トップページ > 区政情報 > 区長の部屋 > 区長の発言集 > 所信表明 > 令和4年第1回目黒区議会定例会での区長所信表明(令和4年2月17日)

更新日:2022年2月18日

ページID:1578

ここから本文です。

令和4年第1回目黒区議会定例会での区長所信表明(令和4年2月17日)


区長所信表明

はじめに

令和4年第1回区議会定例会の開催にあたり、区政を取り巻く諸情勢と4年度の区政運営の基本的な考え方について所信を申し述べ、区民の皆様と議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症の現状認識についてでございます。

ワクチン接種等の効果もあり、昨年10月以降減少していた陽性者数が、南アフリカに端を発する「オミクロン株」の出現により、瞬く間に世界的な感染の広がりを見せており、国内外の経済の先行きにも懸念が生じています。本年1月時点では、重症化のリスクは比較的低いとの一部研究結果も報告されておりますが、3回目のワクチン接種をはじめ、今後の動向を注視しながら引き続き適切に対処していく必要がございます。

区長として5期目のご信任をいただいた当初からコロナ対策に万全を期しているところですが、引き続き、区民の生命、暮らしを守るとともに、ポストコロナも見据えてしっかりと取り組んでまいります。

東日本大震災発生から10年が経過しています。国においては、昨年3月に第1期復興・創生期間が終了し、現在は、令和7年度までの第2期復興・創生期間が始まり、継続した取組が進められております。昨年12月には、復興道路・復興支援道路が全面開通し、交通・物流網のインフラ整備は概ね完了しております。

昨年12月に友好都市の角田市、気仙沼市に訪問した際、市長には今後も様々な観点から連携・協力を進めてまいりたいとのお話をさせていただいたところです。

東日本大震災の記憶を決して風化させることなく、本区としても基礎自治体としての役割を踏まえ、首都直下地震への備え、激甚化する風水害への対応など、自然災害の発生に備えて計画等の再点検、組織執行体制の強化を進めてまいります。

区政を取り巻く状況認識

それでは、区政を取り巻く状況認識について申し上げたいと存じます。

第一は、経済状況と区財政についてでございます。

本年1月の月例経済報告によれば、景気は、コロナによる厳しい状況が徐々に緩和される中で、このところ持ち直しの動きがみられるとされております。

本区の財政状況でございますが、令和2年度普通会計決算では、区財政の弾力性を示す代表的な指標である経常収支比率が2年ぶりに適正範囲を上回ることとなりました。特別区財政調整交付金の財源となる法人住民税の一部国税化の拡大により大幅な歳入減となったこと、保育所運営費をはじめとする扶助費の増加が続いていることが大きな要因でございます。

令和4年度当初予算編成においては、区税収入及び特別区財政調整交付金は一定の伸びがみられる状況にございます。一方でコロナの収束が見通せない中、区の財政構造が景気変動の影響を受けやすいものであることを踏まえると、社会経済状況などの変化を大局的な視点でしっかりと見極めていく必要がございます。

加えて、国の不合理な税制改正により区の歳入へのマイナス影響が続いております。ふるさと納税による区税の流出や法人住民税の一部国税化による区財政への影響が懸念されるところでございます。

対標準財政規模で23区平均を下回っている基金の充実に引き続き取り組んでいくとともに、新たな長期計画の推進による区政の実現に向けて、安定的な財政運営を確保していくための取組を進めてまいります。

第二に、国及び東京都の動きと地方分権の主旨に基づく特別区の取組についてでございます。

昨年10月31日の衆議院議員総選挙を経て、第101代内閣総理大臣に選出された岸田首相は、12月の所信表明演説において「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を表明し、総額55兆7千億円の経済対策を打ち出しました。成長と分配の好循環を実現するための「新しい資本主義」をポストコロナの目標に位置付けるとともに、科学技術によるイノベーションの推進、デジタル田園都市国家構想、気候変動への対応、戦略的物資の確保や重要技術の獲得などの経済安全保障を成長戦略の柱に据えて、官民が協働して成長のための大胆な投資を行うとしております。こうした成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現に向けた各種経済対策は、昨年12月に成立した補正予算と令和4年度予算案とを併せて「16か月予算」として取り組むこととしております。

