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あの天敵とおさらば? 目黒の夏を守る取り組みに密着!
栃木県出身の筆者は、緑豊かで自然に恵まれた環境で育ちました。そんな私も目黒区役所に入庁して8年。先日、仕事を終えて中目黒駅に向かう帰路、歩いていてふと気付いたことがありました。
「あれ? そういえば目黒区って蚊少なくない?」
夏に半袖で外を歩いて帰宅したときに、平均して2・3カ所は蚊に刺されていた地元と比較すると、明らかに目黒区では蚊に襲われる回数が少ないのです。
皆さんもそのように感じたこと、ありませんか?
「都会と田舎の違いかな?」と疑問に思い調べてみると、ちゃんと答えがありました。なんと目黒区では、雨水マスに薬剤を投入し、ボウフラが蚊にならない取り組みを推進しているのです。
薬剤投入事業の概要
感染症を予防するため、蚊の発生しやすい時期(現在は4月から10月)に、目黒区を 10 ブロックに分け、おおむね1カ月間で、区内全ての雨水マスなど約 36,000 カ所に薬剤を投入します。その作業を期間内に5回繰り返し行うことで、徹底して蚊の発生を抑制しています。
昔は殺虫剤を散布していましたが、環境への配慮や新たな薬剤の開発などにより、平成14年度から、昆虫成長制御剤を雨水マスへ投入する方法を採用しています。
いざ、取材へ!…とその前に
小さな疑問に端を発し、今回、委託事業者の株式会社ジーエムシー目黒営業所による薬剤投入事業の現場に取材同行させてもらうことになりました。
取材当日の朝、身支度をしているとまぶしい日差しとともに、環境省の公式LINEから「熱中症警戒アラートが発表されました」と通知が!
台風一過で暑い日が続く中、「やはり来たか・・」と気を取り直し、かばんに水を一本追加しました。
今年も全国的に記録的な暑さとなっている中、熱中症予防は年代を問わずとても大事です。
熱中症警戒アラートの確認もその一環となりますので、皆さんもぜひLINEやメールの登録をお勧めします。
密着取材開始
午前8時30分、目黒区役所6階生活衛生課の窓口で、投入する薬剤や腕章などを引き取り、現場に向かいます。今回の作業対象場所は、柿の木坂・碑文谷地区です。
午前8時45分、現場に到着し、薬剤を各々が必要な数量数えて準備します。
投入する薬剤はこちら。
「アーススミラブ発泡錠 10」
薬剤の特徴
- 蚊やハエの幼虫・さなぎに作用して変態を抑制し、成虫の出現を抑える。
- 哺乳動物、魚類などに対しては毒性が極めて低く、高い安全性がある。
- 錠剤の成分が環境中に蓄積されないため、環境を汚染しない。
- 水中に投入すると炭酸ガスを発生しながら溶けるため、隅々まで拡散される。
作業場所によって雨水マスの数量は異なりますが、おおよそ500から600錠の薬剤を一人で投入するそうです。
6人の作業員が、それぞれ区の腕章を装着し、地図を持って準備完了です。
同行させていただいたのは、この事業に携わって21年目になる、株式会社ジーエムシー目黒営業所作業責任者の樋田(ひだ)さん。目黒区生まれ・目黒区育ちではありませんが、目黒区の道をほとんど把握しているという大ベテラン作業員です。
なんと区内の自動販売機の位置も記憶しており、どこで水を買うかも全て計画されていました。さすが過ぎます。
早速投入作業を開始しました。事前に分担された範囲の道を歩き、一つの雨水マスに一つの錠剤を手作業で投入していきます。
長年の経験からか、とにかく作業のテンポが速い!
道路の右側雨水マスへポトン、左側雨水マスへポトン、そしてキュッとUターン。
日頃の運動不足も相まってか、ついて行くのがやっとでした。
さらに、雨水マスだけではなく、小さな公園の水道の排水口に投入している姿を見て、子どもたちが元気に遊び回る公園を、陰ながら支えていたということも分かりました。
樋田さんが個人的に一番大変と思っている区内作業ルートは「別所坂」だそうです。
中目黒駅と恵比寿駅の間にある、全長228メートル 高低差19.3メートル 平均斜度7.86パーセントの長い急坂です。
きっと昔の人たちも、同じ思いをはせていたことでしょう。今回は比較的平坦なルートということで、そっと胸をなでおろします。
途中水分補給などの休憩を挟み、無事全ての投入作業が終了しました。
今回私が同行したルートはこちら。
約3時間でおおよそ9キロメートルの道のりを歩き回りました。
開始早々、滝のような汗が流れ出て先行きに不安を感じましたが、樋田さんの手際の良さもあってか、気付いてみるとあっという間でした。
投入を終えた全作業員と合流し、目黒区役所に到着。余った錠剤などを返却し、本日の作業は終了です。
最後に
この時期、区の腕章を付けた作業員が、ご自宅の前で薬剤を投入する様子を見かけるかもしれません。その時は、目黒区の公衆衛生を守っている姿に、(心の中でそっと)エールを送っていただけると大変うれしいです。
日焼けを恐れず半袖で過ごす私にとって、蚊の不安がないことはまさに鬼に金棒です。これからも気持ちよく、(この数日は筋肉痛とともに)区内を半袖で駆けずり回りたいと思います。
広報課:SUZUKI GPT
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