第2章  重点的な取組と施策の体系 1 重点的な取組 アンケート調査や関係者等のご意見やご要望、社会状況等の変化を踏まえ、計画策定にあたっての課題を整理し、障害保健福祉の理念を実現するため、以下の項目を重点的な取組とし、課題別事業計画を積極的に推進します。 (1)共生社会の実現 障害の有無にかかわらず、誰もが分け隔てられることがなく、基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念に基づき、相互に人格と個性を尊重し合う共生社会の実現を目指します。 平成28年4月に障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が施行され、平成30年10月には東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例が施行されました。障害のある人の日常生活、学校生活、就労、社会活動など、様々な場面で障害を理由とする差別が生じることがないよう障害理解と差別解消の促進のための取組が必要です。地域全体で主体的に障害者差別の解消に向けた取組を進めるために、障害のある人、地域の商工業者、障害者就労支援機関、権利擁護機関、福祉・医療・法律の各分野の専門家、教職員等で構成される目黒区障害者差別解消支援地域協議会を開催し、相談事例への対応策を通じて把握した課題などについて協議します。 障害の有無にかかわらない相互の交流、障害のある人への地域活動の参加促進など、多様な機会を通じて相互理解を深めるとともに、福祉教育の推進や福祉体験の機会の提供など、一人ひとりが豊かな人間性を育み、お互いに認め合う地域づくり、全ての人が世代や背景を問わず、安心して暮らし続けられる地域づくりに取り組みます。 (2)ライフステージに応じた相談支援の充実 障害のある人やその家族等が、乳幼児から高齢期までのライフステージに応じて切れ目なく、必要な支援が受けられる相談支援の充実と様々な関係機関との連携の推進に取り組みます。地域で安心して暮らし続けるための仕組みとして、身近な相談対応や24時間365にちの緊急時に対応するための地域生活拠点事業を実施するとともに、障害の種別にかかわらず総合的かつ専門的な相談支援体制を確保するための中核的な存在となる基幹相談支援センターを設置します。 また、施設や医療機関を退所・退院したかたが、地域で安定した生活に移行するための地域移行や地域定着に関する相談支援を推進するとともに、精神障害をはじめ様々な障害のある人に対する保健・医療・福祉等の連携による相談支援を推進します。 障害、高齢、子ども、生活困窮など多様で複合的な課題に対応するため地域包括ケアを推進するとともに、関係機関が連携・協働する仕組みを構築し、分野横断的な相談支援体制の充実を図ります。     (3)権利擁護の推進 障害のある人が、安心して自立した生活を送るためには、一人ひとりの人権を尊重し、権利を擁護することが必要であり、適切なサービスが選択できるとともに、財産が守られ、権利が保障されなければなりません。 虐待は、障害のある人の尊厳を侵害するものであり、障害者の自立や社会参加にとっても虐待を防止することは極めて重要です。目黒区障害者虐待防止センターにおいて、障害者の虐待にかかわる通報や届出、相談や支援、虐待防止に向けた取組を推進します。 虐待の未然防止には、家族や養護者のストレスが軽減されるように支援していくとともに、家庭内のみならず学校・福祉施設・就労の場などにおいても、一人ひとりが小さな兆候を見逃さず、積極的に取り組まなければなりません。東京都・事業者・警察等の関係機関と連携しながら、虐待の早期発見や対応、身柄の安全確保を行うとともに、当事者が相談しやすい窓口とすることやその周知に努めます。 成年後見制度は、判断能力が十分ではない人の権利を守るため、本人の意思を尊重し、法律面や生活面の支援をする制度です。利用しやすい制度となるよう支援のあり方や制度の周知に取り組みます。 (4)高齢の障害のある人への支援の充実 障害のある人の高齢化が進展する中、障害の重度化、生活習慣病の発症、心身の機能低下などに対応することが求められます。障害のある人が、高齢になっても地域で安心して暮らし続けるためには、障害による特性と高齢による特性の両面に配慮した支援を行うとともに、支援をしている親や家族等の健康維持や介護にも対応する必要があります。 高齢になった障害のある人に対する居住支援や緊急時の対応、家族支援を行い、今後整備する基幹相談支援センターを中核とした相談支援の機能強化を踏まえ、福祉・保健・医療等の多様な関係機関が連携した重層的な支援体制の構築に取り組みます。 