表紙 目 黒 区 障 害 者 計 画 (第5期目黒区障害福祉計画) (第1期目黒区障害児福祉計画) 改定素案(案) 平成30年度〜平成32年度 平成29年11月 目黒区 目次1ページ 第1章 計画の概要 1 計画策定の背景と趣旨 1ページ 2 計画の位置づけと構成 3ページ 3 区の障害者を取り巻く現状 5ページ 4 障害保健福祉の理念(基本的な考え方) 12ページ 5 計画の推進 15ページ 第2章 重点的な取組と施策の体系 1 重点的な取組 16ページ 2 施策の体系 20ページ 第3章 課題別事業計画 基本目標T 身近な地域で暮らし続けていくことができる仕組みづくり 1 相談支援の充実 26ページ 2 権利擁護の推進 30ページ 3 保健・医療・福祉サービスの連携 32ページ 4 地域における日常生活の支援 35ページ 5 人材の確保・定着・育成とサービスの質の向上 39ページ 6 経済的支援 43ページ 基本目標U 誰もが社会に参加し、貢献することができる仕組みづくり 1 社会参加を促進するための支援 44ページ 2 就労支援の充実 47ページ 3 多様な活動の場の提供 50ページ 4 スポーツ・芸術文化活動及び障害当事者団体活動の推進 52ページ 基本目標V ともに暮らすまちづくりの実現 1 福祉のまちづくりの推進 56ページ 2 地域における安定した暮らしの場の確保 59ページ 3 心のバリアフリーの推進 62ページ 4 地域における支え合い 66ページ 5 緊急時・災害時要配慮者の支援 68ページ 基本目標W 障害のある児童の健やかな育成のための発達支援 1 多様なニーズに応える支援体制の確保 70ページ 2 ライフステージに応じた支援の推進 75ページ 目次2ページ 第4章 第5期目黒区障害福祉計画 1 平成32年度における成果目標80ページ 2 障害福祉サービス等の必要な見込量確保のための方策 84ページ 3 障害福祉サービス等の種類 89ページ 4 障害福祉サービスの必要な見込量 91ページ 5 地域生活支援事業の必要な見込量 100ページ 第5章 第1期目黒区障害児福祉計画 1 平成32年度における成果目標 109ページ 2 障害児福祉サービスの必要な見込量確保のための方策 111ページ 3 障害児福祉サービスの種類 112ページ 4 障害児福祉サービスの必要な見込量 113ページ 資 料 1 アンケート調査結果 116ページ 2 障害者施策の推移 127ページ 3 用語解説(50音順) 133ページ (本文中に「*」をつけた用語について解説しています。) 1ページ 第1章 計画の概要 1 計画策定の背景と趣旨 目黒区では、昭和59年の第一次障害者行動計画の策定以来、障害のある人を取り巻く環境の変化に的確に対応するため、障害のある人に関わる計画の改定を重ね、障害者福祉を総合的・体系的に推進してきました。 平成5年の障害者基本法の改正により、障害者施策の総合的・計画的な推進が法的に位置付けられ、平成16年には市町村障害者計画の策定が義務化されました。この間、区では第二次障害者行動計画(平成5年度〜平成15年度)、第三次障害者行動計画(平成15年度〜平成24年度)を策定し、障害者施策を推進してきました。 平成18年の障害者自立支援法の施行により、障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に係る目標を定める市町村障害福祉計画の策定が義務付けられ、平成19年3月に第1期目黒区障害福祉計画を策定しました。 平成20年度には、障害者基本法に基づく障害者計画として位置づけられている第三次障害者行動計画の名称を改めるとともに、第2期目黒区障害福祉計画と一体化し、「目黒区障害者計画(平成21年度〜平成23年度)」を策定しました。 平成23年度には、障害者の権利に関する条約の締結に必要な国内法の整備の一環として障害者基本法が改正されたことを踏まえた「目黒区障害者計画(第3期目黒区障害福祉計画)平成24年度〜平成26年度」を策定しました。 平成25年4月には、障害者自立支援法が障害者総合支援法*に改められるとともに、同年6月には、障害を理由とした不当な差別的取扱の禁止や障害者への合理的配慮の提供等を定めた障害者差別解消法*が制定され、雇用の分野においても障害者雇用促進法が改正されました。