東京都においては、昨年3月に策定した「未来の東京」戦略を踏まえつつ、「サステナブル・リカバリー」の実現、社会変革に適応した制度や仕組みへの抜本的な見直しなどを4年度予算編成方針としてございます。都政に課された使命を確実に果たすことで、希望ある未来を切り拓いていくこととし、過去最大の予算規模になる見通しです。

今後の見通しが立てにくい状況の中で、国、都の動きを見極めながら、その時々の状況に柔軟に対応し、主体的な行財政運営を行ってまいります。

法人住民税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直し、ふるさと納税などの不合理な税制改正による財源の流出が続いており、特別区全体で大きな影響を受けております。

昨年10月には特別区長会として「不合理な税制改正等に対する特別区の主張(令和3年度版)」を公表しましたが、今後も特別区が一体となって、地方税の本旨に基づいて、公平な財源配分の考え方を継続的に強く主張してまいりたいと存じます。

第三に、本区の人口動態の変化についてでございます。

昨年3月に公表いたしました「目黒区人口・世帯数の予測」では、2040年まで緩やかながらも人口が増加するとされておりますが、本区では、ここのところ転出が転入を上回っている状況にございます。

コロナによる影響も注視しつつ、中長期的な視点での分析も踏まえて、区の魅力の向上につながるよう、各種施策を推進してまいります。

区政運営の基本的な姿勢

次に、区政運営の基本的な姿勢について申し上げます。

コロナは、社会のあらゆる場面で大きな影響を及ぼしておりますが、反面、デジタル化への変革、Society5.0(ソサエティゴーテンゼロ)の実現など、社会の仕組みが大きく変わる端緒となっております。こうした状況を踏まえて、人と人とのつながりや多様性が尊重される中で誰一人取り残さない社会を目指して、目黒区基本構想を着実に実現していくための取組が重要となります。

基本構想の実現に向けて、新たな基本計画、実施計画の下で、持続可能な行財政運営を推進していくため、以下の基本姿勢に沿って、区民及び区議会の理解を得ながら効果的かつ区民満足度の高い施策を推進してまいります。

第一に、生命・暮らしを守り、人権・多様性を尊重する施策の推進でございます。

コロナの早期収束に向けて、引き続き感染症対策に万全を期すとともに、区民の暮らしを支え、地域の産業を守る施策を効果的に推進してまいります。

自然災害をはじめとする様々な危機事象に対して、外部の知見を活かしながら、迅速かつ効果的な対策がとれるよう、危機管理体制の見直し、強化に取り組んでまいります。

平和と人権の尊重をすべての施策の基本に据え、年齢、国籍、性のあり方、障害の有無などにかかわらず、すべての区民が自分らしくいきいきと暮らせる社会の実現に向けて、全庁的な視点で取組を進めてまいります。

第二に、区民と区が共に行動する、公民連携によるまちづくりの推進でございます。

地域のコミュニティ、子育て、高齢、障害など複雑多様化する地域課題に適切に対処していくうえで、地域をはじめとして様々な団体等との連携、協働による取組の重要性が増しております。

これまでの民間活力の活用や地域との協働など、個別の連携協力だけではなく、区民・団体・企業・教育機関・行政など、多様な主体が互いの役割と責任を認め合い、総合的な連携、協力関係を構築しながら行動することが必要でございます。

様々な地域課題の解決に向けて、区の役割と責任を明確にしつつ、時代に即した公民連携手法によるまちづくりを進めてまいります。

また、デジタル・トランスフォーメーションや次代を担う「人財」の育成を見据えて、外部人材の登用や人材交流などを積極的に推進するとともに、企業等との連携・協力を推進し、組織力の向上を目指してまいります。

第三に、行財政運営の仕組みの再構築、歳入・歳出の適正化の推進でございます。

依然として厳しい財政状況が続いている中で、本年度から、学校施設の更新をはじめ長期にわたるプロジェクトが動き出してまいります。また、ポストコロナをはじめとして社会のあり方が大きく変わろうとしている今、中長期的な経営戦略をたて、状況の変化に「いち速く」対処し「より早い」対応を進めていくための仕組みが求められているところでございます。