障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は、介護保険サービスの利用が優先されますが、サービスの移行においては柔軟な対応が望まれ、障害者がこれまで受けてきたサービスを高齢になっても円滑に受けることができるよう介護と障害の各事業者の連携を推進するとともに、障害特性に応じた支援サービスを提供できるよう努めます。 (5)障害のある児童への支援の充実 障害のある児童と保護者が、地域で安心して暮らし続けるためには、発達や成長段階に応じた切れ目のない支援が必要であり、福祉・学校・保健等の関係機関が連携し、障害特性に応じたきめ細かな相談支援や療育等の適切な支援が求められます。 地域における障害児支援の中核的施設である児童発達支援センターの機能の充実、早期発見・支援のための母子保健との連携、発達障害支援事業の実施、児童館や学童保育クラブ等での障害のある児童への支援、学校教育におけるインクルーシブ教育システムの構築など乳幼児期から学校卒業後の就労等までの切れ目のない支援を推進します。 また、医療的なケアを必要とする児童への対応として、保健医療・福祉・教育等の関係機関で構成する協議会の推進や未就学児や就学児を対象とするサービスの充実等に取り組みます。さらに、障害のある児童の保護者等が孤立することのないよう心のケアも含めた家族支援、福祉サービス事業所等の職員・教職員等に対する障害の一層の理解や配慮を基本に据えた研修の充実に努めます。 (6)就労支援の充実 厚生労働省が実施した令和元年障害者雇用状況の集計結果によると、障害者雇用は、民間企業及び公的機関ともに雇用障害者数は過去最高を更新しています。障害者の雇用の促進に関する法律の一部改正に伴い、令和3年3月には一定規模以上の民間企業における障害者の法定雇用率が2.2%から2.3%に引上げられます。 障害のある人の就労は着実に進展しているものの、短期での離職もみられるため、一人ひとりの障害特性に応じた就労形態について事業者との連携を図る等、より一層の定着支援が求められています。 多様な働き方の支援として、労働時間20時間未満の短時間雇用をはじめ、企業・教育・福祉・労働行政等の関係機関と連携し、就労の相談支援や訓練、実習機会の提供、雇用企業の新規開拓、雇用主や従業員への障害理解の促進を図ります。 また、障害福祉施設における生産活動の提供、自主生産品の販売促進及び販路の拡大等を工夫し、工賃水準の一層の向上に取り組みます。 (7)災害時等における支援 災害時等においては、障害のある人が迅速かつ正確な情報を得ることや避難行動をとることの難しさ、避難所生活の支援体制など、様々な課題があります。区では災害時よう配慮者支援のため、よう配慮者支援プランを策定し、避難行動要支援者名簿を整備しています。災害に備え、身近な民生委員・児童委員や町会・自治会へ避難行動要支援者名簿の提供を進めるとともに、日頃からの地域の見守り等を通じてお互いに顔の見える関係をつくることが必要です。総合防災訓練では、よう配慮者安否確認訓練を実施するなど、引き続きよう配慮者の支援体制に取り組みます。 風水害や新型コロナウイルス感染症等の複合災害においては、避難所への避難、自宅にとどまり安全の確保に努める等、様々な選択肢があることを周知する必要があります。避難所生活や福祉避難所の運営などのよう配慮者支援には、障害者団体や地域団体、関係機関等と協力・連携して、障害の特性に配慮したきめ細かな施策の充実を推進します。 2 施策の体系 1 身近な地域で暮らし続けていくことができる仕組みづくり(26ページ) 1 相談支援体制の充実(26ページ) (1)相談支援体制の機能強化(27ぺージ) 001 基幹相談支援センターの設置 002 包括的相談支援体制の充実  003 地域生活支援拠点事業の充実   004 発達障害支援事業の充実     (2)一人ひとりの生活状況に応じた相談支援の実施(29ページ) 005 障害者自立支援協議会の推進 006 心身障害者センターあいアイ館の障害福祉総合相談事業の推進 007 障害福祉に関する専門相談  008 相談支援事業所における相談支援の実施 009 地域活動支援センターでの相談業務の推進 010 高次脳機能障害者支援の促進  011 精神障害者に係る保健医療相談  012 身体障害者相談員・知的障害者相談員・発達障害児者相談員の活動援助  2 権利擁護の推進(30ページ) (1)障害者虐待防止の推進(31ページ) 013 障害者虐待防止の体制強化と啓発の取組等の推進 (2)成年後見制度の利用推進等(31ページ) 014 成年後見制度の利用促進 015 消費者被害の防止 3 保健・医療・福祉サービスの連携(32ページ) (1)保健・医療・福祉関係機関による連携の推進(32ページ) 016 精神障害に対応した地域包括ケアシステムの構築 017 精神障害者退院相談支援事業の実施 018 障害特性に応じた関係機関との連携の推進 