更新日:2022年9月16日

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元気なお店、活気ある事業所をご紹介します「土井園」

企業情報


「土井園」の外観

所在地

目黒区平町1-26-10

取締役会長

土井一満

電話番号

電話:03-3717-4728

創業

1921年

所属商店街

平町商店街振興組合

日本茶を通じてモノを売るよりコトを売りたい

東急線・都立大学駅から徒歩2分の土井園は日本茶の専門店。創業は大正10年で、鰹節などの乾き物を取り扱う乾物屋としてスタートしました。当時の新商売だったタマゴをいち早く取り扱うなど、販売する商品の幅を広げていきます。戦後にお茶を取り扱うようなり、以降は主力商品として日本茶を展開。現在に至っています。

昨年、創業100周年を迎えましたが、「定義上のことはわからないですが、個人的には200年ぐらい続かないと老舗とは言えない気がしますね。100年でやっとお店らしくなったね、というところですよ」とは土井園の4代目にして、現在は代表取締役会長を務める土井一満さんです。
「創業以来、ずっと変えていないのが品質へのこだわり。やはり提供するお茶の品質を落とすことはできないですよね。反対に変えたことは待っているだけではなく、こちらから出て行く経営に切り替えたこと。現在ではモノを売るよりもコトを売ることにシフトしています」


店内の様子

店舗外観

転換期は10年ほど前のこと。

「お茶が思うように売れなくなってきたんです。それで土井園を続けていくためには違うことをやらねばと考えました。ただ、いまさらペットボトルのお茶ではないと思ったし、ビジネスのなかでうまくお茶を活かす方法はないかと。あと、もっと大事なのは仕事はおもしろくなきゃダメだと考えているので、おもしろいというのもコンセプトでしたね」

茶室

そこで土井さんが新たにはじめたのが、ビギナーでも気軽に参加できる茶会でした。10年前に世田谷・二子玉川のビルの一室に茶室をつくり茶会を開催していましたが、昨今のコロナ禍もあり、より近い場所がいいと、2年半前に土井園の店舗のあるビルの5階を茶室とダイニングスペースに改装。現在ではこの茶室をメインに、定期的に茶会を企画しています。

庭園

「いわゆる茶道の世界は敷居が高いと思われがちじゃないですか。だから新しい方がなかなか入ってきにくい。そこで、最初は気軽にお茶の世界に入ってもらえるようにして、そのあとに流儀や作法のことを丁寧に説明するわけです。例えば、いきなりその箸の取り方はダメと指摘するようなことはしません。箸はなぜこういう取り方をするのかをしっかり理屈と一緒に説明します。そうでなくては今の時代は通用しませんからね」

入る際の敷居を下げつつも、その敷居は下げたままにはせずに、日本の伝統文化の本質や理由、背景はキチンと伝えていくスタンスというわけです。

いまの時代だからこそ、日本人に必要な伝統文化の趣を伝えたい

実は土井さんは茶道の流派のひとつである裏千家で修行を積み重ねたその道45年の達人。

「もともと人と繋がるのが好きな性分なので、お茶をやっているとさまざまな職業の方と会えるのがいいですね。いろんなお話ができます。そもそもお茶の道は、お互いに気遣いあいながら座をつくっていくもの。座を運営していくためには参加する全員が規則を知っていなければなりません。だからそのためにこの茶室では作法の稽古もします。お客さんがどういうことを求めているかを推測しながら、どうおもてなしをするか。それがお茶では一番大切なことですが、こういった日本の伝統文化の奥深さに触れるのもおもしろいのではないかと思います」


笑顔の土井さん


創業当時からの品揃え

その一方で、1階の店舗では都立大学エリアを中心に、自由が丘、深沢、八雲、柿の木坂など近隣エリアに毎月、単独でチラシ入れを行うなど販促活動にも精力的ですが、「ただ、いまの時代、お茶はみんなが飲むわけではありませんからね」。定期的な茶会の開催も含め、よりニーズを絞り込んだ展開を目指しています。

店内には厳選された日本茶のほか、乾物屋時代から取引のある乾物も販売していますが、「ヒジキは三浦城ヶ島産で他ではなかなか手に入らない代物です。ウチでは天然物しか売りませんから」。

品質に対するこだわりは、日本茶はもちろん、店内で取り扱うすべての商品が対象というわけです。

「土井園」の書

この日は自身が45年前に裏千家に入門した理由について「当時、20代の若者だったので、裏千家に入ればキレイな女性がたくさんいると思ったから」と茶目っ気たっぷりに答えるなど、話の途中で絶妙なタイミングでユーモアを挟み、場を和ませてくれた土井さん。

「茶会で作法を説明するときには笑いをとることも大切なんですよ。だって、場が和むでしょ。和むことによって違ったモノの見方が生まれて、そこから違う話が出てくるわけです。笑いは場の引き立て役なんですよ。考えてみれば日本の伝統文化は分業で成り立っているんです。いわゆる、座の文化なんですよね。ただ、私にはいまの時代はだんだん座がつくれなくなってきているように映ります。一所懸命という言葉がありますが、一緒になって心を合わせるという意味ですよね。やはり日本人にはそういう部分が大事だと思うんです。笑いを挟む会話の出し入れや役割分担もそう。まだまだお茶に学ぶべきことはたくさんあると思いますね」

品質にこだわった日本茶を販売する一方で、茶会を通じて日本の伝統文化がしっかりと次世代に継承されていくことに情熱を注いでいます。

お問い合わせ

産業経済・消費生活課 商店街振興係

ファクス:03-5722-9169

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