長期計画に基づく新たな取組がスタートするこの機を捉え、政策形成過程の仕組みを再構築してまいります。中長期的な経営戦略を明確にするとともに、トップマネジメント機能を見直し、エビデンスに基づく政策立案の仕組みづくりを進めてまいります。併せて組織内の権限移譲を進めることで、これまで以上に迅速かつ適切な区政運営を行ってまいります。

加えて安定した財政基盤の確立を図りながら、効果的かつ効率的な行財政運営を進めてまいります。

重要課題に対する基本的な取組

次に、令和4年度の重要課題に対する基本的な取組について申し上げます。

未だ収束が図れないコロナ禍の社会経済状況の中で、引き続き感染症対策に最優先で取り組むとともに、区民の暮らしを守るための施策を推進してまいります。

また、区政運営においては新たな基本計画、実施計画のスタートとなることから、ポストコロナも見据えた未来志向による政策実現に向けて果敢にチャレンジしてまいります。

(1)コロナへの対応

第一はコロナへの対応でございます。コロナワクチンの接種に関しましては、65歳以上の方は95パーセント、全体でも85パーセントを超える方がワクチン接種を完了するなど23区の中でもトップレベルの水準で進めました。昨年12月には医療従事者向け、区内高齢者施設の入所者及び従事者向けに3回目の接種を開始しました。現在は当初の8か月から最大2か月、接種間隔を短縮して接種を進めています。また、11歳以下の小児向けワクチン接種に向けた準備も進めているところです。

希望される方ができるだけ早期にワクチン接種を受けられるよう、引き続き取り組んでまいります。迅速にPCR(ピーシーアール)検査を受けられる体制を維持していくとともに、派遣看護師等による電話相談窓口の継続、区独自の自宅療養者等に対する健康観察業務や濃厚接触者等に対する相談業務を外部委託により実施するなど、この機を捉えて、職員の負担軽減、保健所システムの改善を図りながら、感染拡大の中でもしっかりと保健所機能が維持できるよう対策を講じてまいります。

経済動向の見通しを立てながら地域経済の回復に向けて、事業者や商店街への支援を行うほか、企業からの寄附金を活用し、創業者支援としてインキュベーションオフィス利用のための助成を行います。また、ポストコロナを見据えて、ホームページの全面リニューアルに向けた取組を進めるほか、窓口でのキャッシュレス決済導入に向けての取組や各種イントラネット環境の整備など、行政のデジタル化を加速させてまいります。そのほか、めぐろ区報の全戸配布などを通じて、コロナをはじめ必要な情報が必要な方々に届くよう情報発信の強化に努めてまいります。

(2)安全で安心して暮らせるまちづくり

第二に、安全で安心して暮らせるまちづくりでございます。

昨年4月から危機管理部及び危機管理課を設置し、あらゆる危機事象に対して機動的な対応が図られるよう取組を進めているところでございますが、本年4月からは、防衛省の「地域防災マネージャー」制度を活用し、退職自衛官を任期付き職員として採用して、災害時における応急対応体制の強化を図るとともに、平常時から地域防災活動の支援を行うなど、専門的知見を最大限活かした、危機管理能力の強化・充実に努めてまいります。また、総合庁舎4階のレイアウトを変更し、災害発生時における危機管理体制の機動力を高めてまいります。

地域防災力の向上、防災体制の充実を目指して、これまでの取組を継続するほか、新たに民間一時滞在施設における充電環境整備等の助成や防災区民組織に支給している小型消防ポンプの機能維持のための修繕を進めます。また、4年度に大規模改修が完了する特別養護老人ホーム中目黒の福祉避難所機能を確保するために、必要な資機材を整備してまいります。発災時に障害者、高齢者などの要配慮者が、円滑かつ迅速に避難するための個別支援プランの作成を促進するなど、避難支援対策に取り組むほか、災害時要配慮者支援のための施策を推進してまいります。

