算によるものとします。 障害者基本法 第11条第3項 市町村は、障害者基本計画及び都道府県障害者計画を基本とするとともに、当該市町村における障害者の状況等を踏まえ、当該市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画を策定しなければならない。 障害者総合支援法 第88条第1項 市町村は、基本指針に即して、障害福祉サービスの提供体制の確保その他この法律に基づく業務の円滑な実施に関する計画を定めるものとする。 児童福祉法 第33条の20第1項 市町村は、基本指針に即して、障害児通所支援及び障害児相談支援の提供体制の確保その他障害児通所支援及び障害児相談支援の円滑な実施に関する計画を定めるものとする。 (2)計画の期間 ・この計画の期間は、令和3年(2021年)4月から令和6年(2023年)3月までの3年間とします。 (3)計画の構成 ・この計画は、障害者基本法に基づく「目黒区障害者計画」に、障害者総合支援法に基づく「目黒区障害福祉計画」、児童福祉法に基づく「目黒区障害児福祉計画」が含まれています。 ・第1章では、計画全体の概要を示しています。 ・第2章では、障害者基本法に基づく障害者計画における施策全般に対する重点的な取組を示しています。 ・第3章では、障害者基本法に規定する障害者に関する基本的な施策を計画的に推進するための課題別事業計画を示しています。 ・第4章では、国の定める障害福祉計画策定に関する基本指針に即して、第6期障害福祉計画における成果目標、目標達成のための方策、障害福祉サービス等の見込量を示しています。 ・第5章では、国の定める障害児福祉計画策定に関する基本指針に即して、第2期障害児福祉計画における成果目標、目標達成のための方策、障害児福祉サービス等の見込量を示しています。 3 区の障害者を取り巻く現状 (1)障害に関する手帳交付申請等の状況 令和2年7月末日時点の身体障害者手帳交付者数は5千759人、愛の手帳交付者数は1千206人、令和元年度末の精神障害者保健福祉手帳の交付申請の受付件数は806人、難病医療費助成の助成者数は2千446人となっています。 平成27年度の交付者数と比較すると、身体障害者手帳では126人(2.2%)減、愛の手帳では101人(9.1%)増、精神障害者保健福祉手帳では141人(21.2%)増、難病医療費助成では59人(2.5%)増となっています。 身体障害者手帳交付者数、各年度7月末日現在 平成27年度 計5千885人 視覚障害359人 聴覚障害424人 音声言語障害46人 肢体不自由3千87人 内部障害1千969人 平成28年度 計5千931人 視覚障害350人 聴覚障害434人 音声言語障害73人 肢体不自由3千46人 内部障害2千028人 平成29年度 計6千048人 視覚障害361人 聴覚障害452人 音声言語障害78人 肢体不自由3千40人 内部障害2千117人 平成30年度 計5千861人 視覚障害357人 聴覚障害448人 音声言語障害72人 肢体不自由2千897人 内部障害2千087人 令和元年度 計5千900人 視覚障害368人 聴覚障害452人 音声言語障害71人 肢体不自由2千881人 内部障害2千128人 令和2年度 計5759人 視覚障害368人 聴覚障害436人 音声言語障害66人 肢体不自由2千773人 内部障害2千116人 愛の手帳交付者数、各年度7月末日現在 平成27年度 計1千105人 最重度18歳以上26人 18歳未満6人 重度18歳以上303人 18歳未満61人 中度18歳以上238人 18歳未満47人 軽度18歳以上308人 18歳未満116人 平成28年度 計1千124人 最重度18歳以上27人 18歳未満4人 重度18歳以上315人 18歳未満60人 中度18歳以上236人 18歳未満47人 軽度18歳以上312人 18歳未満123人 平成29年度 計1千151人 最重度18歳以上29人 18歳未満2人 重度18歳以上316人 18歳未満75人 中度18歳以上231人 18歳未満43人 軽度18歳以上325人 18歳未満130人 平成30年度 計1千160人 最重度18歳以上28人 18歳未満3人 重度18歳以上319人 18歳未満78人 中度18歳以上223人 18歳未満46人 軽度18歳以上337人 18歳未満126人 令和元年度 計1千191人 最重度18歳以上27人 18歳未満3人 重度18歳以上326人 18歳未満82人 中度18歳以上223人 18歳未満43人 軽度18歳以上362人 