平成26年1月に障害者の権利に関する条約が批准されたことを踏まえた「目黒区障害者計画(第4期目黒区障害福祉計画)平成27年度〜平成29年度」を策定しました。 2ページ 平成28年6月には障害者総合支援法*及び児童福祉法が改正され、同年8月には発達障害*者支援法が改正されました。障害者に関する法整備が進められ、多様なあり方をお互いに理解し認め合う共生社会*の実現を基底に、ライフステージ*や障害特性に応じた、地域での自立生活に向けた支援体制の整備が一層求められることとなりました。 こうした法改正と社会状況の変化、障害のある人をはじめとした区民ニーズ及び目黒区地域福祉審議会の答申等を踏まえ、目黒区障害者計画を改定します。なお、児童福祉法の改正に伴い障害児支援の強化・推進のため区市町村に障害児福祉計画の策定が義務付けられたことを受け、第1期目黒区障害児福祉計画及び第5期目黒区障害福祉計画を含む目黒区障害者計画として策定するものです。 3ページ 2 計画の位置づけと構成 (1) 計画の位置づけ ・この計画は、長期的展望の下に目黒区内における障害保健福祉の総合的な計画としての基本目標を示したものです。 ・この計画は、障害者基本法に規定する障害者に関する基本的な施策を計画的に推進するための「障害者計画」、障害者総合支援法*に規定する計画期間における成果目標及び必要なサービス見込量等を定める「障害福祉計画」、児童福祉法に規定する計画期間における成果目標及び必要なサービス見込量等を定める「障害児福祉計画」に位置づけています。 ・この計画は、「目黒区基本計画」の補助計画であり、「目黒区保健医療福祉計画」等との整合性を図ります。 ・この計画の具体化は、「目黒区実施計画」及び各年度の予算によるものとします。 ○障害者基本法 第11条第3項 市町村は、障害者基本計画及び都道府県障害者計画を基本とするとともに、当該市町村における障害者の状況等を踏まえ、当該市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画を策定しなければならない。 ○障害者総合支援法* 第88条第1項 市町村は、基本指針に即して、障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に関する計画を定めるものとする。 ○児童福祉法 第33条の20第1項 市町村は、基本指針に即して、障害児通所支援(新設)及び障害児相談支援の提供体制の確保その他障害児通所支援及び障害児相談支援の円滑な実施に関する計画を定めるものとする。 (2)計画の期間 この計画の期間は、平成30年(2018年)4月から平成33年(2021年)3月までの3年間とします。 4ページ (3)計画の構成 ・この計画は、障害者基本法に基づく「目黒区障害者計画」に、障害者総合支援法*に基づく「目黒区障害福祉計画」、児童福祉法に基づく「目黒区障害児福祉計画」が含まれています。 ・第1章では、計画全体の概要を示しています。 ・第2章では、障害者基本法に基づく障害者計画における施策全般に対する重点的な取組を示しています。 ・第3章では、障害者基本法に規定する障害者に関する基本的な施策を計画的に推進するための課題別事業計画を示しています。 ・第4章では、国による障害福祉計画の策定に関する基本指針に即して、第5期障害福祉計画における成果目標と目標達成のための方策、目標達成に必要なサービスの見込量を示しています。 ・第5章では、国による障害児福祉計画の策定に関する基本指針に即して、第1期障害児福祉計画における成果目標と目標達成のための方策、目標達成に必要なサービスの見込量を示しています。 5ページ 3 区の障害者を取り巻く状況 (1) 障害に関する手帳交付申請等の状況 平成29年7月末時点の身体障害者手帳交付者数は6,048人、愛の手帳交付者数は1,151人、平成28年度末の精神障害者保健福祉手帳の交付申請の受付件数は603人、難病(特殊疾病)の医療費助成者数は2,637人となっています。(精神障害者保健福祉手帳は2年更新)平成24年度の交付者数と比較してみると、いずれの障害とも増加傾向にあり、身体障害者手帳では201人(3.4パーセント)増、愛の手帳では170人(17.3パーセント)増、精神障害者保健福祉手帳では17人(2.9パーセント)増、難病(特殊疾病)の医療費助成者では594人(29.1パーセント)増となっています。 ○身体障害者手帳交付者数 各年度7月末日時点 平成24年度合計5,847人 障害区分別 視覚障害353人、聴覚障害422人、音声言語障害61人、肢体不自由3,060人、内部障害1,951人 平成25年度合計5,907人 障害区分別 視覚障害367人、聴覚障害411人、音声言語障害55人、肢体不自由3,133人、内部障害1,941人 平成26年度合計5,975人 障害区分別 視覚障害356人、聴覚障害408人、音声言語障害52人、肢体不自由3,183人、内部障害1,976人 平成27年度合計5,885人 障害区分別 視覚障害359人、聴覚障害424人、音声言語障害46人、肢体不自由3,087人、内部障害1,969人 平成28年度合計5,931人 障害区分別 視覚障害350人、聴覚障害434人、音声言語障害73人、肢体不自由3,046人、内部障害2,028人 平成29年度合計6,048人 障害区分別 視覚障害361人、聴覚障害452人、音声言語障害78人、肢体不自由3,040人、内部障害2,117人 ○愛の手帳交付者数 各年度7月末日時点 成人は18歳以上、児童は18歳未満 平成24年度合計981人 障害区分別 最重度成人28人、最重度児童9人、重度成人264人、重度児童67人、中度成人228人、中度児童53人、軽度成人256人、軽度児童76人 平成25年度合計1,011人 障害区分別 最重度成人27人、最重度児童9人、重度成人274人、重度児童65人、中度成人236人、中度児童50人、軽度成人259人、軽度児童91人 平成26年度合計1,052人 障害区分別 最重度成人27人、最重度児童9人、重度成人285人、重度児童54人、中度成人238人、中度児童53人、軽度成人273人、軽度児童113人 平成27年度合計1,105人 障害区分別 最重度成人26人、最重度児童6人、重度成人303人、重度児童61人、中度成人238人、中度児童47人、軽度成人308人、軽度児童116人 平成28年度合計1,124人 障害区分別 最重度成人27人、最重度児童4人、重度成人315人、重度児童60人、中度成人236人、中度児童47人、軽度成人312人、軽度児童123人 平成29年度合計1,151人 区分別 最重度成人29人、最重度児童2人、重度成人316人、重度児童75人、中度成人231人、中度児童43人、軽度成人352人、軽度児童130人 6ページ ○精神障害者保健福祉手帳の交付申請 各年度末日時点(単位:人) ※手帳は2年更新 平成24年度586人、平成25年度606人、平成26年度605人、平成27年度665人、平成28年度603人 ○特殊疾病(難病)の医療費助成者数 各年度末日時点(単位:人) ※国及び東京都の医療費助成件数(小児慢性疾患を除く) 平成24年度2,043人、平成25年度2,173人、平成26年度2,333人、平成27年度2,387人、平成28年度2,637人、 7ページ (2)アンケートやヒアリング等での意見等について @アンケートについて 障害のある人及び児童の保護者を対象とした「目黒区障害者計画のためのアンケート調査」を実施しました。 ア)調査の目的 本計画改定に当たり、障害がある人の現状や課題と今後の意向を把握するため。 イ)実施の期間 平成28年10月から11月まで ウ)調査の方法 障害がある人等約2,300人を対象に、5種類のアンケートを実施。 No.1〜4については郵送配布、No.5については幼児療育通所施設、区立小中学校特別支援学級*、都立特別支援学校を通して保護者に配布又は郵送。すべて郵送回収。 ナンバー1身体障害者、配布数1,286件、有効回答数647件、有効回答率50.3% ナンバー2知的障害者、配布数299件、有効回答数153件、有効回答率51.2% ナンバー3精神障害者、配布数199件、有効回答数91件、有効回答率45.7% ナンバー4難病患者、配布数196件、有効回答数95件、有効回答率48.5% ナンバー5児童・生徒の保護者、配布数387件、有効回答数176件、有効回答率45.5% 8ページ エ)主な分析結果 ○将来の暮らしについては、知的障害の方でグループホーム*等の共同生活への意向が強く31%、精神障害・難病の方は自立した生活への希望が高く、それぞれ約17%、約6%と2番目に高くなっています。 ○医療について困っていることは、知的障害の方では自身の病気や入院時のコミュニケーションに不安を抱えている方が多くなっています。また、精神障害の方では、具合が悪くなったときの対応方法がわからない方が約25%と2番目に多くなっています。 ○働くために重要と思うことについては、知的・精神障害の方では障害特性に配慮した職場環境の整備を求める声が高くそれぞれ約43%、約48%と多くなっています。 ○外出するときに困ったり不便に感じることについては、障害別にみると、身体障害・難病の方は歩道、道路、階段の昇降が困難であるなどハード面に対して困ったり不便に感じているのに対し、知的障害の方は外出した際のコミュニケーションや障害理解に対して困ったり不便に感じています。 ○災害発生時や避難所での生活で不安に思うことについては、障害別にみると、知的・精神障害の方では「他の避難者が障害や症状について理解してくれるか」がそれぞれ約67%、約50%と多くなっています。身体障害・難病の方では、「避難先のトイレが使えるか」がそれぞれ約38%、約31%と多くなっています。 ○地域での自立した生活のために重要だと思う取り組みについては、知的障害の方では、「グループホームなど地域での生活の場の整備」が約60%と最も高く、知的・精神障害の方では、「障害への理解を促進する教育や交流の促進」「障害や病気に対する理解のための普及・啓発(講演会や広告などによる周知)」など障害に対する理解促進を求める回答が多くなっています。 9ページ A関係者からの意見等について 目黒区障害者自立支援協議会*、地域福祉を考えるつどい、障害者団体と区長との懇談会などを通して、障害がある人、家族、施設職員など関係者からの意見等をまとめました。 主な意見 ○基幹相談支援センター*、地域の社会資源、課題に精通した専門職員の配置、計画相談支援に関してもさらなる事業所確保と質の向上が重要である。 〇地域移行・地域定着に関して、ニーズの発掘、受入れ体制整備に向け医療、保健、福祉等の関係機関が定期的に協議する場が設けられることに期待する。 〇虐待に関しては、被虐待児者への対応はもちろんのこと、予防という点でその発見と支援体制の確立が進められる必要がある。 〇家族の高齢化等により家庭での支援力低下が避けられない現状があり、住み慣れた地域で生活の場を確保し、生活を整えるために、さらなるグループホーム*の増加が必要である。 〇発達障害*者、高次脳機能障害*者等への支援について、十分な理解が得られていないため、専門的な相談支援体制の充実、区民への周知、理解促進を図ることが必要である。 〇区民の障害者への理解を促進すること、心のバリアフリー*の推進のため、障害者自立支援協議会、関係団体等との連携による学校における福祉教育の推進、 障害のある子どもとない子どもの交流機会のさらなる創出が必要である。 〇福祉人材の確保と質の向上のため、行政と民間事業所が連携し、人材の確保、育成、定着を実現する研修等を整備していく必要がある。 〇目黒区内の企業に対して実習・体験の場の提供や区役所等公的機関における障害者雇用枠の拡大、障害者の雇用、定着を促進していくことが必要である。 〇障害にあった移動支援、意思疎通支援などのさらなる充実を望んでいる。 〇障害者に地域の防災訓練への参加を呼びかけ、災害時の対応、避難生活等に関して、意識を啓発する必要がある。 10ページ 〇児童発達支援センター*を中心として、教育、福祉、保健、医療等関係機関との連携システムの構築が必要と考える。 〇医療的なケアが必要な児童が利用できるサービスが限られているため、医療的ケアが必要な児童に対応できる体制が必要である。 〇児童の相談、サービスの量、質ともに依然として不足している。児童発達支援、放課後等デイサービス*、レスパイト*、入浴サービス等の充実が望まれる。 11ページ Bヒアリング 区内の障害者団体、施設職員等で構成する障害者団体連絡打合せ会及び、区立児童発達支援センター*すくすくのびのび園を利用する児童の保護者に生活の状況や意見、要望をお聞きしました。 ア)調査目的 障害のある人や関係者から直接意見要望等を聞き、計画策定に反映するため。 