犯罪のない、安全・安心な地域づくりに向けて、目黒・碑文谷両警察署、地域との連携による取組を推進するほか、地域防犯力の向上に向けて、町会・商店街等における防犯カメラの設置促進に向けた助成を計画的に進めてまいります。

インフラの長寿命化に向けて、デジタル技術等の活用による道路・橋りょうの強靭化対策を進めるほか、引き続き民間建築物の不燃化や耐震化を促進してまいります。

そのほか、特殊詐欺被害の防止に向けた取組、消費者被害の抑止に向けた啓発活動の推進、安全で安心な自転車利用に向けて取り組むとともに、通園・通学時の安全確保に向けて、通学路・スクールゾーンにおける交通安全対策の体制強化に引き続き取り組んでまいります。

(3)子育ち子育て支援と教育の振興・環境整備

第三に子育ち子育て支援と教育の振興・環境整備でございます。

「目黒区子ども条例」は、子どもの権利が尊重され、子どもが自らの意思でいきいきと成長していく子育ちの大切さとこれを支える取組を明らかにし、子どもたちが元気に過ごすことのできるまちの実現を目的としています。

昨年7月に策定した「区立児童相談所設置に向けた基本的な考え方」では、子どもと子育て家庭を支援し、虐待の未然防止につなげていくための当面の取組をお示ししたところでございます。

この基本的な考え方に沿って、子育て世代包括支援センターと子ども家庭支援センターの連携・協力体制の強化とともに、東京都児童相談所との連携強化を図るため、令和6年度中の碑文谷保健センターへの子ども家庭支援センターの移転とサテライトオフィスの誘致に向けて、関係機関・地域と連携した取組を推進してまいります。

放課後の子どもの居場所づくりも引き続き喫緊の課題でございます。

教育委員会と連携を図り、放課後子ども総合プランを計画的に推進してまいります。また、東根職員住宅跡、碑文谷土木公園事務所跡を活用した児童館・学童保育クラブの整備を進めるとともに、サービス向上の視点で区立児童館及び学童保育クラブの民営化を進めてまいります。

保育園待機児童ゼロを今後も維持するとともに、保育の質の向上、多様な保育ニーズに適切に対応していくために、区立保育園の民営化を進めてまいります。

そのほか、民営学童保育クラブに入所する医療的ケアを必要とする児童のための看護師の配置、4年4月に新規開設予定の病後児保育施設への運営助成を新たに行うなど多様な子育てを支援するための取組を推進してまいります。

教育においては、区有施設の約40パーセントを占める学校施設の老朽化対応として、昨年3月に策定した「目黒区学校施設更新計画」に沿って、今後30年間で区立小中学校24校を順次更新してまいります。

学校の更新にあたっては、1千700億円を超える経費が想定されることから、中長期的に財源の担保を図りながら計画的に進めてまいります。

学校施設の有効活用を進め、区有施設全体の最適化を図りながら区民ニーズに即した見直しを着実に進めるとともに、目黒の子どもたちのために、持続可能な教育環境の確保に努めてまいります。

子どもたちが大人へと成長していく過程で、多様な人間関係を通じて「生きる力」を身につけていくための充実した教育環境の整備に向けて、区立中学校の適正規模、適正配置の取組を進めてまいります。7年4月の新設中学校の開校を目指して南部・西部地区における区立中学校の統合を進めてまいります。

そのほか、「めぐろ学校教育プラン」に沿って、グローバル社会で生き抜く力の涵養に向けた教育を実践していくとともに4年度からスタートする「メグロスマートスクール・アクションプラン」に沿ってICT(アイシーティー)教育を推進してまいります。

また、基本構想、基本計画の策定を踏まえて、「目黒区教育に関する大綱」を改定してまいります。

(4)福祉の充実と健康づくりの推進

第四に福祉の充実と健康づくりの推進でございます。

コロナ禍の中で、人と人とのふれあいや活動が制約された結果、社会的なつながりが弱まり、多くの人が感染の不安だけでなく、経済的な不安、社会生活に対する不安を抱え、孤立や引きこもり等の様々な課題が深刻化しております。

