更新日:2020年2月19日
区長所信表明
はじめに
令和2年第1回区議会定例会の開催にあたり、区政を取り巻く諸情勢と2年度の区政運営の基本的な考え方について所信を申し述べ、区民の皆様と議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。
はじめに、昨年関東地方に上陸し、甚大な被害をもたらした台風被害について申し上げます。
昨年9月に発生した台風15号は、記録的な暴風雨により、千葉県を中心に大きな被害をもたらしました。
また、10月に発生した台風19号は、記録的な大雨をもたらし、各地の河川が増水、氾濫し、多くの家屋が浸水被害に見舞われました。
ここで改めて、これらの台風でお亡くなりになられた方々に、心より哀悼の意を表しますとともに、被災された方々が一日も早く平穏な生活に戻ることをお祈り申し上げます。
本区の友好都市である宮城県角田市におきましても、台風19号により大きな被害を受けたことから、相互援助協定に基づき、各班2名体制で職員を派遣しております。2年4月からは、2名の職員を長期に派遣し、引き続き支援をしてまいりたいと存じます。また、「災害時における城南五区相互応援協定」に基づき、世田谷区に2名の職員を派遣したほか、埼玉県坂戸市にも災害廃棄物処理対応として2名の職員派遣を行いました。
発生からまもなく9年が経とうとしている東日本大震災の復興支援を目的とした、友好都市であります気仙沼市への職員派遣の継続を含め、今後も、国や東京都など、関係機関と連携を図りながら、被災地を支える諸活動を行ってまいりたいと存じます。
区政を取り巻く状況認識
それでは、区政を取り巻く状況認識について申し上げたいと存じます。
第一は、経済状況と区財政についてでございます。
1月の月例経済報告によれば、景気は、輸出が引き続き
本区の財政状況についてでございますが、平成30年度普通会計決算では、区財政の弾力性を示す代表的な指標である経常収支比率が、3か年連続で適正範囲を上回ることとなりました。
緩やかな景気回復を背景として、税収等は一定の伸びがみられるものの、歳出面で保育所運営費などの扶助費が、歳入の伸びを上回る拡大が続いていることが大きな要因となっております。
令和2年度当初予算編成においても、区税収入は一定の伸びはみられるものの、扶助費がさらに増加する見込みであり、既定経費の増加は、安定的な行財政運営を続けていくうえで、非常に大きな課題であると強く認識しているところでございます。
今後の国内外の景気動向や老朽化が進んでいく区有施設の更新も待ったなしとなることを見据えますと、財政調整基金や施設整備基金をはじめとする基金の着実な積立を進めていくとともに、中長期の視点に立った財政運営のあり方を考えていく必要がございます。
対応すべき課題が山積している中で、行政経営の視点で事業コストの見直しに積極的に取り組むなど、厳しい姿勢で行財政運営に取り組んでまいります。
第二に、国及び東京都の動きと地方分権改革についてでございます。昨年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2019」では、「「令和」新時代:「
こうした国の動向には十分留意していく一方で、「地方創生の推進」と「税源偏在是正」の名のもとで行われている、地方法人課税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直し、ふるさと納税などにより、特別区の貴重な財源が一方的に奪われております。国による不合理な税制改正による財源の収奪に対しては、引き続き特別区が一体となって、東京都などとも連携して地方税の本旨に基づく、公平な財源配分を強く主張していく必要がございます。
東京都が昨年7月に発表した「重点政策方針2019」では、2年度の予算編成を進めるための重点政策方針として、「戦略的視点
開催まで半年を切りました、東京
また、「東京都受動喫煙防止条例」や「東京都におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」の施行に伴い、一部の事務が東京都から特別区に移譲されることから、区としても適切に取り組んでまいります。
第三に、本区の人口構造の変化についてでございます。
平成30年3月に本区が取りまとめた最新の人口推計では、令和7年度をピークに総人口が減少に転じていく見通しとなっておりますが、現状では人口の増加が推計値を上回っている状況にございます。
