MEGURO+(めぐろプラス) > 悩みを抱える人への寄り添い方

更新日:2024年8月15日

ページID:16057

ここから本文です。

特集

悩みを抱える人への寄り添い方

そばにいる、あなただから気がつけるコト。
そばにいる、あなただから届くコトバ。

都の自殺者数は、令和2年以降、増加傾向にあります。区の令和5年の自殺者数は29人でした。
9月は東京都自殺対策強化月間。あなたの周りにも悩みを抱えている人がいるかもしれません。今号では、身近な人の力になりたいと思った時、よりよく寄り添える方法を紹介します。

お問い合わせ:健康推進課健康づくり係(電話:03-5722-9586、ファクス:03-5722-9329)

あなたのすぐそばで起こっているかもしれません

5年の全国の自殺者数は21,837人、自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は全国17.41、東京都17.63です。区の自殺者数を見ると少ないように思えるかもしれませんが、決して人ごとではありません。
背景には、精神保健上の問題をはじめ、過労、生活困窮、育児や介護疲れなどさまざまな社会的要因が複雑に絡み合っています。
家族や職場の同僚など身近な人のサインに気付いた時は、寄り添うことが第一歩です。私たち一人一人が命の大切さの理解を深め、自殺を考えている人のサインに気付き、自殺を未然に防ぐことが大切です。

自殺者数と自殺死亡率の推移

 

出典:厚生労働省ホームページ 地域における自殺の基礎資料

身近な人が悩んでいる時、私たちはどうしたらいいのでしょうか?

東原 絵理さん
NPO法人OVA
クライシスサポート部
コンサルタント・精神保健福祉士

家族や友人、知人の様子が普段と違う、落ち込んでいるような時、「ちょっと心配だな」と思ったら力になりたいと思うのではないでしょうか。「でも、どうするのがいいか分からない」とためらってしまうこともあるかもしれません。
今号では、精神保健福祉士の東原絵理さんに、自殺を考えているかもしれない人への寄り添い方を伺いました。

気づく

「落ち込んでいる」「体調が悪そう」「集中力が続かなくなっている」などのSOSサインに気付く

Q

深く悩んでいる人に気付くきっかけ(SOSサイン)などはありますか?

A

今までできていたことができなくなる、できる度合いが下がってくるなどの変化が見られます

深く悩むようなことがあると、だんだん気力が湧かなくなってきたり、気分が落ち込んだり、今までできていたようなことができなくなる、できる度合いが下がることがあります。
LINEの返信が遅くなった、なんとなく元気がないように見えるなど、普段の関わりの中で見える行動の変化をSOSのサインと捉えられると気付きにつながっていくでしょう。
ささいな変化に「あれ?いつもと違うな、何かあったのかな?」という寄り添える視点をまずは持つことができればいいと思います。

Q

「実はこんな場合でも悩みが潜んでいるよ」というケースはありますか?

A

周りの人には一見幸せに思えることでも、本人にとっては大きな悩みだったりすることがあります

例えば結婚や出産、昇進など、周囲から見て一般的には喜ばしいことでも、本人にとっては新しい環境の変化に適応していく過程で大きなストレスがかかることもあります。

Q

身近に悩んでいる人がいたら助けたいと思いますが、自分の考えすぎかもしれないなど、判断に迷った時はどうしたらいいですか?

A

勘違いかもしれないと思っても、まずは気軽に声をかけることが大切です

声をかける時は、何かあったという前提で話を聞くのではなく、「いつもと違うように見えるけど、何かあったの」という近しい人から見える変化をまずは伝えられるといいでしょう。

Q

声をかける時に気を付けることはありますか?

A

声をかけられた相手が落ち着いて受け止められるような手段や方法を選択できるといいと思います

家族以外の友人や同僚では、なかなかプライベートな空間で話をしにくい場合があるでしょう。声をかける相手が戸惑わないような時間や場所を意識できるといいと思います
また、対面だと打ち明けられないと思うかたもいます。LINEや電話などをきっかけにするのもありでしょう。

傾聴する

声をかけ、じっくりと耳を傾けて聞く

Q

悩みを打ち明けてくれた際、言ってはいけないことはありますか?

A

まずは、否定をするような言葉や自分の意見は言わずに、ありのままを受け止めるように接しましょう

打ち明けてくれた段階では否定するような言葉はいったん見送りましょう。なかには思い悩むあまり、社会通念上や倫理的に良しとされないことを考えてしまっているかたもいるかもしれませんが、ぐっとのみこんで、相手の話をそのまま受け止めましょう。
「話さなければよかったな」と思わせない対応が一番大切です。

Q

声をかけたけれど拒絶された時は、どう接したらいいでしょうか?

A

まずは、相手の気持ちを受け止めて、そっと見守るなど今までどおりに接しましょう

きっと話したくない事情や心情があるのでしょう。打ち明けることも、「ほっといて」と拒絶を伝えるのも勇気がいることだと思います。そのような時は、受け止めてそっと見守れるといいですね。
できそうだったら、「話したくなった時にいつでも話してね」「待っているよ」というメッセージを伝えられるといいと思います。

つなぐ

本人の悩みに沿った解決の糸口を提案してみる

Q

悩みを聞いたら、次は専門機関につなぐほうがいいでしょうか?