18歳未満125人 令和2年度 計1千206人 最重度18歳以上27人 18歳未満3人 重度18歳以上331人 18歳未満86人 中度18歳以上225人 18歳未満40人 軽度18歳以上371人 18歳未満123人 精神障害者保健福祉手帳の交付申請、各年度末日現在 平成27年度 665人 平成28年度 603人 平成29年度 733人 平成30年度 749人 令和元年度 806人            難病医療費助成の助成者数、各年度末日現在 平成27年度 2千387人 平成28年度 2千637人 平成29年度 2千521人 平成30年度 2千390人 令和元年度 2千446人 (2)アンケート調査の概要 @調査の目的 障害に関する手帳をお持ちの方、難病患者の方、発達に関する不安や障害のある子どもの保護者の方を対象に、生活の様子や将来の希望等について伺い、本計画改定の基礎資料とすることを目的に行いました。 A調査の方法 調査は令和元年9月から10月に実施しました。身体障害者、知的障害者、精神障害者及び難病患者については、無作為抽出(50%)した対象者に郵送し、児童等の保護者については、幼児療育通所施設、区立小中学校の特別支援学級及び都立特別支援学校を通じて配布しました。調査票については、紙面による回答とともに、インターネットを活用したウェブ回答も実施しました。 B配付・回収状況 身体障害者 配布数1千568 有効回収数789 有効回収率50.3% 知的障害者 配布数478 有効回収数259 有効回収率54.2% 精神障害者 配布数706 有効回収数280 有効回収率39.7% 難病患者 配布数312 有効回収数157 有効回収率50.3% 児童の保護者 配布数350 有効回収数152 有効回収率43.4% 合計 配布数3千414 有効回収数1千637 有効回収率47.9% C調査結果の概要 ア 障害者向けアンケート 平日の日中の過ごし方 全体では「家でくつろいでいる」「家事をしている」が多くなっていますが、知的障害の方では「仕事が中心の施設に通っている」「幼稚園・保育園、児童発達支援事業所や学校に通っている」が多くなっています。「企業などで働いている」という回答は、難病の方で多くなっています。 将来の暮らし方 いずれの障害の方も「現在の自宅で暮らし続けたい」が多くなっていますが、知的障害の方では「グループホーム、福祉ホームのようなところで暮らしたい」が、精神障害の方では「アパートやマンションを借りて暮らしたい」が多くなっています。 医療について困っていること 全体では「特に困っていることはない」が多くなっていますが、知的障害の方では「医師や看護師に病気(症状・状態・疑問点など)が上手く伝えられない」「入院時のコミュニケーションが心配」「医師や病院からの説明がわからない」が多くなっています。 働くために重要と思うこと いずれの障害の方も「企業、上司、同僚の理解」が多くなっています。精神障害の方では「給料が充実していること」も多くなっています。 福祉サービスを利用するときに困ったこと 全体では「特に困ったことはない」が多くなっていますが、精神障害の方では「どんなサービスがあるのか知らない」が多くなっています。 利用したいサービス 身体障害の方、難病の方では「介護タクシー利用補助券、福祉タクシー利用券・自動車燃料費の助成」が、知的障害の方では「ガイドヘルパーによる移動支援や同行援護」「短期入所」が、精神障害の方では「一般就労に向けた支援(障害者就労支援センター、就労移行支援等)、就労定着支援及び就労継続支援」が多くなっています。 外出するときに困ったり不便を感じたりすること 身体障害の方では「歩道、道路、出入口に段差がある」「階段の昇降が困難である」「エレベーターがない」が、知的障害の方では「自分の意思を伝えたり、コミュニケーションをとることが難しい」が、精神障害の方では「障害があることや症状について理解されにくい」が多くなっています。 災害時に不安に思うこと 身体障害の方では「避難先の設備(トイレや浴室、ベッドなど)が使えるか」が、知的障害の方では「他の避難者が障害や症状について理解してくれるか」が、精神障害の方、難病の方では「自分にあった食事や必要な薬の入手」が多くなっています。 生活の中での悩みや困ったこと 身体障害の方、難病の方では「老後の生活」が、知的障害の方では「将来の援助(支援・介護)のこと」が、精神障害の方では「経済的なこと」が多くなっています。 