トップページ > 文化・スポーツ > 歴史・文化財 > 歴史を訪ねて > 歴史を訪ねて 中央地区 > 歴史を訪ねて 碑文谷池・清水池(ひもんやいけ・しみずいけ)

更新日:2024年3月25日

ページID:1824

ここから本文です。

歴史を訪ねて 碑文谷池・清水池(ひもんやいけ・しみずいけ)

「歴史を訪ねて」は、「月刊めぐろ」昭和54年6月号から昭和60年3月号の掲載記事を再構成し編集したものです。

碑文谷池と清水池

武蔵野台地の東南端に位置する目黒区は、起伏に富んだ、坂の多いまちとして知られる。また、そうした地形から区内の各所で見られるのが、自然の湧水である。目黒川沿いの淀橋台の崖や、目黒台と呼ばれる平坦な台地を浅く刻む支谷の谷頭(こくとう)部(谷の先端)に点在しており、それらの最も代表的な例が、今回紹介する碑文谷公園内の碑文谷池(弁天池ともいう)と、清水池公園の清水池。ともに、今は暗きょ化され、緑道に姿を変えた立会川の水源の役割を果たしてきた池である。

いずれも水田灌漑用貯水池

碑文谷池、清水池の面積は、それぞれ8,462平方メートルと1,698平方メートル。このように、その規模こそ、かなりの差があるが、この2つは、土地の字名をとって、「三谷の池」「池ノ上の池」と呼ばれた昔から、ほぼ同様の歴史を今日まで歩んできた、いわば「兄弟池」といってもよい間柄。

碑文谷池については、江戸時代、現在よりずっと大きく、また野鴨が豊富であったところから、一時、将軍の鷹狩りの好適地として重用されたという歴史があるが、以後は、ともに、目黒6か村の1つ、碑文谷村の村持(共有)の水田灌漑(かんがい)用の貯水池として活用された。名主の指揮のもと、村人たちの手で、護岸・水門管理・草取りなどのほか、水が汚れたり、枯れたりしないようにと、それぞれの中ノ島に祭られた農業神、弁天様の祠(ほこら)の維持管理が行われてきた。

なお、碑文谷池の中ノ島にある厳島神社の本尊弁天像は、元は円融寺にあり、嘉永元年(1848年)に、碑文谷村地頭(代官)神谷大夢正庸が社殿落成の際に奉献したもの。また、清水池の浮島にあった祠(ほこら)は、後に、池の西側の現在地に移された。

(注記)「区内地下水分布」凡例

  1. 地下水面の等高線(5メートル間隔)
  2. 地下水面の深さがおよそ6メートル以深にある地域
  3. 台地上で地下水面の深さがおよそ1.5メートル以浅のある地域
  4. 飲料水として不適当な地下水の多い地域
  5. 沖積地と台地との境界線
  6. 地下水面の測定点
  7. 湧泉

区内地下水分布(目黒区史 昭和35年調査)

昭和7年、東京市へ寄付

碑文谷池、清水池の池畔が今日のように公園として整備されることになったのは、目黒に区制が施行された昭和7年。同年10月1日、東京府荏原郡の目黒町と碑衾町が合併して東京市目黒区となったのを機に、両池の池畔の地は、公園地として永久保存することを条件に東京市へ寄付され、新市域公園としてスタートした。

この市立公園時代には、それ以前も当時の東京横浜電鉄に貸し付けて、貸しボートと釣り堀りを営んだことのある碑文谷池に、新たに市営の貸しボート場を開設。一方、清水池公園では、隣接地の寄贈などにより、公園面積が大きく拡張されている。

市立公園、都立公園(昭和18年に都制施行)の時代を経て、両公園が区に移管されたのは、昭和25年9月のことである。

そろって特色ある公園に

清水池公園

今、清水池公園といえば、目黒区唯一の釣り堀池として知られる区内屈指の「レジャー公園」。昭和27年9月、他区に先がけて開設したこの釣り堀公園は、今では終日、釣りを楽しむ人びとで大変なにぎわいをみせている。

一方、シラカシ・クヌギ・コナラなどの木々が生い茂り、今でも、武蔵野特有の湧水池の景観をとどめる碑文谷公園は、今やその規模・知名度・交通の便などの点で、目黒区を代表する公園の1つ。昭和25年に区に移管されて以来、サル・シカ・タヌキなどの小動物のいる動物舎を設け、区内唯一の「動物園のある公園」としても親しまれてきた。昭和56年、公園北側の一角に、ポニー・ウサギ・ヤギ・モルモットなどを放し飼いにして、子どもたちが動物たちとのスキンシップを楽しめる「こども動物広場」が開設された。

平成13年には隣接する旧第一勧業銀行の体育館、グラウンドと合わせて約4.3ヘクタールの区内有数の規模の公園となった。

古くは、村人たちの日々の生活とともに、また、この半世紀は人びとの憩いの場として、目黒の歴史を見つめてきた碑文谷池と清水池。それぞれの公園の一隅には、その歴史を記す沿革碑がひっそりと立っている。レジャーに、あるいは散策に、この池畔を訪れた折には、ぜひ一度ご覧を。

区内の水系・湧水の図

お問い合わせ

区民の声課 区政情報コーナー