昨年3月に改定した「目黒区保健医療福祉計画」に沿って、地域共生社会の実現に向けて、高齢、障害、子育て、生活困窮など福祉の各分野を超えた包括的支援体制の充実を図るとともに、目黒の地域にふさわしい、誰一人取り残さない地域づくりを進めてまいります。

制度の狭間や複雑化・多様化する課題により、支援を必要とする人々を地域の中から見つけ、適切な支援につなぐとともに、住民と連携して地域のネットワークを構築し、地域の福祉力の向上を図る「コミュニティ・ソーシャルワーカー」を増やし、包括的な相談支援体制と地域の支え合いを推進してまいります。

国家公務員宿舎駒場住宅跡地に令和7年度開設予定の特別養護老人ホームの整備支援、地域密着型サービス基盤や障害者グループホーム整備支援を計画的に進めてまいります。また、住宅確保要配慮者の居住支援を進めていくため、居住支援協議会を4年度設立するとともに相談支援体制を強化してまいります。

さらに、15歳以下の子どものインフルエンザ予防接種費用に対する助成を新たに実施するほか、高齢者肺炎球菌ワクチンの予防接種にあたり区が上乗せ補助を行うなど、子どもから高齢者まで健康で安心して暮らすことが出来るよう取り組んでまいります。

(5)カーボンニュートラルと持続可能な街づくりへの挑戦

第五にカーボンニュートラルと持続可能な街づくりへの挑戦でございます。

2050年カーボンニュートラルの実現は、本区におきましても極めて重要な課題と認識しております。

脱炭素社会の実現に向けて、「環境基本計画」と「地球温暖化対策地域推進計画」の一体的な改定に着手してまいります。また、区有施設の電力供給における脱炭素化の推進、東京2020(ニーゼロニーゼロ)大会で使用した燃料電池車の導入や再生可能エネルギー設備の設置に係る費用助成など各種施策も推進するとともに、区民や事業者の意識啓発にも取り組んでまいります。

ゼロカーボンシティの実現を目指して、区として取り組むべき方向性を明確にして強力に推進してまいります。

20年先を見据えて、持続可能で新たなめぐろの街づくりを推進し、明るい未来都市の実現に向けて、「都市計画マスタープラン」を改定してまいります。

公共性の視点から、安全で快適なまちの実現に向けて、自由が丘駅周辺をはじめとする各駅周辺地域において、公民連携による街づくりを推進してまいります。

ユニバーサルデザイン、バリアフリー化に向けて、歩行空間や施設、心のバリアフリー化に取り組むほか、目黒川の水質改善に向けた各種取組など、快適で暮らしやすい持続可能なまちづくりを推進してまいります。

(6)多様性を認め合い持続可能な社会に向けた取組の推進

第六として多様性を認め合い持続可能な社会に向けた取組の推進でございます。

コロナ禍で開催された東京2020(ニーゼロニーゼロ)大会は、大会の基本コンセプトに「多様性と調和」を掲げ、世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会をはぐくむ契機となるよう取り組んでまいりました。

目黒区基本構想の中でも、年齢、国籍、性のあり方、障害の有無などに関わらず、個性や違いを認め合うことができる地域社会をつくることを目指してまちづくりを進めています。

人権を尊重し、暴力や差別のない平和な社会の実現に向けて、男女平等・共同参画及び性の多様性尊重を推進するための計画に沿ってジェンダー平等の推進、人権と性の多様性が尊重される社会の形成等を目指して、各種施策を推進してまいります。

東京2020(ニーゼロニーゼロ)大会の機運醸成に向けて取り組んできた事業の成果をレガシーとして活用し、区民の健康増進や障害者スポーツの推進に向けた事業を新たに展開してまいります。多文化共生社会の推進に向けてタブレット端末による通訳サービスを継続していくほか、友好都市との交流を推進するとともに、コロナ禍の中で休止している三区間交流事業の再開に向けて準備を進めます。

