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多様性を認めるということ (めぐろ区報 平成23年8月25日号に掲載した記事です)
平成23年8月
自分の性別に違和感を持ち、受け入れられない人がいます。自分が男性であるか、女性であるかという意識と、身体的な性別や社会的な性別が、気持ちの中で合わない、あるいは受け入れられない状態を「性同一性障害」といいます。
このような人は、成長過程の中で、自らの性別に違和感を抱き始め、家族や友人など周囲の人にそのことを打ち明けられないまま、一人で悩み続けることが多くあります。
また、自分がそうであると思う性別を周囲に公表したとしても、さまざまな社会的な不利益や差別を受けるということがありました。例えば、外見と性別記載が異なることなどから、「保険証の提示をためらい、保険医療を受けることができない」「職場に住民票を提出できず、安定した職に就くことができない」など、生活上のさまざまな問題がありました。
こうしたことから、15年に性同一性障害者性別特例法が制定され、一定の法的要件を満たした申請者には、戸籍上の性別変更が認められるようになりました。
近年では、テレビドラマで性同一性障害の少女が取り上げられたり、性同一性障害を自ら公表した歌手の曲が流行したりするなど、社会的な認知度も高まっています。
こうした一方で、性同一性障害に対する無理解から、興味本位に取り上げられたり、からかいの対象になったりすることもしばしば見受けられます。
本人の苦しみが取り除かれ、より多くの人が自分らしく生き生きと暮らすことができるようになるためには、周囲の理解や戸籍上の性別訂正などの法整備だけにとどまってはいけません。雇用や社会保障などの社会制度においても、不利益や差別を受けないよう取り組む必要があります。
自らの性別に違和感を持つということは、違和感を持たない多くの人にとっては、なかなか理解し難いことかもしれません。しかしながら、多数であるから正常で、少数だから異常であるとは決して言えません。
人権とは、人を一様にこうであるとは決めつけず、お互いの多様性を認め合うことのはずです。性別に関しても多様性に対する理解を深め、差別や偏見をなくしていきましょう。
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