019 障害者歯科診療体制の推進 020 医師会・歯科医師会・薬剤師会等との連携体制の推進 021 訪問看護事業の支援 022 在宅難病患者等保健医療事業の推進 (2)医療費助成制度の利用促進(34ページ) 023 各種医療の給付及び医療費の助成   (3)リハビリテーションの実施(34ページ) 024 リハビリテーション関連事業の実施 4 地域における日常生活の支援(35ページ) (1)高齢の障害がある人への支援の充実(35ぺージ) 025 共生型サービス事業への支援 026 高齢化に伴う課題への取組 027 介護サービス事業者と障害福祉サービス事業者の連携促進 (2)居宅における生活支援・介護サービスの提供(36ページ) 028 入浴サービスの充実 029 短期入所事業の充実 030 障害者居宅介護事業の提供 031 地域活動支援センターの運営 032 重症心身障害者と家族への支援 033 配食サービスの実施 (3)福祉用具の利用支援(37ページ) 034 補装具の交付と修理 035 日常生活用具等の給付 036 福祉機器の情報提供 (4)所得保障の充実(38ページ) 037 各種手当・年金の受給に向けた支援 038 各種給付・助成事業の推進 5 人材の確保・定着・育成とサービスの質の向上(39ぺージ) (1)人材の確保・定着・育成(40ページ) 039 民間障害者グループホーム等職員宿舎借上げ支援事業の実施 040 基幹相談支援センターによる人材育成 041 民間障害福祉サービス事業所に対する健康管理支援 042 障害福祉サービス事業所従事者の育成支援   (2)サービスの質の向上(41ページ) 043 保健福祉サービス苦情調整委員制度の充実 044 障害福祉サービス事業者の指導検査体制の推進 045 福祉サービス第三者評価制度の推進 046 障害者施設におけるサービス提供事業者としての苦情解決制度の推進 2 誰もが社会に参加し、貢献することができる仕組みづくり(43ページ) 1 社会参加を促進するための支援(43ページ) (1)障害特性に応じた情報提供サービスの充実(43ページ) 047 障害のある人の意思疎通支援及び情報保障の充実 048 障害のある人に配慮した情報保障のための対応 049 障害福祉サービスに関する情報提供の推進 050 点訳・音訳サービスの推進 051 意思疎通支援の推進・支援拡大の検討 052 手話通訳者の養成 053 誰もが投票しやすい環境づくりの推進   (2)移動に係る支援(45ページ) 054 車いすのまま乗車できる介護タクシー等の利用補助事業 055 障害者移動支援・同行援護事業の実施 056 福祉タクシー等の利用助成 057 自らが運転する自動車に対する各種助成 2 就労支援の充実(46ページ) (1)一般就労に向けた支援(47ページ) 058 障害者の区職員採用の促進及び採用後の活躍推進のための支援 059 就労定着支援の推進 060 一般就労に向けた就労移行支援事業の推進 061 障害者雇用促進に向けた地域への働きかけ 062 精神障害者への社会適応支援   (2)多様な働き方の支援(48ページ) 063 就労継続支援びーがた事業の運営 064 就労移行支援事業への支援 065 就労継続支援事業への支援   (3)工賃向上の取組(48ページ) 066 福祉の店の拡充 067 障害者施設等からの物品等の調達の推進   3 多様な活動の場の提供(49ページ) (1)日中活動の場の提供(49ページ) 068 利用時間外活動支援(日中一時支援)事業の実施 069 生活介護事業の運営・支援 070 重症心身障害者生活介護及び障害者活動訓練事業の実施 071 精神障害者のデイケアの実施   (2)通所施設の整備(50ページ) 072 障害者通所施設の整備 (3)スポーツ活動・余暇活動等の推進(51ページ) 073 青年・成人期の余暇活動への支援 074 障害者スポーツの推進 075 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催を契機とした意識の啓発 076 目黒区スポーツ推進計画の促進   (4)芸術文化活動・生涯学習等の推進(51ページ) 077 障害のある人とない人がともに学ぶ団体に対する支援  078 図書館における障害者サービスの提供  079 障害のある人のための学習機会の提供  080 芸術・文化に接する機会の提供  081 学習機会の条件整備  082 学習情報の提供     (5)障害当事者団体活動への支援(52ページ) 083 障害者支援推進事業の実施 3 ともに暮らすまちづくりの実現(53ページ) 1 地域における安定した暮らしの場の確保(53ページ) (1)ユニバーサルデザイン・バリアフリー化の推進(53ページ) 084 区立施設の福祉環境整備の推進 