更新日:2022年10月16日

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元気なお店、活気ある事業所を紹介します「須賀自動車株式会社」

概要


事業所の外観

所在地

目黒区目黒区原町二丁目19番9号

代表

代表取締役 須賀信之

電話番号

電話:03-3712-5809

会社設立

1949年

大口顧客を失うピンチも目黒法人会での活動が救世主に!


代表取締役 須賀信之さん

東急線・洗足駅から徒歩7分の須賀自動車は新車・中古車販売及び整備を行う町のクルマ屋さん。「どこにでもあるような普通の町の自動車屋ですが、ここまで長く続けてこられたのには理由があるんですよ」とは同社の3代目代表を務める須賀信之さんです。さっそく、その理由を紐解いていきましょう。
同社の創業は1949年。自転車の販売・修理からスタートし、やがてバイク、古紙回収業の3本柱で事業を展開します。1971年には自動車の整備にも参入し、その後、三菱自動車とご縁ができたことをきっかけに、自動車1本に事業を絞りこんでいきました。

「当時、ウチの先代が三菱自動車の丸子工場の工場長に可愛がられてね。丸子工場や川崎工場で働く社員のクルマの点検、整備、車検などをやらせていただいていたんですよ。まだクルマ通勤の社員が多かった時代で、勤務中に自家用車を引取納車して修理や点検ができるというので多くのご用命をいただくことができました」

須賀さん自身は大学を卒業後、クルマのセールスの勉強がしたいと三菱自動車関連の販売会社に就職しますが、そこでの9年間の勤務を経て、1993年に同社に戻ってきます。ところが、三菱自動車のセールス時代に担当していた顧客が主に自動車整備業者だったこともあり、久しぶりに帰ってきた家業の在りように疑問も感じたといいます。
「当時、ウチの会社では親切なクルマ屋であれというのがモットーでしたが、正直、親切なクルマ屋はあちこちにたくさんあるんですよ。努力していることも自慢にはならない。それが商売をやるうえでは普通のことですから」
社内の意識改革を進めていく一方で、先代のススメで地元の目黒法人会青年部会にも参加。目黒区内の企業にも人脈を広げていきます。

「当時、顧客の多くが三菱自動車の社員の方で、地元のお客さまはあまりいなかったんですよね。ところが、2000年代はじめごろに三菱ふそうトラック・バス株式会社の社内システムが変わってしまい、それまで丸子工場や川崎工場の事務所内まで自由に出入りできていたのに、セキュリティの整備でそういう昔ながらの営業ができなくなってしまったんです。ウチにとってはもの凄い逆風。振り返って考えてみても、先代が目黒法人会へ行けって言っていなかったら…と思うとゾッとしますね」
その後、目黒法人会で出逢った人脈を活用し、地域の顧客を着実に増やしていきました。
「例えば、新宿から目黒にオフィスを移転したばかりという社長さんと知り合ってね、社用車の整備も以前は新宿で頼んでいたけど、少し遠いから須賀さんのところでお願いできないかと。ただ、それまでの付き合いもあるだろうから、まずは1台だけ試しにウチに出してみてってお願いしたの。それで社員の方から文句が出なかったら徐々に台数を増やしていってくださいってね」
なんとも義理堅くも奥ゆかしい営業スタイルですが、「ウチとしては新規顧客になっていただける可能性があるわけですから当然、一生懸命整備しますよね」。その結果、その会社とは現在までご縁が続き、新車を購入する際も全て同社が受注しているそうです。


自動車の整備

売上目標に縛られるとお客さま目線ではなくなる

これまで須賀自動車でまったく手をつけてこなかった外車を取り扱うようになったのも、須賀さんが進めてきたことの1つ。
「目黒では外車に乗っている方も多いわけですし、お客さまから問い合わせをいただいたときに何もお応えできないというのはどうかと考えたんです。乗っているクルマのメーカーを問わず、ウチに来ていただいた方はみんなお客さまですから」
自社でできない整備などは積極的に協力会社へ外注しているのも同社の特長。
「外車の整備はウチからディーラーに頼むこともあります。別にディーラーを外注先に使ったっていいわけです。ただ、ディーラーの場合、例えば車検だとクルマの年式と走行距離で整備内容を決めるシステムになっていることが多いので、その見積の作業内容からさらに、お客さまの予算やクルマの乗り方、スタイルなどを勘案して、必要な整備だけを選ぶという、セカンドオピニオン的な作業をウチでやっています」
その背景にあるのがお客さんが本当に必要とすることに誠実に応えたいというお客さんファーストの姿勢です。
「ウチには売上目標というものがないんですよ。目標って矛盾を抱えることがあるじゃないですか。ウチの会社だったらこの人数でどうやって効率あげて売上を高めるかを考えると、つまるところ、お客さんが必要としていない余剰なサービスをおしつけてそこで利益を得るという方向になりがち。まだ使えるバッテリーを交換したりとかね。売上目標に縛られるとお客さま目線ではなくなってしまうんですよ。だからウチのクルマ整備の金額は安くはないけど、けして高くはありません。今のところ、そこそこ忙しいから、要らないものをススメている時間もありませんしね。このやり方でダメだったら、事業をやめてもいいかなとも思いますし」

