更新日:2020年4月2日
空間放射線量の健康影響
国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告が放射線防護の世界的基準となっており、一つの目安になると考えております。
ICRPの2007年の勧告では、1年間の被曝限度となる放射線量を平常時は1ミリシーベルト未満と定めています。
1日のうち屋外に8時間、屋内(遮へい効果(0.4倍)のある木造家屋)に16時間滞在するという生活パターンを想定し
1時間あたりの放射線量に換算すると、毎時0.19マイクロシーベルトとなります。
年間1ミリシーベルト(mSv)=毎時0.19マイクロシーベルト(μSv)×(8時間+0.4×16時間)×365日
目黒区では、これに自然放射線量分を加えた数値をである毎時0.04マイクロシーベルト(μSv)を加えた、毎時0.23マイクロシーベルト(μSv)を低減措置の目安としてしています。(地上5cmの高さでの測定値)
国際放射線防護委員会(ICRP)とは
国際放射線防護委員会(ICRP)は、専門家の立場から放射線防護に関する勧告を行う民間の国際学術組織です。
ICRPが出す勧告は、日本を含む世界各国の放射線防護障害防止に関する法令の基礎にされているものです。
ICRPは、イギリスの非営利団体として公認の慈善団体であり、科学事務局の所在地はカナダのオタワに設けられています。
目黒区が測定に使用している機種
今回目黒区が小学校の校庭・砂場、保育園の園庭・砂場、公園の広場等・砂場の放射線量測定に用いているのはエネルギー補償形ガンマ線用NaI(TI)シンチレーションサーベイメーターで、「アロカ株式会社製TCS-172B」という機種です。
また、東京都が、平成23年6月15日から21日にかけて都内100か所(目黒区内では、菅刈公園、碑文谷公園で測定されました)で放射線量測定に用いたのはエネルギー補償形ガンマ線用NaI(TI)シンチレーションサーベイメーターで、「アロカ株式会社製TCS-166」という機種です。
次のように、機種によって測定原理が異なっています。
測定原理
TCS-172Bの場合
TCS-172Bは、吸収線量(Gy)に人への影響を加味した1センチメートル線量当量率(1時間あたりのμSv)で測定する。γ線による個人の外部被ばくを管理するための機器であり、安全側に評価するように調整されているので、実効線量より高めの数値を示します。この機器は広く普及しているため、他の機関が行った調査結果との比較ができるというメリットがあります。
TCS-166の場合
TCS-166では、モニタリングポストと同じく、γ線の空気吸収線量率(1時間あたりのμGy)を測定。現在は、環境放射線モニタリング指針(原子力安全委員会)における緊急時モニタリングに基づき、測定結果を1グレイ=1シーベルトに換算して、外部被ばくの実効線量(シーベルト)としています。
測定データの考え方
測定結果から1年間の積算線量を推計する場合以下の式によります。
式
(測定結果-自然放射線量)×(16÷24×0.4+8÷24×1)×24時間×365日
条件
- 自然放射線量は全国平均で1時間あたり0.04マイクロシーベルト
- 屋外に8時間、木造家屋内に16時間いると仮定
- 木造家屋内滞在(16時間)における低減効果(係数0.4)
異なる機種による測定結果を比較するときは、機種の特性による違いにより、測定結果に違いが生じることを考慮する必要があります。