悩みや困ったことの相談先 いずれの障害の方も「家族・親戚」が多くなっていますが、それ以外では身体障害の方、難病の方で「知人・友人・同じ病気や障害のある仲間」が、知的障害の方で「福祉施設や福祉サービス事業者、地域活動支援センターの職員」が、精神障害の方で「病院(医師・病院ソーシャルワーカー・看護師など)」が多くなっています。 地域で自立した生活を送るために重要と思う取組 全体では「相談支援や情報保障の充実」が多くなっていますが、知的障害の方では「グループホームなど地域での生活の場の整備」が多くなっています。精神障害の方では「障害や病気に対する理解や障害者差別解消法の周知・啓発」も多くなっています。 イ 児童の保護者向けアンケート 平日の日中の過ごし方 「区立小中学校の特別支援学級に通っている」が最も多く、次いで「児童発達支援事業所等に通っている」「幼稚園・保育園に通っている」の順になっています。 療育や支援について充実させるべきこと(就学前) 「会話などコミュニケーションに対する支援」「療育を行う施設の増設」が最も多く、次いで「トイレや食事など日常生活に対する支援」の順になっています。 教育や学校生活について充実させるべきこと 「学習指導」が最も多く、次いで「教職員の理解・支援」「友人との関係づくり」の順になっています。 療育や支援について充実させるべきこと(就学中) 「学習に対する支援」が最も多く、次いで「会話などコミュニケーションに対する支援」「放課後や長期休暇の過ごし方に対する支援」の順になっています。 子どもの将来のことで不安に思うこと 「本人なりに充実した生活が送れるか」が最も多く、次いで「将来、家族と離れて自立した生活ができるか」「将来の生活の経済的な保障について」の順になっています。 将来地域で自立して生活するために必要なこと 「就労の場」が最も多く、次いで「地域の理解」「家族や支援者(ホームヘルパーなど)」の順になっています。 福祉サービスを利用するときに困ったこと 「必要な日や必要な時間に使いたいサービスが使えなかった」が最も多く、次いで「どの事業者が良いのかわからない(事業者情報が不十分)」「利用資格や条件があわず、使いたいサービスが使えなかった」の順になっています。 利用したいサービス 「放課後等デイサービス」が最も多く、次いで「ガイドヘルパーによる移動支援」「児童発達支援(未就学児向けの集団療育、個別療育)」の順になっています。 子どものことでの悩みや困ったこと 「お子さんの育児や教育のこと」が最も多く、次いで「現在お子さんが受けている援助(支援・療育)のこと」「親の病気や緊急時に預ける先が見つからないこと」の順になっています。 悩みや困ったことの相談先 「同じ悩みや障害のある子の保護者」が最も多く、次いで「家族・親戚」「保育園・幼稚園・学校の教職員」の順になっています。 地域で自立した生活を送るために重要と思う取組 「障害特性にあった適切な保育、教育の充実」が最も多く、「障害への理解を促進する教育や交流の促進」「相談窓口や情報提供の充実」の順になっています。 (3)ヒアリング調査等の概要 本計画改定の基礎資料を得ることを目的にヒアリング調査を実施しました。新型コロナウイルス感染症対策のため、対面での面接調査は実施せず、ヒアリングシートを配布して意見を記入する方法で実施しました。 配付・回収状況 障害者団体連絡打合会参加団体 配布数22 回収数12 区内障害児福祉サービス事業者 配布数15 回収数6 主な意見 相談支援を必要とする人が利用できるように、相談支援専門員を増員するなどの対応をしてほしい。 放課後等デイサービスに待機児童があり、希望する人にサービスが行き届いていないと感じる。 高校卒業後の成人の余暇の過ごし方が限定されたものになっている。 医療的ケア児が医療的ケアの内容で線引きされることなく、特別支援学校卒業後、区内の施設に通所できるよう、受け入れ体制を整備してほしい。 ショートステイ(短期入所)なども充実させてほしい。 医療的ケア児に対する日中活動の場の整備などは進んでいるが、成人の医療的ケアを必要とする人たちへの支援体制も整備してほしい。 幼い頃からのインクルーシブ教育の実践をしてほしい。 障害者スポーツの充実を図るために、区の施設の開放などを行ってはどうか。障害の有無にかかわらず、交流の場があると良い。 歩道のバリアフリー化を進めてほしい。 ユニバーサルトイレの更なる充実をお願いしたい。新規にできるユニバーサルトイレに成人用のベッドを設置してほしい。 障害者のグループホームや支援施設を区の複合施設の中に組み入れてほしい。