更新日:2013年9月19日

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平成20年第2回定例会 意見書

意見書の表記等は、ホームページ掲載のため、一部変更している場合があります。

福祉・介護従事者の待遇改善を求める意見書

福祉・介護従事者は、人間の尊厳に関わる崇高な仕事をしているにも関わらず、低賃金、長時間重労働など、その劣悪な労働環境から離職率も高く、待遇改善が待ったなしの課題となっています。早朝から深夜までの重労働の上、人手不足で疲れても休暇も取れない。こうした厳しい現実に直面して、このままでは生活できない、将来に希望が持てないと、耐え切れずに退職していくケースが多発しております。また、福祉・介護サービスに従事している団塊の世代が退職期を迎えており、それを補充する人材の確保が必要となっています。

今後、団塊の世代の高齢化などにより、少なくとも10年間で40万人から60万人もの介護職員の確保が必要とされておりますが、介護に携わる人たちが減少すれば介護保険制度も立ち行かなくなり、まさに介護保険制度の根幹を揺るがす問題です。

福祉や介護に誇りと自信を持って携わる人たちが安心して暮らせるよう、国会及び政府においては、下記の点について特段の取り組みを行い、労働条件や福利厚生の向上に全力を挙げるよう強く要望します。

  1. 全労働者の平均を大きく下回っている給与水準の実態を職種や勤務形態ごとに把握し、低賃金の原因とその是正策を早急に検討すること。その上で、それぞれの介護事業者がキャリアと能力に見合った適切な給与体系が構築できるよう介護報酬の在り方を見直し、次期介護報酬改定において適切な引き上げをすること。
  2. 昨年8月に示された福祉人材確保指針について、福祉・介護サービスを担う人材確保のため、労働環境の整備やキャリアアップの仕組みの構築など早急な取り組みを進め、福祉・介護現場における指針の実現を図ること。
  3. 小規模事業所などにおける職場定着のための取組み支援や労働時間短縮のための事務負担軽減策、さらには事業所の労働条件等、労働環境に関する情報開示など介護労働者の待遇改善のための総合的な取り組みを進めること。
  4. 介護福祉士やホームヘルパー等の資格を有しながら実際に福祉・介護サービス従事者として就業していない者が多数存在することを踏まえ、こうした潜在的有資格者を掘り起こし、就業を促進するための雇用政策に積極的に取り組むこと。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

平成20年6月30日

目黒区議会議長 雨宮正弘

衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、厚生労働大臣あて

後期高齢者医療制度の早期廃止及び、整備経費の国庫負担を求める意見書

平成20年4月1日から始まった後期高齢者医療制度は、保険料を年金から天引きする一方で対象者が十分な医療を受けにくくなっている。高齢者を年齢で区切り、75歳以上と74歳以下の国民の医療制度を区別することは世界にも例を見ず、また65歳以上の重度障害者をこの制度に組み込む仕組みには合理性がなく、差別的医療制度との批判をまぬがれ得ない。

年金から天引きするという制度であるにもかかわらず、原資となる年金問題の解決は先送りにされ、後期高齢者保険料の天引きを進めているのは高齢者の生活を脅かす問題であり、制度の筋道としても正しくない。昨年、負担増加凍結を国会で決定したのはこのような制度不備を考慮してのものであったと理解している。

具体的に問題点を挙げると、慢性疾患を抱える患者の診療計画報酬となる包括払いは、経営難の医療機関等では、事業採算性から診療の簡略化が起こる危険が高い。また終末期相談支援料は過剰な延命措置抑制や医師の社会的責任の負担軽減など議論の幅も広く、終末期医療自体が全年代で考えなければならない問題であるため、この制度から外して検討を進めなければならない。

高齢者同居家庭では健康保険料が増加し、高齢者個人の保険料負担が生じる。保険料の全世代での公平な負担を重視しすぎた結果、日本社会が築き上げてきた家族が支えるという高齢者の生活基盤を脅かし、ひとり暮らし高齢者の増加を促進する制度不備となっている。

さらに、日本の皆保険制度は国民が公平に医療を受けられるものであるにもかかわらず、一年以上滞納したら低所得者でも全額自己負担となる。健康に生活するという人間生活の根幹に、適者生存の原理を持ち込んでおり、憲法理念を確保するためにある生活保護費の受給を促進する可能性が高い。公的年金受給者の医療費負担を増やすことで、医療費負担免除の生活保護受給者との収入逆転現象の促進を後期高齢者医療制度が後押ししている。

今年度、目黒区は制度の問題による影響を軽減するため、法定負担金に加えて多くの補助を投入せざるを得なかった。国が主導する健康保険として必要な機能が発揮されない制度設計となっていることで、地方自治体がこの制度不備を補っている。

よって、目黒区議会は、国会及び政府に対し、充実した医療制度を安心して受けられる体制を国家として整備するため、早期廃止を求めると同時に、制度改正時に発生する経費ならびに今までの制度運用での経費を全額国庫負担するよう強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成20年6月30日

目黒区議会議長 雨宮正弘

衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣あて

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