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世界人権宣言60周年を迎えて (めぐろ区報 平成20年12月15日号に掲載した記事です)
平成20年12月
今から60年前の昭和23年(1948年)12月10日、国際連合は第3回総会で、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等である」(第1条)とうたった世界人権宣言を採択しました。
20世紀、人類は2度の世界大戦を経験し、多くの尊い生命を失いました。これらの大戦への反省から、第二次大戦後、世界の人々の間に平和と人権の尊重を求める気運が高まりました。そして、今では当たり前のこととなっていますが、人権は万人に固有のものであり、国際社会全体にとっての関心事であるということを初めて確認したのが世界人権宣言でした。
その後、世界人権宣言は人種差別撤廃条約など、宣言以降に作成された人権に関する条約の基となってきました。これらの人権条約について、すべての政府があらゆる条約の締約国となっているわけではありません。また、宣言自体が法的拘束力を持つものではありません。しかし、宣言はすべての国々で受け入れられています。60年を経た現在、世界各地で紛争は絶えず、貧困と差別はいまだに根絶されていませんが、宣言の輝きは失われていません。
世界人権宣言は、前文と30条の条文から成っています。例えば、「すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的もしくは社会的出身、財産、門地その他の地位またはこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる」(第2条)、「なに人も、奴隷にされ、または苦役に服することはない。奴隷制度および奴隷売買はいかなる形においても禁止する」(第4条)など、現在の私たちにはごく当然と思われる内容ばかりです。しかし、現実を見ると、私たちが日常使っている物が発展途上国での子どもたちの強制労働によって作られていたことがあるなど、宣言に述べられている条文と私たちの生活とは決して無縁ではありません。
私たちは人権を当然に享受する一方で、他者の人権も尊重していかなければなりません。そして私たちには、国内だけでなく、世界中のあらゆる人々の人権の実現に寄与することが求められています。
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