0歳から14歳までの年少人口に関しては、当面、現在の水準を大きく下回る状況にはないことから、引き続き子育て支援施策に取り組む必要があると考えております。
高齢者人口は確実に増加していく見通しであり、地域共生社会の実現に向け、地域包括ケアシステムを更に推進していく必要がございます。
今後の人口減少・超高齢社会の到来を見据えて、長期的な視点に立った取組を行うことで、魅力と活力にあふれるまちづくりを推進していくことが重要と考えているところでございます。
区政運営の基本的な姿勢
次に、区政運営の基本的な姿勢について申し上げます。
昨年、新天皇が即位され、新たな時代を迎えての2年目となる令和2年度は、10年後、20年後の未来に向けて、新たな基本構想、基本計画の策定を進め、具体的な施策を実行するための各種補助計画等の改定に着手することとなります。一方で、喫緊の重要課題に迅速かつ適切に対応していく必要がございます。
近年の行政課題は、様々な領域が複雑に絡み合っており、全庁的な視点、いわゆるオールめぐろでの取組が必要不可欠でございます。
区政におけるまちづくりの基本は、性別、世代などに関わらず、多様な区民が生き生きと安心して住み続けられ、豊かさを実感できる地域社会を形成することでございます。
こうした認識のもと、以下の点を基本姿勢として、様々な施策を推進してまいります。
第一に、暮らしの安全・安心、満足度を高める区政の推進でございます。
私は、区長として、昨年10月に発生した台風19号への対応を踏まえ、これまでの大規模地震を中心とした危機管理体制から、風水害等も含めた総合的な災害対応が必要であること、近年の想定を超える自然災害の発生状況から、全庁態勢での対応が必要不可欠となっているとの認識を強くしたところでございます。今回の台風対応への検証結果を踏まえ、災害時の初動体制の強化、防災意識の向上に努めてまいります。
そのほか、暮らしの安全・安心、全世代型社会保障、
第二に、地域で助け合い、支え合う持続可能な社会の実現でございます。
地域コミュニティの形成は、区の全ての施策の根底にあるとの認識のもと、「住民が自分の地域に関心を持ち、地域の人と人とのつながりをもとにして助け合い、支え合うことができる住み良い地域社会づくり」を目指して、町会・自治会、住区住民会議等への支援をはじめとするコミュニティ施策を推進してまいります。
また、地域共生社会の実現に向け、地域づくりや社会福祉基盤整備を推進するとともに、近年、社会的関心が高まっている持続可能な開発目標(
第三に、健全でフレキシブルな行財政運営の確保でございます。
先行き不透明な景気動向や国による不合理な税制改正など、区の歳入に大きな影響を与える社会経済要因が存在する一方で、扶助費をはじめとして歳出が増加している状況にあり、今後も厳しい行財政運営が見込まれます。
老朽化する区有施設の更新をはじめ、新たな重要施策に果敢にチャレンジしていくためには、これまでと同様に、不断の見直しを着実に進めていく必要がございます。と同時に、行政経営的視点に立って、事業コストの適正化を進め、将来的にも堅実で安定性のある財政基盤を確立していくことが必要不可欠です。
健全でフレキシブルな行財政運営の確保に向けて、行政の責任領域を今一度見直し、新たな業務改善手法などを取り入れながら、全体コストの最適化を目指してまいります。併せて、新たな長期計画の実行に向けて、効果的、効率的な組織執行体制の見直しに着手してまいります。
重要課題に対する基本的な取組
次に、令和2年度の重要課題に対する基本的な取組について申し上げます。
今後も「住みたいまち、住み続けたいまち目黒」であり続けられるよう、行財政運営の基本姿勢を踏まえ、次に申し上げます5点について、積極的に推進すべき施策を設定し、計画的に取り組んでまいります。
安全・安心なまちづくり
第一に、安全・安心なまちづくりへの取組でございます。
区政運営の基本姿勢の中でも申し上げたとおり、今回の自然災害への対応を単なる一過性の事象とは捉えず、顕在化した課題に対する見直しの契機と捉え、現状に即した危機管理体制への転換を図ってまいります。
災害発生時は、消防署をはじめとする各行政機関、消防団、防災区民組織などの各地域団体や医療機関等との連携した対応も求められます。