本年10月には区制施行90周年を迎えます。新たな基本計画、実施計画がスタートするこの機を捉え、また10年後の区制施行100周年も見据えた持続可能なまちづくりの観点から、目黒区の歴史やすばらしさをピーアールしていくとともに、コロナ禍においても区民の皆さんが希望を持って未来を創造できる事業を展開してまいりたいと存じます。

令和4年度予算編成の概要

令和4年度予算案につきましては「新たな基本計画に基づき、目黒の未来を創るための第一歩となる予算」と位置づけました。引き続き、区民の生命・健康と暮らしを守るために、コロナ対策に全力で取り組むとともに、目黒の未来を創る10年間のスタートの年として、ポストコロナを見据えた第一歩をしっかりと踏み出すための編成を行ってございます。

一般会計予算では、区税収入について、ふるさと納税による税の流出やたばこ税の減収が見込まれる一方で、給与所得者を中心とする個人住民税が回復基調にあることから、全体としては前年度当初に比べプラス10億4千万円余を歳入予算に計上しております。また、特別区財政調整交付金についても、堅調な企業収益の伸びを背景として法人住民税の増収が見込まれていることから、前年度比で29億円をプラス計上しております。

歳出につきましては、実施計画事業に前年度比で約2倍となります75億6千万円余を計上するほか、重点化対象事業に91億7千万円余を計上し、真に必要性・緊急性の高い事業に予算を配分するよう努めております。財政調整基金については、歳入の減による財源不足を補うため、11億円余を取り崩す一方で、将来の財政需要に安定的かつ柔軟に対応するため、財政運営上のルールに基づく10億円の積み立てなどを行い、4年度末の残高見込みを302億円余としております。

一般会計の予算規模は1千152億4千万円余で、前年度当初と比べて79億1千万円余、率にして7.4パーセントの増となるものです。また、特別会計につきましては、国民健康保険特別会計は262億2千万円余、後期高齢者医療特別会計は73億3千万円余、介護保険特別会計は220億8千万円余となり、一般会計と3つの特別会計との予算額の合計は1千708億9千万円余で、前年度当初と比べ、103億円余の増となっております。

令和4年度においてもコロナ対策を最優先課題として捉え、37億円を計上してまいります。感染拡大にしっかりと「備える」とともに、区民の暮らしを「支える」、新しい日常を着実に「進める」取組を行ってまいります。特に感染症対策業務委託経費として4億5千万円を計上し、職員の負担軽減に努めるとともに、保健所機能の維持・向上を図ることで、区民の生命、健康を守るための取組を着実に進めてまいります。

平和と基本的人権の尊重

最後に、基礎自治体としてあらゆる施策の根底に据えております、「平和と基本的人権の尊重」について申し上げます。

2015年9月、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択する国連サミットがニューヨーク・国連本部で開催されました。

アジェンダの前文では、「17の持続可能な開発のための目標と169のターゲットは、すべての人々の人権を実現し、ジェンダー平等とすべての女性と女児のエンパワーメントを達成することを目指す。これらの目標及びターゲットは、統合され不可分のものであり持続可能な開発の3側面、すなわち経済、社会及び環境の3側面を調和させるものである。」とされております。

こうした考え方は、基本構想に掲げる「5つの基本目標」「3つの区政運営方針」と密接に関連しており、区政運営を進めていく上でも非常に重要なものと認識してございます。

持続可能な開発目標に掲げる理念を踏まえつつ、目黒区民の福祉の向上に向けて、改めて職員一人ひとりの意識改革に努めてまいりたいと存じます。

おわりに

以上、令和4年度の区政運営に臨む私の所信を申し述べました。

4年度は新たな区政運営のスタートとなる大切な年であり、区制施行90周年の節目の年でもございます。未だコロナの完全収束が見通せない状況ですが、未来に向けて明るい目黒のまちを紡いで(つむいで)いくため、目黒区政を力強く推進してまいりたいと存じます。

今後も区民の皆様の期待に応えられるよう、「さくら咲き 心地よいまち ずっと めぐろ」の実現に向けて、誠心誠意取り組んでまいります。改めて、議員各位と区民の皆様の、一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、所信表明といたします。

お問い合わせ

秘書課

ファクス:03-3716-7093