誰もが利用する施設の中に障害者の施設があることで心理的な障壁が低くなる。 区職員の啓発や教育を率先して行うことで、民間への理解に繋げてほしい。 障害のある人や高齢者が通う施設と、地域社会との交流・接点が少ない。そうした場や機会づくりを促進してもらえると良い。 保育・教育の現場において、発達障害についての教育を行う必要がある。 現在各方面で実施している、一般向けの啓発活動、リーフレットの作成、当事者や保護者、家族対象の講演会などを引き続き継続できると良い。 障害者や家族の高齢化は喫緊の課題であり、障害特性に合わせて、不足するグループホームの増設計画を作成してほしい。 教室を必要に応じて避難所の分離スペースとして使用できるよう準備してほしい。 4 障害保健福祉の理念(基本的な考え方) (1)障害保健福祉の理念 区は、令和3年3月、まちづくりの基本的な理念や将来像と、長期的な目標や施策の方向を示す「目黒区基本構想」を新たに策定します。新たな基本構想では、区政運営の柱となる政策目標として、「学び合い成長し合えるまち」「人が集い活力あふれるまち」「健康で自分らしく暮らせるまち」「快適で暮らしやすい持続可能なまち」「安全で安心して暮らせるまち」の5つの基本目標を定めています。 また、障害者基本法に位置付けられる「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」といった目的を踏まえるとともに、区ではこれまで進めてきた施策を一層推進します。 これらの理念をもとに、本計画では「障害の有無にかかわらず、機会のびょうどう、アクセシビリティが保障され、すべての区民があらゆる場面で自己選択・自己決定に基づき、地域で自分らしく生きることができる社会を目指すとともに、相互に理解と交流を図り、ともに暮らす社会を実現する」ことを基本理念とし、以下の観点に立って施策を推進します。 障害のある人のライフステージや障害特性に応じて、自らの意思で望む生活のあり方を選択・決定し、保健・医療・福祉の各分野連携のもと、地域で暮らし続けていくために必要な切れ目のない横断的なサービスが提供される体制を整備する。 障害のある人が社会の一員として教育・就労の機会を得るとともに、スポーツ、芸術・文化、地域活動等に参加し、社会生活を送るために必要な情報保障やサービスを整備する。 障害の有無にかかわらず、社会参加の妨げとなる差別、偏見、物理的な障壁をなくし、相互に人格と個性を尊重し支え合いながら生活していけるまちづくりを実現する。 障害のある児童の多様な支援ニーズにきめ細かく対応するとともに、適切なサービスの確保と質の向上を図るため、障害のある児童のサービスに係る提供体制を充実する。 以上の取組を推進するため、障害のある人、高齢者、児童といった区分にとらわれることなく、地域のサービスを横断的に相互活用し、様々な社会活動に障害のある人が積極的に参加できるような体制づくりを構築するため、「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」の理念の具現化に努めます。 (2)障害保健福祉の基本的な考え方 本計画では、基本理念を踏まえながら、障害保健福祉に関する法改正や状況の変化を受けて、以下の4点を基本的な考え方とします。 身近な地域で安心して暮らし続けていくことができる仕組みづくり 障害のある人が、地域において必要なサービスを受けながら、様々な支援を切れ目なく提供できるよう相談支援体制の充実を図ります。様々なサービスの利用にあたり、自ら意思を決定することに困難を抱える障害のある人が、日常生活や社会生活に関して自らの意思が反映された生活を送ることができるように可能な限り本人が自ら意思決定できるよう支援します。 地域における相談支援の中核的な役割を担う機関である基幹相談支援センターを設置し、相談支援事業者への専門的助言及び人材育成を行うとともに、地域における様々な相談支援機関と連携し、相談支援体制の一層の構築と機能強化を図ります。 また、施設や病院から退所・退院したかたが地域で安定した生活に移行できるよう、地域移行に関する相談支援体制を構築するとともに、障害のある人の高齢化や障害の重度化に伴い必要となる支援サービスを提供し、保健・医療・福祉の関係機関による情報共有や連携体制を推進します。 誰もが社会に参加し、貢献することができる仕組みづくり 障害のある人が、地域社会の一員として教育・就労等の機会を得て、充実した生活を送るために必要なサービスの提供を図ります。