激甚化する自然災害から、区民の生命、財産を守るため、災害時における適切な執行体制の確保を可能とするための各種規定等の見直し、迅速な初動体制への移行に向けた危機管理要員及び区内在住職員の確保、災害情報の共有化、情報発信体制の強化、緊急用土のうの拠点整備などに優先的に取り組んでまいります。そのほか、防災士の育成支援や災害時の要配慮者支援など、地域防災力の向上を着実に推進するとともに、道路・橋りょうの長寿命化、不燃化促進事業の推進、ブロック塀等の除却促進、土砂災害特別警戒区域の改修支援など、災害に強い街づくりへの対策を実行してまいります。
生活安全対策につきましては、地域の防犯力向上の観点から、防犯カメラの設置、維持管理費用の助成や商店街街路灯電気料補助などを引き続き行っていくほか、高齢者を狙った特殊詐欺が依然として多発している状況から、自動着信拒否装置等の設置支援、警察や町会・自治会などの地域団体との連携を通じて防犯意識の向上、啓発に引き続き取り組んでまいります。
そのほか、地域の安全対策向上の観点から、目黒川の桜の開花期間中への対策を適切に行っていくとともに、自転車マナーの向上を目指して、条例制定を踏まえた取組を推進してまいります。
子育て支援の充実と教育の振興
第二に、子育て支援の充実と教育の振興でございます。
令和2年4月の待機児童ゼロの達成に向けて、私はこの4年間で3千人を超える保育所の定員増に不退転の覚悟で取り組んでまいりました。
その結果として、本年4月の待機児童ゼロの実現はゴールが見えてきたところでございますが、引き続き、今後の乳幼児人口の推移等を踏まえて適切な対応を図ってまいります。また、ベビーシッター利用支援や一時保育事業など、多様な保育ニーズに応えるための取組を実施していくほか、増加している私立保育園への指導体制の強化、園庭のない保育園の子どもたちを応援することを目的にスタートしたヒーローバスによる運行プロジェクトの拡大を進めるなど、保育の質の向上にも取り組んでまいります。
放課後の子どもの居場所づくりへの対応も重要課題となってございます。教育委員会、各学校と連携を図りながら、放課後子ども総合プランモデル事業を推進するとともに、待機学童の解消と放課後子ども総合プランの本格実施を見据え、小学校校舎を活用した学童保育クラブをさらに整備するなど、安全・安心な放課後の子どもの居場所づくりを推進してまいります。
児童虐待防止につきましては、児童相談所の設置も見据え、子ども家庭課を再編した新たな子ども家庭支援センターに福祉、心理の職員を増員し、相談機能の強化を図るほか、東京都や関係機関と連携しながら、取組を推進してまいります。
目黒区子ども条例に掲げる、子どもの幸せを第一に考え、子どもと大人の信頼関係を基本として、子育ちを支えるまちづくりを目指して、子育て世代包括支援センターの機能を強化し、妊娠期からの切れ目のない相談支援体制の充実に向けて、ゆりかご・めぐろ事業の推進、産後ケア事業の充実を図ってまいります。
このほかにも、年度内に改定する「子ども総合計画」に基づき、区における子育て支援施策等を計画的に充実・推進してまいります。
学校教育においては、小中学校において2年度から順次全面実施となる新学習指導要領を踏まえ、主体的・対話的で深い学びを通じて、児童・生徒一人ひとりが幅広い知識と教養を身に付け、豊かな情操と道徳心を培うとともに、すこやかな身体を養うことができるよう、日帰り体験型英語学習事業の拡充、オリンピック・パラリンピックを踏まえた特別給食の実施や伝統・文化に関する教育など各種取組を推進してまいります。また、ICT環境の整備、トイレの洋式化など、教育環境の質の向上に努めるとともに、2年度に策定する学校施設の更新計画に基づき、老朽化した学校施設の更新を計画的に進めてまいります。そのほか、改定する目黒区特別支援教育推進計画に基づき、特別支援教育の充実を図るとともに、いじめや不登校の未然防止と早期解決、児童・生徒の熱中症対策や区立中学校の適正規模・適正配置に向けた取組を推進してまいります。
福祉の充実と健康づくりの推進
第三に、福祉の充実と健康づくりの推進でございます。
地域共生社会の実現に向けて、目黒区保健医療福祉計画が掲げる3つの基本目標に沿った取組を推進してまいります。
「地域福祉・地域包括ケアの推進」に関しては、昨年4月に設置した福祉のコンシェルジュにおける相談支援を更に推進するほか、包括的相談支援体制を充実するための人材育成事業の実施、権利擁護の推進、地域における高齢者の見守り支援などに取り組んでまいります。また、認知症の早期診断・早期対応に向けた取組にも着手してまいります。