イ)実施期間 平成29年8月から9月 ウ)主な意見 ○区内の他の職員にも障害や差別解消について啓発や教育をしてほしい。 ○発達障害に対する理解を深めることを、区を挙げてやってほしい。 ○情報を集約してわかりやすくまとめてほしい。 ○目黒区で一番課題になっているのは高齢化と住まいづくり。入所施設やグループホーム*が少ない。 ○災害時、自閉症や聴覚過敏の人は、避難所など多くの人が集まる場は困難であるため、特性に応じた理解も深めてほしい。 ○就労支援の定着率の向上が課題である。 ○初期の段階なら福祉につなげる切れ目のないリハビリテーションが必要である。 ○目黒区に直接施設を作ったり、サービスを作ったりすることは限られており、計画が実現しやすいよう事業者に働きかけるなどの環境を作ってほしい。 ○医療的ケア児の支援について、小児の医療ケアのできる看護師が少ない。看護師を増やすだけでなく、医療的ケアのできるヘルパーを増やしてほしい。医療的ケア児の日中活動の場がない。 ○移動支援を充実してほしい。 ○事業所への質の向上に向けた働きかけが必要である。 12ページ 4 障害保健福祉の理念(基本的な考え方) (1)障害保健福祉の理念 平成12年10月に策定した目黒区基本構想では「人権と平和を尊重する」ことを基本理念として掲げ、子どもも高齢者も、障害のある人もない人等、すべての人が人間として平等であり尊厳が保たれる社会の実現を目指しています。 また、障害者基本法に位置付けられる「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会実現」といった目的を踏まえるとともに、目黒区ではこれまで進めてきた取り組みをより一層推進します。 これらの基本理念等をもとに、目黒区障害者計画は、障害の有無にかかわらず、機会の平等、アクセシビリティ*が保障され、すべての区民があらゆる場面で自己選択・自己決定に基づき、地域で自分らしく生きることができる社会を目指すとともに、障害のある人とない人が相互に理解と交流を図り、ともに暮らす社会を実現することを基本理念とし、以下の観点に立って施策を推進します。 ○ 障害のある人のライフステージ*や障害特性に応じて、自ら望む生活のあり方を選択し、保健・医療・福祉の各分野連携のもと、地域で暮らし続けていくために必要な切れ目のない横断的なサービスが提供される体制を整備する。 ○ 障害のある人が社会の一員として教育・就労の機会を得るとともに、学習・文化・スポーツ活動・地域活動等に参加し、充実した社会生活を送るために必要な情報保障やサービスを整備する。 ○ 障害のある人とない人との交流を促進し、社会参加の妨げとなる差別、偏見、物理的な障壁をなくし、相互に人格と個性を尊重し支え合いながら生活していけるまちづくりを実現する。 ○ 障害のある児童の多様な支援ニーズにきめ細かく対応するとともに、適切なサービスの確保と質の向上を図るため、障害のある児童のサービスに係る提供体制を計画的に構築する。 以上のことを進め、地域における社会資源を有効に活用するために、障害のある人、高齢者あるいは児童といった区分にとらわれることなく、地域のサービスを横断的に相互活用し、各種の社会活動に障害のある人が積極的に参加できるような体制づくりを構築するため、「ソーシャル・インクルージョン*」の理念の具現化に努めます。 13ページ (2)障害保健福祉の基本的な考え方 本計画では、障害保健福祉の理念を踏まえながら、障害福祉に関する法改正や状況の変化を受けて、以下の4点を基本的な考え方とします。 ○ 身近な地域で安心して暮らし続けていくことができる仕組みづくり 障害のある人が、地域において必要なサービスを受けながら日常生活を送れるよう相談支援の充実を図るとともに、基幹相談支援センター*の整備に取り組みます。基幹相談支援センターは、地域の相談支援の中核的な存在として、障害の種別にかかわらず総合的・専門的な相談に対応するために、相談支援事業者及び関係機関等と連携し、地域の相談支援体制を構築します。また、相談支援事業者等に対する専門的な指導・助言、情報提供、人材育成の支援等により、区内全体の相談支援機能の強化を図ります。 障害のある人の高齢化、重度化や「親亡き後」を見据え、地域で安心して暮らし続けられるよう、様々な支援を切れ目なく提供できる地域生活支援拠点*を整備します。 