更新日:2011年5月18日
井の頭線駒場東大前駅から、しょうしゃな住宅街を歩くこと10分で、目黒区立駒場公園へ着く。
石造りのいかめしい門を入ると、左手に木の間隠れに和館が見えてくる。さらに奥へ進むと、若草色の屋根に赤レンガ張りの洋館が目の前に現われる。この洋館と和館が、旧前田侯爵邸である。

旧前田侯爵邸
大名から侯爵へ
明治17年、華族令発布により、前田家は侯爵の爵位を授与されて、百万石大名の威信を保ったが、隣接して建てられた東京帝国大学の敷地拡張のため、本郷の地も駒場の東京帝国大学農学部実習地4万坪と交換されることになった。こうして、はからずも加賀百万石大名の子孫の屋敷が、目黒は駒場の地に出現することとなった。
昭和4年から5年にかけて、前田家16代当主前田
幾多の変遷を経て
しかし、栄華も永くは続かなかった。昭和16年に第2次世界大戦が勃発すると、翌年には、ボルネオ方面軍司令官として従軍中の
そして、終戦。前田邸は、昭和20年9月、連合軍に接収され、第5空軍司令官ホワイトヘッドの官邸となり、続いて26年4月からは、極東総司令官リッジウェイの官邸として使用された。その後、富士産業(旧中島飛行機)の手を経て、昭和31年に和館及び一部の土地が国の所有となり、翌年、ようやく接収が解除となったのである。
昭和38年、旧前田邸に公園を建設することが決定し、翌年、洋館を東京都が買収、国有地については、東京都に無償貸与され、都はさらに民有地を買い足して、昭和42年7月、旧前田邸は、東京都立駒場公園として生まれ変わった。その後、昭和50年に公園の管理が目黒区へ移管されて現在に至る。
面影を今に残して
公園の完成に先立ち、昭和42年4月には、洋館をそのまま利用した都立近代文学博物館と、和館に隣接して新築された財団法人日本近代文学館とが、同時に開館した。近代文学博物館は、近代文学に関するあらゆる資料を収集・保存・展示するもので、収蔵資料は、明治以降の文芸作家や評論家などの、肉筆の原稿・色紙・書簡類や初版本など約1万3,000点余に上り、年間4万人もの人が訪れた。東京都有形文化財として平成3年に指定されたが、博物館としての使命は平成14年に終えた。
建物の内部は一般に公開されている。(問合せ先 駒場公園洋館管理事務所 電話03-3466-5150)、多少手を加えられたところがあるものの、各室ごとに設けられている暖炉、天井につられたシャンデリアなどは、ほぼ洋館建築当時のままで、華麗な侯爵家の生活を、今もなおしのばせている。和館も、当時の面影を良く残しており、1階は、公園を訪れる人に無料休憩所として昭和49年から開放されている。
こうして、激動の半世紀を見つめ続けてきた旧前田邸は、緑に囲まれた都会のオアシスとして、今日も生き続けている。

駒場公園案内図
旧前田侯爵邸 洋館
休館日
月曜日・火曜日(ただし祝日の場合は開館)、
年末年始(12月29日から1月3日まで)
開館時間
午前9時から午後4時30分
見学料
無料
洋館についての問合せ先
駒場公園洋館管理事務所
電話 03-3466-5150
洋館内撮影についての問合せ先
同上
洋館外観撮影・公園内撮影についての問合せ先
目黒区みどりと公園課公園管理係
電話 03-5722-9741
旧前田侯爵邸 和館
休館日
月曜日(ただし月曜日が祝日と重なる場合はその翌日)、
年末年始(12月29日から1月3日まで)
開館時間
午前9時から午後4時
見学料
無料
和館についての問合せ先
駒場公園和館管理事務所
電話 03-3460-6725