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更新日:2024年3月1日

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まだ終わっていない、ハンセン病問題(めぐろ区報 令和5年6月1日号(第11面)

重大な過ちだった隔離政策

6月22日は、ハンセン病の元患者の名誉を回復し、亡くなった人を追悼する日です。
ハンセン病は、らい菌による感染症ですが、発症することはまれで、今では外来治療だけで完全に治ります。
ところが、平成13年に熊本地裁で「らい予防法」が違憲であるとの判決が出るまでの約90年間、患者は強制隔離をされ続けました。
当時の住民たちは、ハンセン病患者の疑いがあれば、警察や保健所に通報しなければなりませんでした。患者の家は真っ白に消毒され、病気への恐怖心があおられました。患者は家族と引き離され、実名を名乗ることができず、子を持つことを許されず、終生療養所に閉じ込められたのです。

止められなかった壮絶な人権侵害

昭和22年に、特効薬による治療が国内でも始まり、隔離の必要がない病気であることが分かってからも、非人間的な差別的取り扱いが漫然と続きました。療養所内では、約2万5,000人が被害者として亡くなりました。
昭和30年前後から徐々に規制が緩和されたものの、入所者の多くは高齢などのため、療養所に残る道を選びました。それでも、病気が治り、社会の一員として暮らしたいと300人を超える人が自主的に退所し、社会復帰を果たしました。
ところが、国が過ちを認め謝罪したにもかかわらず、病歴を明かすと、差別や偏見にさらされて、再び療養所に戻るしかない人もいました。ハンセン病を知らないということが当事者を傷つけることにつながり、療養所の外で安心して暮らす希望を遠ざけたのです。

ハンセン病問題を風化させない

人権は空気のようなもので、なくなってはじめてその大切さに気付きます。新型コロナという新たな感染症問題に直面した今こそ、強制隔離政策の下、ハンセン病患者・元患者や家族を、社会全体で追いつめていった事実に真摯に向きあい、教訓を生かすときです。
この凄絶な人権侵害は、私たち国民の多数派の意識が反映された結果であり、決して繰り返してはなりません。私たちは、どんなときも正しい知識を学び、差別と偏見を根絶させる努力を続けていくことが求められています。

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人権政策課

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