また、施設や病院から退所・退院した方が地域で安定した生活に移行できるよう、地域移行に関する相談体制を充実させるとともに、様々な障害のある人に対して、保健・医療・福祉の関係機関による情報共有や連携体制を推進します。あわせて、障害のある人が地域で安心して暮らすため、在宅生活の継続に向けた支援及びグループホーム*や障害者施設の整備に努めます。 ○ 誰もが社会に参加し、貢献することができる仕組みづくり 障害のある人が、地域社会の一員として教育・就労の機会を得て、充実した生活を送るために必要なサービスの提供を図ります。就労意欲のある人が、一人ひとり障害特性や適性に応じた就労形態をとることができるよう就労支援や生活支援の充実を図るとともに、障害者施設における自主生産品の販売促進や普及、販路の拡大等について工夫し、工賃水準の向上を目指します。 また、障害のある人が、地域を支える担い手となり、自分らしく活躍できるような場や機会の提供などの環境整備を進めます。 さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機とし、身近な地域で継続的にスポーツに親しめるよう、機会の一層の充実を図るとともに、文化芸術活動や余暇活動を通じた人との交流、障害特性に配慮した図書館や社会教育講座等の充実を図ります。 14ページ ○ ともに暮らすまちづくりの実現 障害のある人もない人もともに地域で暮らせるまちづくりを推進するためには、区民一人ひとりがノーマライゼーション*の理念に基づき、差別、偏見、物理的な障壁をなくし、障害や障害特性に対する理解を深め、相互に人格と個性を尊重し支えあうことが必要です。 障害のある人や、高齢者、子どもなど誰もが利用しやすい公共施設や公共交通機関の整備に向けて取り組むとともに、障害者の権利に関する条約の理念に基づき、心のバリアフリー*や差別解消に取り組むとともに、地域における交流を促進し、障害のある人とない人の相互理解を深めながら、すべての人の基本的人権が尊重される地域社会の実現を目指します。 ○ 障害のある児童の健やかな育成のための発達支援 児童発達支援センター*や発達障害*支援拠点を中心として関係機関が連携し、障害のある児童の発達や成長段階に応じた支援、訪問相談等の支援体制の充実を図ります。 保健・医療・保育・教育・就労支援等との連携を図り、子どもの発達への保護者の不安も含め、多様な支援ニーズに応じた切れ目のない支援に取り組んでいきます。 障害のある児童が、その障害特性に応じて、必要な支援を受けながら、地域の保育・教育・子育て支援において、障害のない児童と共に学び成長する機会を進め、障害のある児童とその保護者等が孤立することのないよう、心のケアを含めた家族支援の充実を図ります。 15ページ 5 計画の推進 (1)総合的な計画推進体制の強化 本計画に掲げる目標の実現、サービス基盤の確保のため、各事業は全庁的な取り組みとしてとらえ、福祉部門と他の部門との連携をより深めながら、それぞれの担当部局が障害者施策を推進します。 また、行政のみならず、地域福祉審議会や障害者自立支援協議会*等、広く区民の参加と理解・協力を得て、障害者施策を総合的に推進します。 (2)地域における連携・協力体制の活用 障害がある人の地域生活への支援や就労支援を着実に推進するため、障害福祉サービス事業者、関係機関、地域及び障害者団体等との連携を強め、協力体制の構築に中核的な役割を果たす障害者自立支援協議会を活用し、地域における障害福祉に関するネットワークの構築に一層努めます。 さらに、障害・高齢・子ども・生活困窮など多様で複合的な課題に対応するため地域包括ケア*を推進し、地域包括支援センター*との連携を強化します。 (3)目標達成状況の評価と方法 定期的に障害福祉サービス等の各事業の進捗状況や目標達成状況について、毎年その実績を把握し、分析評価を行い、その結果を公表します。区民や関係者の理解と協力を得ながら、各事業の着実な進行管理に努めます。 (4)国、都、他自治体との連携 事業実施においては、関係機関との連携を深め、国、都、区の適切な役割分担をしながら施策を推進します。 また、国、都の役割に関して、必要な要望を行うとともに情報交換を通じて他自治体との連携を深めます。