更新日:2023年3月10日
性感染症とは
性行為で感染する病気を総称して、性感染症(STI )と言います。この性感染症には、性器クラミジア感染症、梅毒など10種類以上の病気があり、エイズもその一つです。
また、都内の令和4年の梅毒報告数は3,677件で、平成11年の調査開始以来、過去最多となりました。
近年、特に、女性の報告数が増加しており、直近10年で約40倍となっています。
年齢別では、男性は20代から50代、女性は20代が多くを占めています。
若い女性が感染し治療しないでいると、将来おなかの赤ちゃんに感染することがあり、注意が必要です。
性行動が多様化する中、性感染症は私たちにとって身近な病気になっています。自分の健康をそして大切な人の健康を、ぜひ考えてみませんか?
HIV/エイズ予防
HIV/エイズとは
エイズは日本語で、後天性免疫不全症候群といいます。ヒト免疫不全ウィルス(HIV)に感染後未治療でいると、数年から十数年後発症するといわれています。HIVは、主に人間の免疫力の中心的な役割を果たすCD4リンパ球に感染し破壊します。そのため免疫力が低下し、普段なら病気を起こさないような細菌やカビ等の病原体に感染したり、悪性腫瘍が現れたりし、エイズを発症します。
日常生活では感染しません
汗、咳・くしゃみ、体に触れたり握手したり、鍋物などを一緒に食べる、同じ食器を使う、プール・温泉やお風呂やシャワー等、日常生活での感染の心配はありません。また空気感染、飛沫感染、蚊などの昆虫を媒介して感染しないことがわかっています。
HIV感染は予防できます
HIV感染の原因は8割以上が性的接触によるものです。正しい知識を持ち適切に予防することで、感染を防ぐことができます。
相手をよく知らない間は性行為を行わないのが安全です。また性行為ではコンドームを正しく使用することが感染予防のために有効です。
治療の進歩で、長期療養できる時代になりました
「エイズにかかると死んでしまう」そう思われていたエイズも、完治することはまだ難しいのですが、現在は発症を抑えて今までの生活を続けていくことができるようになっています。そのためにはエイズを発症する前に、HIV感染を早期に発見して、適切な治療を開始することが大切です。
今あなたに伝えたい大切なこと
平成28年に全国で報告された新規HIV感染者と新規AIDS患者の報告数は、合わせて約1500件で、新規HIV感染者の40パーセント以上が保健所等で診断されたと考えられています。
また、東京都の報告数は約500件で、全国の約30パーセントを占めています。報告数はここ数年減少せず、横ばい傾向のまま高止まりしている状況です。
感染報告の中心を占めているのは、社会の担い手となる20歳から40歳で、特に20歳代から30歳代で多く報告されています。
保健所のHIV抗体検査は匿名・無料
目黒区では、HIV抗体検査・相談を月1回、匿名・無料でおこなっています。また東京都HIV検査・相談月間(6月1日から30日)、東京都エイズ予防月間(11月16日から12月15日)の期間中は、臨時検査も行っています。
詳細については、こちらをご覧ください。
HIV/エイズ以外のおもな性感染症
梅毒
梅毒は慢性の感染症で、何年もかけて進行していきます。治療後も再感染します。
症状
第1期(感染3週間後から3か月)
菌が入った場所が腫れ、潰瘍ができます。この症状は治療しなくてもしばらくすると消失することがありますが、治ったわけではなく第2期に進行していきます。
第2期(感染後3か月から2年)
全身の皮膚に発疹(ブツブツ)ができます。この症状も無治療でも消失することがありますが、治ったわけではなく第3期へと進行していきます。
第3期(感染後3年から10年)
一見体調のよい時期が数年続きますが、皮膚や内臓で病気は静かに進行していきます。
第4期(10年以上)
心臓や血管、脳や神経に進行し、重篤な症状が出ます。
また妊婦が感染した場合、胎盤を通じて胎児に感染し流産や死産の確率が高まったり、生まれてくる子どもが先天梅毒に感染します。
病気が進行する前に発見し治療すれば治る病気なので、早期に感染を発見することが大切です。
病原体
梅毒トレポネーマ(細菌)
潜伏期
約3週間
治療
抗生物質の服用による治療が有効です。治療すれば完治する病気です。医師に指示されたとおり治療しましょう。
検査
血液検査で行います。保健所でも検査を行っています。詳細はこちらをご覧ください。
性器クラミジア感染症
日本で最も多い性感染症です。不妊症や母子感染など様々な病気の原因になるので、きちんと治療しましょう。
また感染しても免疫ができないので、何度でも感染する可能性があります。
症状
女性は無症状のことが多く、症状があってもおりものが少し増えるとか、軽い生理痛のような痛み、不正出血などです。また濃い黄色のおりものが出ることもあります。進行すると卵管炎、不妊症の原因になるので、きちんと治療しましょう。
男性では症状は軽く、尿道がむずがゆくなったり、排尿の時に軽い痛みがある程度です。しかし放置すると精巣上体炎や不妊症になることがあります。
病原体
クラミジア・トラコマチス(細菌)
潜伏期
1週間から3週間
治療
抗生物質や抗菌剤の服用による治療が有効です。医師の指示のとおり、パートナーと一緒に完治するまで治療しましょう。
検査
尿検査で行います。保健所でも検査を行っています。詳細はこちらをご覧ください。
淋病
性器クラミジア感染症の次に多い感染症です。クラミジアと同時に感染することがあります。感染しても免疫はできず、何度も感染します。
症状
尿道炎により尿道がかゆくなったり痛んだり、尿道から膿がでたり少量出血することがあります。
男性はすぐにはっきりした症状がでますが、女性は症状に気づきにくく進行してから初めてわかることがよくあります。
進行すると、女性では子宮内膜炎、卵管炎、子宮外妊娠、不妊症の原因になります。
男性は尿道狭窄、精巣上体炎、不妊症の原因になることがあります。
病原体
淋菌(細菌)
潜伏期
2日から9日程度
治療
抗菌剤の服用が有効です。医師の指示のとおり、パートナーと一緒に完治するまで治療しましょう。
検査
尿や分泌物で検査します。
その他の性感染症
その他の性感染症については、こちらをご覧ください。