就労意欲のある人が、一人ひとりの障害特性や適性に応じた多様な就労形態をとることができるよう就労支援・定着支援や生活支援の充実を図るとともに、障害者施設における自主生産品の販売促進や普及、販路の拡大等について工夫し、工賃水準の向上に取り組みます。 また、障害のある人が、地域を支える担い手となり、自分らしく活躍できるような場や機会の提供などの環境づくりに取り組みます。 さらに、身近な地域で継続的にスポーツに親しめるよう、機会の一層の充実を図るとともに、芸術文化活動や余暇活動を通じた交流、障害特性に配慮した図書館や社会教育講座等の充実を図ります。 ともに暮らすまちづくりの実現 障害の有無にかかわらず分け隔てることなく、ともに地域で暮らせるまちづくりを推進するためには、区民一人ひとりがノーマライゼーションの理念に基づき、差別、偏見、物理的な障壁をなくし、障害や障害特性に対する理解を深め、相互に人格と個性を尊重し支えあうことが必要です。 障害のある人や、高齢者、子ども等、誰もが利用しやすい公共施設や公共交通機関の整備に向けて取り組みます。また、障害者の権利に関する条約の理念に基づき、心のバリアフリーや差別解消に取り組むとともに、地域における交流を促進し、障害の有無にかかわらず相互理解を深めながら、すべての人の基本的人権が尊重される地域社会の実現を目指します。 障害のある児童の健やかな育成のための発達支援 児童発達支援センター、障害児相談支援事業所及び発達障害支援拠点等の関係機関が連携し、障害のある児童の発達や成長段階に応じた相談支援体制の充実を図ります。多様なニーズに応じた切れ目のない支援を行うため、家族支援を含め、保健・医療・保育・教育・就労等の各分野の連携を一層推進します。 障害のある児童が、その障害特性に応じて、必要な支援を受けながら、地域の保育・教育・子育て支援において、障害のない児童と共に学び成長する機会を進め、障害のある児童とその保護者等が孤立することのないよう、心のケアを含めた家族支援の充実を図ります。 5 計画の推進 (1)総合的な計画推進体制の強化 本計画に掲げる目標の実現、サービス基盤の確保のため、各事業は全庁的な取組としてとらえ、福祉部門と他の部門との連携をより深めながら、それぞれの担当部局が障害者施策を推進します。また、行政のみならず、地域福祉審議会や障害者自立支援協議会等、広く区民の参加と理解・協力を得て、障害者施策を総合的に推進します。 (2)地域における連携・協力体制の活用 障害のある人の地域生活への支援や就労支援を着実に推進するため、障害福祉サービス事業者、関係機関、地域及び障害者団体等との連携を強め、協力体制の構築に中核的な役割を果たす障害者自立支援協議会を活用し、地域における障害福祉に関するネットワークの構築に一層努めます。さらに、障害・高齢・子ども・生活困窮など様々な分野にわたる複合的な課題に対応するため、地域包括ケアを推進し、地域包括支援センター等との連携を強化します。 (3)目標達成状況の評価と公表 定期的に障害福祉サービス等の各事業の進捗状況や目標達成状況について、毎年その実績を把握し、分析評価を行い、その結果を公表します。区民や関係者の理解と協力を得ながら、各事業の着実な進行管理に努めます。 (4)くに、と、他自治体との連携 事業実施においては、関係機関との連携を深め、くに、と、区の適切な役割分担をしながら施策を推進します。また、くに、との役割に関して、必要に応じて要望を行うとともに、情報交換を通じて他自治体との連携を深めます。 (5)計画とエスディージーズ エスディージーズ、サステナブル、デベロップメント、ゴールズ、持続可能な開発目標)は、2015年(平成27年)、国連サミットにおいて全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた世界共通の目標です。  2030年を目標の達成年限として、「誰一人取り残さない、持続可能で多様性と包摂性のある社会」の実現を目指しており、17の目標、ゴール)と169の指標、ターゲット)から構成されています。  エスディージーズの「誰一人取り残さない、持続可能で多様性と包摂性のある社会」とは、本計画が目指す障害保健福祉の理念(基本的な考え方)の実現につながるものです。 また、本計画の基本理念や基本目標は、エスディージーズの目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標10「人や国の不びょうどうをなくそう」、目標11「住み続けられるまちづくりを」をはじめ、エスディージーズが示す各目標とも共通するものです。