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更新日:2020年10月12日

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「災害から企業を守る」 事業継続計画(BCP)策定のすすめ

災害への備えできていますか?

東日本大震災の後にも、国内各地で大地震の発生が予測されています。震災だけでなく洪水、新型インフルエンザなどにより、思わぬ苦境に陥る多くの企業があります。必要性を認めても、予期せぬ事態への事前の準備ができている企業はわずかです。思わぬ事態にどう対応してよいか判断がつかず、被害を大きくしている例が見られます。

一方、あらかじめ事態を想定した事業継続計画(BCP)を策定し事前に演習をしたため、被害を最小限にとどめ、業務を継続しお客様から高い信頼を得た企業もあります。

想定どおりに災害が発生することはまれで、BCPを策定すれば万全というわけではありません。しかし、BCPを策定し演習を行っていれば、発生した災害と計画で想定した事態の差を考慮しながら対策をとることができます。平時の備えが緊急時に企業を助けます。

事業継続計画(BCP)とは?

事業継続計画(BCP、business continuity plan)とは、大規模な災害や不測の事態が発生した際も、企業の存続に影響を与える重要な事業についてはなるべく中断させず、仮に中断しても目標時間内に復旧できる体制を、日ごろから整えておくというマネージメント手法です。

事業継続計画(BCP)策定の手法

企業が行っている事業のうち、一定期間以上中断すると、自社の経営やお客様、社会に著しく影響を及ぼすものを特定し、その事業を構成する業務や、業務に関わる経営資源の洗い出しを行います。災害によってこれらが機能しなくなるもろさ(脆弱性)を見積もる作業を行います。もちろん従業員の安全を守ることは大前提です。

BCP策定には、絶対的な正解というものはありません。最初から緻密なものを作ろうとするのではなく、まず重点を絞った第一版を創り上げ、それをまず習得してから継続的に広げていくことが重要です。

事業継続計画(BCP)をつくる

BCP策定には、様々な手法があります。ここでは、一例として、

  • 基本方針の決定
  • 業務復旧目標の特定
  • 事業継続対策の決定
  • BCPの文書化
  • 演習と改善

の、5つのステップでのBCP策定の概要をご紹介します。

ステップ1 基本方針の決定

BCPの土台作りを行い、プロジェクトメンバー全員、ひいては全従業員に共有化してもらうため基本的な枠組みとなる目的、重要事業、復旧目標、災害シナリオを作成します。

  1. 目的「何を実現するためのBCPをつくるのか」
  2. 重要事業 「どの事業を対象とするのか」
  3. 復旧目標 「その事業が中断した場合にいつまでに復旧するのか」
  4. 災害シナリオ 「どういった事態を想定するのか」

ステップ2 業務復旧目標の特定

ステップ1で作成した「基本方針」の枠組みに基づき、より詳細な復旧要件の特定「業務影響度分析」を行います。業務影響度分析では、重要業務(どの業務にどんな復旧目標を設定するか?)とこれを支える経営資源「重要な経営資源の復旧要件」(そのために必要な経営資源は何か?)を特定します。

ステップ3 事業継続対策の決定

これまでのステップで得られた分析結果を基に必要な対策を決定します。具体的には「事業継続対策の検討・決定」、「緊急事態に対する 初動対応計画の検討・決定」を行います。

  1. 事業継続対策の検討・決定 ステップ1で決定した被災シナリオと、ステップ2で決定した重要な経営資源の復旧要件とのつきあわせを行い、両者の乖離(ギャップ)を特定します。このギャップを埋める手段が事業継続対策です。言い換えれば、事業継続対策とは、具体的な被災状況を想定し、復旧目標を達成する対策を決定することです。
  2. 緊急事態に対する初動対応計画の検討・決定 緊急事態のもとでの組織体制、指揮命令系統、コミュニケーションのとり方など、緊急事態対応に向けた組織整備を行います。

ステップ4 BCPの文書化

このステップでは、「BCP文書の作成」と「演習計画の作成」を行います。文書化を行う際は、形式にこだわる必要はまったくありませんが、中小企業庁のホームページ等に作成フォームがありますのでご参考ください。

作成したBCP文書の実効性を検証するため、演習計画の作成を行います。

中小企業BCP策定運用指針(中小企業庁公式ホームページ内)

ステップ5 演習と改善

最終ステップとして「演習の実施と結果の報告」を実施します。策定した演習計画に基づいて演習を行い、特定された課題があれば課題リストなどで記録し、改善実行計画を策定します。

以上でBCPのPDCAサイクルが実施されますが、BCP文書作成はゴールではなく、目的は事業継続能力の向上です。このBCP実施経験を踏まえて、次年度に向けての取組方針を決め、年間運用計画を作成し、演習を通し習熟・改善し、全社に展開することが極めて重要です。

参考文献

公益財団法人東京都中小企業振興公社の策定事例(公益財団法人東京都中小企業振興公社ホームページ内)

BCP策定講座

目黒区産業経済・消費生活課では、平成23年度から中小企業、商店を対象としたBCP策定に向けた講習会を実施しております。開催時期が決定しましたら、当ホームページ、めぐろ区報等でお知らせいたします。

東京都BCP策定支援事業

東京都は平成22年度から、東京都BCP策定支援事業を実施しています。詳細については、東京都公式ホームページ内のBCP策定支援事業のページをご覧ください。

東京都BCP策定支援事業

公益財団法人東京都中小企業振興公社のBCP支援メニュー

BCP策定についての相談、専門家からのアドバイスを受けるための補助などを希望される方は、公益財団法人東京都中小企業振興公社の公式ホームページ内のBCP支援メニューをご覧ください。

公益財団法人東京都中小企業振興公社のBCP支援事業

公益財団法人東京都中小企業振興公社のホームページです。

BCP策定に向けた連携講座を開催しました

東京都と連携しBCP策定の必要性や策定方法を学ぶ講座を、ニュートン・コンサルティング株式会社代表取締役社長副島一也氏、株式会社興信代表取締役小野伸太郎氏を講師に迎え、平成24年2月10日に中小企業センターで開催しました。

副島一也氏の写真
副島一也氏

小野伸太郎氏の写真
小野伸太郎氏

まずやってみる、そして改善していく

副島氏は、東日本大震災でBCPが大いに役立った被災企業が多くあること、BCPを整備していない企業への発注を控える傾向があること、東日本大震災の次の大地震は時間の問題と予測されていることから、BCPの必要性を「BCPはもはや整備すべきかどうかの問題ではなく、会社の経営戦略としてどこまでやるかの問題となっている」と説かれました。

BCP策定方法については、東京都BCP策定支援事業において策定している内容を詳しく説明され、「みんなが使えるお手本のBCPはない」、「まずやってみる、そして改善していく」ことが重要であると話されました。

BCPの実効性を証明

小野氏は、「企業には社員の安全とお客様からお預かりしている資産を守る義務がある」という考えからBCP策定の取り組みを始められました。経営するメーリングサービスを主要事業とする株式会社興信における、平成22年度東京都BCP策定支援事業を活用した震度6強の東京湾北部地震を想定したBCPの策定の取り組みについて詳しくご説明いただきました。

また、BCP策定後発生した東日本大震災では、従業員安否確認、クライアントへの対応・情報発信などの様々な点で迅速に対応することができ、その結果クライアントから高い評価を得ることができたという、BCO策定の実効性をお話いただきました。

お問い合わせ

産業経済・消費生活課 中小企業振興係

ファクス:03-3711-1132