「地域における自立した生活への支援」については、旧第六中学校跡地に続き、第四中学校跡地、目黒三丁目国有地を活用して特別養護老人ホームを整備してまいります。また、介護予防・フレイル予防を目的とした地域の支え合い活動推進事業や高齢者等が地域活動に参加するきっかけとなる機会の提供など、高齢者の社会参加に向けた取組を推進してまいります。ひきこもり支援や女性の路上生活者等に対する緊急一時宿泊施設の確保など、生活困窮・要支援者への取組も進めてまいります。
平成30年4月に開設した発達障害支援施設「ぽると」における相談業務の充実、障害者のための通所施設利用時間外活動の支援を行うとともに、医療的ケアを伴う場合を含めた重症心身障害児への支援として、目黒区心身障害者センターを活用して、区立として初となる通所支援事業を開始いたします。
「健康で安心して暮らせるまちづくり」に関しては、健康増進法の一部を改正する法律及び東京都受動喫煙防止条例の全面施行を踏まえた取組を推進するとともに、東京都の補助金を活用した屋内型民間喫煙施設の整備を進め、路上喫煙対策にも取り組んでまいります。また、乳がん検診の対象年齢の拡大、ロタウイルスワクチンの定期接種化に向けた対応や骨粗しょう症検診の令和3年度からの開始を目指して取り組んでまいります。
そのほか、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、地域包括ケアシステムの推進を図るとともに、高齢者人口がピークになると予想される2040年を見据え、地域共生社会の実現を目指して、保健医療福祉計画、障害者計画の改定と第8次介護保険事業計画の策定に取り組んでまいります。
環境と調和した魅力あるまちづくりの推進
第四に、環境と調和した魅力あるまちづくりの推進でございます。
環境と調和した持続可能で快適なまちの形成にあたっては、目黒区環境基本計画に掲げる基本方針「省エネのまちづくり」「循環型社会づくり」「みどりづくり」「生活環境づくり」「ひとづくり」に沿った取組を推進してまいります。
特に、目黒川の水質改善については、
地球温暖化への対応を推進するための計画改定や生物多様性の確保に向けた取組、めぐろサクラ再生プロジェクトによる緑化の推進、新エネルギー・省エネルギー設備の設置費助成も継続してまいります。
目黒のまちを今後も魅力あるものとして維持していくためには、長期的な視点に立って街のグランドデザインを描いていくことが重要となります。
長期計画改定を踏まえ、街づくりのグランドデザインとその方向性を示す「都市計画マスタープラン」の改定に向けた取組を行ってまいります。
国家公務員駒場住宅跡地につきましては、区内に希少な大規模国有地であり、地域の方々からも大きな関心と期待が寄せられております。
国に対する区としての活用提案書の策定にあたっては、地域の皆様のご意見を丁寧に伺いながら、魅力ある駒場のまちの形成に向けて、取組を進めてまいります。
コミュニティの活性化は、まちの活力を生み、魅力あるまちづくりにも寄与するものでございます。
従来から行っているコミュニティ活動の支援に加え、町会会館整備等の支援を充実してまいります。
宮城県気仙沼市と友好都市協定を締結して今年で10年目を迎えます。また、目黒区と気仙沼市の方々をつなぐ「目黒のさんま祭」が25回目を迎えます。25周年を記念してイベントを実施してまいります。
多様性を認め合う平和な社会の実現に向けた取組の推進
第五に、多様性を認め合う平和な社会の実現に向けた取組の推進でございます。
「目黒区男女が平等に共同参画する社会づくり条例」の改正案を本定例会に提出させていただいておりますが、性的指向及び性自認による差別のない、性の多様性が尊重される社会づくりに向けて、一層の理解促進を図るとともに、具体的な取組を進めてまいります。
東京
令和2年度予算編成の概要
令和2年度予算案につきましては、「区民の安全・安心を守り、明るい未来を築く予算」と位置づけ編成いたしました。災害時における危機管理体制の強化など、区民の安全・安心をしっかりと守るとともに、明るく活力のある未来を築いていくための取組を行っていくものといたしました。
