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更新日:2014年1月15日

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人権啓発のとびら 子どもも大人も一人の人間 「いじめは… 心にも身体にも深い傷を残します」

いじめは、いじめている人だけが悪いのでしょうか? いじめを、ただ見ているだけの人は、いじめを認めていることと同じではないでしょうか?

平成16年度 人権作文 東京都優秀賞(目黒区代表作品)

「一人の女の子から学んだこと」目黒区立東山中学校3年 M・Aさん

小学校4年生の夏頃、私の小学校に一人の女の子が転入してきました。その子の名前はファティーナといい、アフリカと日本人のハーフでした。ファティーナは、私達と違って肌の色は黒、日本語もうまく話せず、着ている服も変わっていました。なので、私達はずっと話しかけられずにいました。

そんなある日、いじめっ子の男の子たちが「変な柄の服。」と言って、ファティーナにバケツの中の大量の水をかけました。その日ファティーナはずっと泣いていましたが、私達は男の子達が怖くて助けることができませんでした。

そんな日々が何日も続き、とうとうファティーナは不登校となってしまいました。そしてその日の1時間目、担任の先生はものすごい剣幕で私達全員を叱りました。私は、正直(どうして関係のない私まで叱られなければならないのだろう。)と思っていましたが、その時、先生はこう叱ったのです。

「人を傷つけるような行為を平気でするなんて、本当に情けない。でも、その様子や心を傷めているファティーナを見て見ぬふりをするのは、もっと情けない。」

この時私ははっとしました。いつも、いじめや差別を受けているファティーナを見て、「可哀そう」「ひどい」などと思っていただけで、彼女の為にしたことは何ひとつなかったことに気付いたのです。遠足の班決めや、お弁当を食べる時も、一緒のグループに誘ってあげたことはありませんでした。生まれ育った国も、言語も何もかもが違うファティーナに近づくこと自体、抵抗を持っていたのかもしれません。

しかし、しばらくお説教を受けていると、先生は見て見ぬふりをした私達を全面的に叱っていることに気が付きました。私はそのことについて、また新たな疑問を抱きました。(確かに見て見ぬふりをするのは悪かったけど、もとはと言えば差別やいじめを始めた男の子達が悪いんじゃん。そんなことがなければ、見て見ぬふりなんてする必要もなかったんだし。)と。

その日の夜、私は父親に、ファティーナが受けたいじめや差別について、それに対する自分の行動・心情、先生に叱られたこと、自分が疑問に思ったことなどを一つ残らず話しました。すると、やはり父親にも叱られました。私はいまいち納得がいかず、「でも私はいじめてなんかいない!」と言いました。

すると父は、「お前だってその子を助けることに抵抗があったんだろう。ならその男の子達と同じように差別をしているではないか!都合のいいことばかり言ってんじゃねぇ!」

この時、初めて自分を恥ずかしく思いました。父の「お前だって差別している」という言葉が、とても重く感じられて、その日から数週間自己嫌悪に陥りました。勉強などもっての他、友達付き合いを楽しむことでさえもおろそかになっていた私は、この気持ちのモヤモヤを取り除く為、勇気を出してファティーナの家へ行くことを決意しました。今までのことを謝り、学校へ誘おうと思ったのです。男の子たちも、私の友達も、一緒に行くと言ってくれました。

が、時、既に遅し。ファティーナが遠くへ転校してしまったことが分かったのです。私達は、一人一人心を込めた手紙を書き、大きな封筒に入れてファティーナに送りました。

結局返事は来なかったけれど、その後もたくさんの外国人生徒が転入してきました。その時から、日本人と同じように接するようにし、やがて「外国人」という意識も消えてゆきました。外見は違っても、思うこと、感じることなどは私達と同じだったからです。

教科書では学べないことを、たくさん学んだ数ヶ月だったと思います。

パネルのダウンロード

いじめは… 心にも身体にも深い傷を残します(PDF:1,236KB)

注記

パネルに掲載されている作文は、大田区の中学生の作品になっています。

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