事業所
トラックの整備

お客さんファーストな営業スタイルを具現化する上で須賀さんがとくに力を入れているのが緻密な見積書づくりです。そのために約30年前、須賀さんが同社に入ってすぐにコンピュータシステムを導入しました。
「どんぶり勘定な会社にはしたくなかったんですよね。カルテを見れば、前歴がすぐ出てくるじゃないですか。重要なのは顧客管理。前回整備したところをまた整備したりとか、お客さんにとって無駄になることはしたくないんです。だから見積や請求書をつくるのにはもの凄く時間がかかります。ザックリな業者も少なくないようですが、ウチの場合は基本、価格が安いので、ワイパーのゴム代までしっかりいただきます。それが最終的に会社のためでもありますから」
具体的に見積書作成時の留意点をうかがってみると、まあ緻密でよく考え抜かれています。
「見積や請求書をお客さまに渡す際は内容の全てに根拠を持って臨みます。例えばナビを頼まれていたら、情報として価格ドットコムの最安値も調べてキチンと裏ドリした上でお客さまの心理的にどのあたりの金額だったら須賀自動車かなということも考えて、金額を計上しています。請求書を見ても何も言わないお客さまも多いですが、もし聞かれたときにしっかり対応できるように完全武装していたいのです。そういうことまで考えるから請求書を作るのに時間がかかるんですけどね」

クルマの整備だけに固執せず、トータルで儲けを出す方法を考える


代車も充実しています

現在、須賀さんは62歳。とくに会社の後継者のことは考えていないそうですが、それでもクルマ整備業界の次世代に対してはサポートを惜しみません。かつて、あいおいニッセイ同和損保の協力で立ち上げた「次世会」という二代目人材の勉強会ではこれまで須賀さんがクルマのセールスで培ってきた経験を仲間の業者にも伝えて、お互いが商売の競争相手という概念を超えて業界の健全な発展と企業の健全経営を皆で目指す意識改革も行ってきたそうです。
「クルマ屋同士は商売敵なんて小さいことを言っていてはダメ。積極的に同業者と情報交換して、どうやったら良くなるかを考えていかないと。それと、もっと中古車や新車の販売をやった方がいい。整備だけで食べていくのは大変ですから。納車やクルマの引き取りも夜もやったらいいじゃないですか。オークションも下取り車をうまく活用すれば儲けを出すことができるし。あと、カーナビやバックカメラの取り付けはやらないという整備屋もいるけど、もったいない話。ウチはそこでなんとか利益を出していたりしますからね。クルマの整備だけではなく、トータルで儲けを出していく方法を考えていくべきだと思うんです。利益が出ていないときに無理に仕事をとってくるとドツボにハマることってあるじゃないですか。だから整備の他でも利益を出せるようにしておくことが大切なのです」

そのほか、会社規模にしては珍しく代車を25台も用意しているのもお客さんファーストの須賀自動車ならでは。驚くことに“ランエボ”(ランサーエボリューション)やメルセデスベンツなども代車のラインアップに入っていますが、これも同社の真骨頂です。
「ウチは徹底したサービス業。お客さまを喜ばせるのにどうしたらいいかを常に考えています。かくいう僕はもともと引っ込み思案で用心深いタチなのですが、お客さまもウチのエンジニアも協力会社のスタッフもみんな凄い人たちばかり。本当に周りの人たちに支えられて今があります」
商売の基本であるお客さん目線に加えて広い視野、そして常に周囲への感謝の気持ちを忘れない謙虚な姿勢。極めて普通の町のクルマ屋さんが長く愛される理由がよくわかりました。

お問い合わせ

産業経済・消費生活課 中小企業振興係

ファクス:03-3711-1132

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