A

悩みや、相手の状況に応じてつなぐ先の選択肢があります

眠れないなど体の調子が悪いという時は医療機関、借金に関しては法律相談の機関になるでしょう。また、決して専門機関だけということはありません。例えば学業で悩んでいれば、教師への相談を促すこともありますし、仕事の悩みであれば、上司など職場のかたに相談することも大切です。専門機関以外にもいろいろなつなぎ先があるということを知っていただき、まずはそこにつないでいくことが大切です。
ただ、今までに自殺未遂がある場合や、自殺念慮(自殺のための具体的な考え)がある場合には、身近にいる人自身が自殺相談窓口に相談してもいいと思います。

悩んでいる人も、そんな人の身近にいるあなたも、ご相談ください

区の相談窓口

保健師が心と体の健康相談などを受け付けています。医師による相談日もあります。
日時:月曜日から金曜日8時30分から17時(祝日・休日、年末年始を除く)
お問い合わせ:保健予防課保健相談係(電話:03-5722-9504、ファクス:03-5722-9508)
碑文谷保健センター保健相談係(電話:03-3711-6447、ファクス:03-5722-9330)

都相談ほっとLINE@東京

LINEからチャットで相談できます。
日時:毎日15時から22時30分

都相談ほっとLINE@東京を見る

とうきょう自死遺族総合支援窓口

電話:03-5357-1536
日時:月曜日から金曜日15時から19時 日曜日13時から17時(メール相談は常時受け付け)

とうきょう自死遺族総合支援窓口を見る

関係機関の特別相談
相談機関 電話 特別相談 通常相談
フリーダイヤル特別相談 フリーダイヤル:0120-58-9090(特別相談期間のみ)、電話:03-5286-9090 8月20日(火曜日)から9月5日(木曜日)20時から翌2時30分 毎日20時から翌2時30分
月曜日は22時30分から、火曜日は17時から
有終支援いのちの山彦電話 傾聴電話 電話:03-3842-5311 9月の毎週火曜日・水曜日・金曜日・土曜日・日曜日・祝日(第4日曜日除く)12時から20時 毎週火曜日・水曜日・金曜日・土曜日12時から20時
(全国)自殺予防いのちの電話 フリーダイヤル:0120-783-556 毎日16時から21時、9月10日(火曜日)から16日(月曜日)は、8時から翌8時 毎月10日8時から翌8時 毎日16時から21時
(東京)東京いのちの電話 電話:03-3264-4343 毎日24時間
東京都自殺相談ダイヤル こころといのちのほっとライン 電話:0570-087478 9月10日(火曜日)から14日(土曜日)。24時間 毎日12時から翌5時30分
自死遺族傾聴電話 電話:03-3796-5453 9月10日(火曜日)から13日(金曜日)11時から17時 毎週火曜日・木曜日・土曜日11時から17時
自死遺族相談ダイヤル 電話:03-3261-4350 9月9日(月曜日)から11日(水曜日)12時から17時 毎週木曜日10時から19時、毎週日曜日10時から17時

(注釈)相談日時が変更になる場合あり。電話や都ウェブサイトなどで最新情報をご確認ください

第35回自殺防止!東京キャンペーン(令和6年9月)を見る

見守る

長い目でそっと寄り添う

Q

つないだ後は、どのように関わっていくのがいいでしょうか?

A

つないだ後も、継続して見守ることが大切です

専門機関や、つなぎ先と継続して話をしていけるように、「話してみてどうだった」など、近況を聞きながら見守る姿勢がいいと思います。
次の相談を予約していたけど行けなかったということもあるので「一緒に電話してみる?」、場合によっては「一緒に行こうか?」など、一緒に対応していくことが大切です。

Q

悩んでいる身近な人を助けるために心がけておくといいことはありますか?

A

「あなたという存在を気にかけていますよ」というメッセージを送れるといいですね

皆さん自身も負担になってしまわないように、一人で助けようと思わず、身近な相手に「気にかけているよ」というメッセージを送ってあげられるといいですね。身近な人だからこそSOSのサインに気付けるというのは強みです。
専門機関はその人の状態を見て、アセスメントをして、道筋を考えていくことはできますが、最初の入り口は身近な人だからこそ気付くことができます。普段から気にかけていたいですね。

人と人との関わり、人の温かさはなくなることはありません

インターネットやSNSの普及で、人との付き合いが希薄になっているといわれる時代ですが、人との関わりや温かみは、いつまでもなくなることはありません。ゲートキーパーとして、周りの人との関わりを大切にし、見守ることのできる社会を目指していきます。

気づき、傾聴し、必要な支援につなぎ、見守る 悩んでいる人に手を差し伸べる「ゲートキーパー」

自殺を考えている人を助けたいと思った誰もが、自殺対策におけるゲートキーパーになりえます。自殺のサインに気づき、話を聞き一緒に考えるゲートキーパーは、悩んでいる人の孤立を防ぎ、安心を与える存在です。

ゲートキーパー養成講座を見る

めぐろ区報一覧を見る

こちらの記事も読まれています