085 民間建築物等の整備促進 086 歩道の設置・改良 087 視覚障害者誘導用ブロックの設置・保全 088 放置自転車対策の推進 089 不法占用物件の是正指導・取締り 090 交通のバリアフリー化の推進   (2)住宅の整備・改善(54ページ) 091 住宅確保よう配慮者の居住支援に係る庁内連携 092 障害者向け住宅の確保 093 公募における抽選の優遇 094 住宅設備改善費給付事業の実施   (3)居住継続の支援(55ぺージ) 095 高齢者等居住あんしん補助の実施 096 高齢者世帯等居住継続家賃助成  097 民間賃貸住宅の情報提供 098 家賃等債務保証制度の実施 099 家賃等債務保証料の助成   (4)グループホーム等の充実(56ページ) 100 身体障害者入所施設等への支援 101 障害者グループホームの整備支援 102 国公有地、既存施設等の活用の検討  103 グループホーム等への運営費補助 104 グループホーム入居者の支援 105 身体・知的障害者施設の入所枠の確保 106 重度身体障害者のための施設運営 107 グループホーム体験機会の提供   2 心のバリアフリーの推進(58ページ) (1)障害理解・差別解消の推進(59ページ) 108 障害者差別解消に向けた取組の充実 109 人権教育講座の実施 110 精神保健講演会の開催 111 職員研修の推進 112 教員研修の充実   (2)広報・広聴活動の推進(60ぺージ) 113 区広報の活用 114 報道機関を活用した情報の提供 115 障害者団体と区長との懇談会の開催 116 障害者関係団体連絡打合会の開催   (3)福祉教育の推進(60ページ) 117 福祉教育の推進 118 交流教育の推進   (4)交流機会の推進(61ページ) 119 施設見学及び施設体験等による障害者理解の促進 120 障害者週間記念事業の実施 121 地域における交流の促進    3 地域における支え合い(62ページ) (1)ボランティア活動の推進(63ページ) 122 ボランティアの育成 123 地域活動・社会活動への情報提供等の支援 4 緊急時・災害時よう配慮者の支援(64ページ) (1)緊急時通報体制の整備(65ページ) 124 非常通報システムの利用普及  125 緊急時の連絡・通報に役立つヘルプカード等の普及  (2)救助・救援体制の整備(65ページ) 126 福祉避難所の整備促進 127 防災に関する体験型啓発の充実 128 災害時よう配慮者避難支援対策の推進 129 防災に関する啓発・広報活動の実施 4 障害のある児童の健やかな育成のための発達支援(67ページ) 1 多様なニーズに応える支援体制の充実(67ページ) (1)地域支援体制の充実(67ページ) 130 保育所等訪問支援の実施 131 児童発達支援センター機能の充実 132 療育支援の推進   (2)特別な支援が必要な障害のある児童に対する支援体制の充実(68ページ) 133 重症心身障害児(医療的ケア児を含む)に対する支援体制の充実 134 医療的ケア児支援関係機関による協議会の推進 135 重症心身障害児と家族への支援   (3)障害児相談支援体制の確保(69ページ) 136 児童発達支援センターによる相談支援の実施 137 指定障害児相談支援事業所における相談支援の実施   2 ライフステージに応じた支援の充実(70ページ) (1)早期の発見・支援(71ページ) 138 子育て世代包括支援センター事業の実施 139 産後ケア事業の実施 140 母子保健の知識の普及・啓発 141 妊産婦等の訪問指導、新生児・未熟児訪問指導 142 妊産婦・乳幼児健康診査   (2)幼児教育・保育の推進(72ページ) 143 区立幼稚園・こども園、私立幼稚園での障害児受入 144 保育所での障害児受入 145 学童保育クラブでの障害児受入 146 児童の放課後等活動の促進    (3)インクルーシブ教育システムの構築の推進(73ページ) 147 小学校就学前ガイダンスの実施 148 多様な学びの場と共に学ぶ場の充実 149 教職員への助言・支援  150 特別支援教育支援員の配置 151 教育相談の実施   (4)学校卒業後の進路に係る関係機関との連携(74ページ) 152 教育機関と関係機関の進路に係る相談連携 課題別事業計画の計画目標について  各課題別事業計画の計画目標は、次のとおりです。 @「新規」 平成30年度以降に開始した事業 令和3年度(2021年度)から令和5年度(2023年度)に実施または実施に向けた検討を予定している事業 その他、今期から新たに計画事業に位置づけて取り組む事業 A「充実」 サービス内容の向上、対象者の拡大など、質または量を拡充する事業 B「継続」 前期計画に掲載されている事業で、引き続き継続して実施する事業