商店街の元気なお店をご案内します  第2回 「新高堂書店」 

更新日:2016年1月8日

店舗情報


新高堂書店の外観

所在地

目黒区上目黒1丁目26番1号の114号(中目黒駅前商店街振興組合(中目黒アトラスタワーテナント会))

代表者

梅田 美音

電話番号

03-3712-9271

ホームページ(ナカメアルカス・オフィシャルサイト内)

新高堂書店のホームページ

Googleマップ

創業117年、中目黒で68年続く老舗書店

中目黒アトラスタワーとアネックスの写真
中目黒アトラスタワーとアネックス

2009年、東急東横線中目黒駅前の再開発で誕生した複合施設「ナカメアルカス」内にある地上45階の超高層マンション「中目黒アトラスタワー」は、今やすっかり街並みに溶け込み、中目黒駅前のランドマーク的な存在になっています。その中目黒アトラスタワーのすぐわきにある3階建ての商業棟「中目黒アトラスタワーアネックス」の1階で営業しているのが、新高堂書店です。新高堂書店は1898年に台北で創業した老舗書店。店名は当時の日本で最も高い「新高山」(3952m、現在の名称は玉山)にちなんでつけられました。終戦後は台湾から引き揚げ、1947年に中目黒に移転、以来ずっとこの地で営業を続けてきました。再開発にともなって2010年2月に現在の場所に移るまでは、近くの山手通り沿いに店舗兼住宅のビルを構えていたそうです。


代表者の梅田さん

現在、代表を務めるのは創業者の玄孫(やしゃご)にあたる梅田美音さん。実は梅田さん、祖母から跡を継いだ5年ほど前までは、芸術家として活動しており、書店経営とは無縁の生活を送っていたのだそうです。「生まれ育ったのは母の嫁ぎ先の熊本、20代のころは長くニューヨークで過ごしていたので、中目黒に土地鑑があったわけでもありませんでした。だから、最初は随分とまどいましたね」と梅田さん。本の仕入れの仕組みはもちろん、会計や税務に関しても分からないことだらけだったそうです。

そんな梅田さんを助けてくれたのは再開発組合で出会った商店主の仲間たち。「税理士を紹介してもらったり、経営のノウハウを教わったりと、今も本当にお世話になっています。付き合いが面倒だから…と、テナント会や商店会を敬遠する人もいますが、私は本当に入ってよかったと思っています」。

「愛嬌と親切」をモットーに


親切な接客も好評です

長く中目黒の街で愛されてきた新高堂書店ですが、読書人口減少やインターネット書店普及の影響は、やはり大きいと言います。「今は、1日に1軒のペースで書店が閉店する時代。私たちのような小さな書店にできることは限られていますが、できることを丁寧に誠実にやっていくしかないと思っています。特に心がけているのは、売れ筋の本をこまめにチェックして取り揃えること。新聞広告や雑誌の書評などにマメに目を通し、話題作はいち早く店頭に並べるようにしています」と梅田さん。「その甲斐あって、お客様に『新高堂さんってお店は小さいけど、欲しい本がたくさんあるんだよね』『本が見つけやすいね』とおっしゃっていただくことも多く、とても励みになります」とのこと。

さらに梅田さんが接客のモットーとしているのは「愛嬌と親切」。梅田さん含め女性スタッフ4人は、いつも笑顔を欠かしません。「うちの店は、高齢者でインターネットを使っていないお客様が多いのです。そういう方が来店したら店内のパソコンですぐにネット検索して、探していらっしゃる本を取り寄せるようにしています。常連さんの本の好みを覚えていて、『何か面白い本、ない?』って聞かれたら、好みに合いそうな本をご提案して、喜んでいただくこともあるんですよ」。規模の小ささを逆手に取ったきめ細やかなサービスが、新高堂書店の人気の秘密のようです。

品格ある大人の街・中目黒にふさわしい店を目指して

店内写真2
小さいながらも充実した品揃えが自慢の店内

最近、新高堂書店での売れ筋はエッセイや、ビジネス系の実用書。「中目黒は品のあるおしゃれな大人が多い街なので、売れ筋も渋谷や自由が丘の書店とは違うかもしれません。ただ、再開発後は昔の中目黒に比べて、ちょっとおしゃれになりすぎちゃったな…と一抹の寂しさを感じることもあります。昔はおしゃれな中にも生活の気配がする街だったのですが、最近は街がきれいになったぶん、そういう気配を感じづらくなったような気がします」と梅田さん。「この地で商売をさせていただいている私たちがお互いのつながりをもっと強くして、活気にあふれた、顔の見える街にしていかないといけませんよね」。そのためにも梅田さんは新しく中目黒に店を出す人たちに、積極的に声をかけ、テナント会や商店会への参加を呼び掛けています。「再開発で新しくなった中目黒は、これから成熟の時を迎え、ますます面白い街になっていくはず。みんなで協力して街の成長を支えられたら嬉しいですね」。

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