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来月は「就職差別解消促進月間」です (めぐろ区報 平成22年5月15日号に掲載した記事です)
「あなたの家の家業は何ですか」「生まれてから、ずっと今のところに住んでいるのですか」「あなたの学費はだれが出していますか」「結婚の予定はありますか」「学生時代は自宅通学でしたか」「尊敬する人物はだれですか」。これらは、採用面接で就職差別につながるおそれがある不適切な質問として挙げられている事例です。なぜ、このような質問はいけないのでしょうか。
就職は、一人ひとりにとって、生活の安定や社会参加を通じての生きがいなど、幸せに生きていくうえで大きな意義をもっています。だれもが自由に、自分の適性や能力に応じて職業を選べる「職業選択の自由」は、憲法で定められた基本的人権の一つです。
就職の機会均等を実現するためには、雇用する側が差別の無い公正な採用選考を行わなければなりません。本籍・出生地、家族の職業や学歴、生活環境などで決めるのではなく、広く門戸を開くことが大切です。家業や出生地を問う先述の質問例は、応募者の適性・能力を基準とした選考を行うのではなく、本人の責任ではないことで判断しようとしていると言えます。住宅環境や家庭環境の状況を聞くことは、地域の生活水準などを判断することにもなります。これらは本人の努力によって解決できない問題を採否の決定基準とすることになり、そこに予断と偏見が働くおそれが生じます。
また、思想・信条、宗教、支持する政党などは、信教の自由、思想・信条の自由など、憲法で保障されている個人の自由権に含まれるものです。それらを採用選考に持ち込むような質問は、基本的人権を侵すことになります。さらに、採用選考で結婚・出産に関することなどを女性に限定して質問するのは、男女雇用機会均等法の趣旨に反しています。
どのような人を採用するかは企業などにとって重要な問題であり、それぞれがその目的に合わせて採否を決定することは当然のことです。しかし、企業などの社会的責任が求められている現在、採用選考においても人権が尊重されなければなりません。それには、応募者を一人の人間として見る、人間尊重の精神が必要なのではないでしょうか。
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