一般会計予算では、区の基幹財源である区税収入について、ふるさと納税による減収影響やたばこ税の減収が見込まれる一方で、景気の緩やかな回復が続いていることを反映させ、全体としては前年度当初に比べ5億3千万円余の増収を見込みました。一方、特別区交付金は、国の不合理な税制改正による市町村民税法人分のさらなる国税化の影響により、都区財政調整による財源である調整税が減少の見込みであることなどから、28億4千万円余の大幅な減収見通しとなっております。
歳出につきましては、実施計画事業に86億7千万円余を計上するほか、重点化対象事業に64億9千万円余を計上し、真に必要性・緊急性の高い事業に重点的に予算を配分するよう努めております。財政調整基金については、喫緊の行政課題に積極的に対応するため、28億5千万円余を取り崩す一方、将来の財政需要に安定的かつ柔軟に対応するため、財政運営上のルールに基づく10億円の積み立てなどを行い、2年度末の残高見込みを208億5千万円余としております。
一般会計の予算規模は1,071億2千万円余で、前年度当初と比べて8億7千万円余、率にして0.8パーセントの増となるものです。また、特別会計につきましては、国民健康保険特別会計は251億4千万円余、後期高齢者医療特別会計は68億3千万円余、介護保険特別会計は211億円余となり、一般会計と3つの特別会計との予算額の合計は1,601億9千万円余で、前年度当初と比べ、4億2千万円余の増となっております。
ここ数年の本区予算の特徴の一つに、既定経費の増加がございます。その最大の要因は、喫緊の課題への対応として積極的に整備を進めている保育所の運営経費をはじめとした扶助費の増加でございます。既定経費の増加は区の財政構造の硬直化を招く要因であることをしっかりと認識しながら、区民生活を守り支えていくために、引き続き健全な財政運営の実現に向けた取組を進めてまいります。
平和と基本的人権の尊重
最後に、基礎自治体としてあらゆる施策の根底に据えております、「平和と基本的人権の尊重」について申し上げます。
今年は、56年ぶりにオリンピック・パラリンピック競技大会が東京で開催されます。オリンピック・パラリンピック競技大会は、4年に一度の世界的なスポーツの祭典でございますが、平和の祭典でもございます。近代オリンピックの父と称されるピエール・ド・クーベルタンが提唱したオリンピックのあるべき姿、いわゆるオリンピズムとは「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍など様々な差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」とされ、オリンピック憲章においてオリンピズムの根本原則として掲げられております。
改めて、個人の尊厳の大切さを強く意識し、差別のない平和な社会の実現に向けて、基礎自治体として、様々な取組を通じて、意識の向上、啓発に努めてまいりたいと存じます。
おわりに
以上、令和2年度の区政運営に臨む私の所信を申し述べました。
区長4期目となる私の任期も、残りわずかとなりました。これまでの16年間、28万目黒区民の福祉の向上を目指し、安全で安心なまちづくりに向けて、子どもから高齢者まで、保育所待機児童対策や特別養護老人ホームの整備など、様々な施策に取り組んでまいりました。また、厳しい財政状況に直面した時にも、課題を先送りすることなく、改革を断行して財源不足を回避するなど、区政運営に全力を注いでまいりました。その結果として、区民の定住意向は、95パーセントの高い数値を維持しているところでございます。
令和2年度は、21世紀半ばに向けた目黒区の将来像を創造するとともに、新たな時代に即した区政運営に向けて変革を進める大変重要な年でございます。そのためには、区組織全体が「
私は、明るい未来を見据えて、新しいめぐろのまちづくりに向けて、区長としての責務、責任を全うさせていただくべく、引き続き「住みたいまち、住み続けたいまち目黒」づくりにチャレンジしてまいりたいと存じます。
ICTの進展で人々の生活環境が劇的に変化していく中で、常にチャレンジ精神を忘れることなく、区民の皆様のご期待に応えられるよう、区民福祉の更なる向上を目指して、課題解決に全力で取り組んでまいります。
改めて、議員各位と区民の皆様の、一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、所信表明といたします。
