更新日:2023年4月5日

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令和5年第1回定例会 意見書

物価上昇を上回る賃上げの対策を求める意見書

昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻を起因としたコロナ禍における物価高騰は長期化しており、政府は昨年10月に総合経済対策を策定し住民税非課税世帯への給付金、石油元売り会社への補助金、地方創生臨時交付金の物価高騰対策枠を設ける等で一定の成果を得た。
しかしながら、今年に入ってからも原材料価格や物流費の高騰に直面する企業の値上げが続いており、業種も食品、生活用品、サービス業等への広がりを見せている。株式上場している食品メーカーだけを見ても、本年2月は昨年2月以降で2番目に多い規模となる4000品目余りの値上げとなる。
厚生労働省が発表した2022年分の毎月勤労統計調査によると、物価の影響を反映させた実質賃金は前年比0.9パーセントの減少で、賃金の上昇が物価高に追いついていないことが明らかになった。
今後も物価高騰は続くことが予想されており、実際の家計は実質賃金で示されている数値以上に厳しい状況となるため、物価上昇を上回る賃金の引き上げを実現することが求められる。現行の総合経済対策に加えて、幅広い品目やサービスが値上がりしている状況に対応した構造的な賃上げ対策が必要であり、目黒区議会は国に対し、次のことを要望する。

  1. 国の最優先課題として、物価上昇を上回る賃上げの実現に向けた効果的な対策に取り組むこと。
  2. 賃金引上げに向けた社会的雰囲気を醸成するための取り組みを行うこと。
  3. 賃上げしやすい環境を整備するため、企業等の労働生産性向上に向けた取り組みを支援すること。
  4. 食料品やエネルギーの自給率向上に向けた取り組みを支援すること。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出する。
令和5年3月22日
目黒区議会議長 宮澤 宏行
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、経済産業大臣、厚生労働大臣宛て

教員不足の解消に向けた取り組み強化を求める意見書

公立学校に配置する予定の教員数は、令和3年度に文部科学省が実施した調査で2558人の不足が生じており、全国的に深刻な教員不足の状況であることが明らかになった。以後も改善する見通しは立っておらず、令和4年度の東京都内の公立小学校では、年度当初の欠員が約50人であったが、夏休み明けに約130人まで激増し、校長等の管理職が教壇に立ったり、職業紹介事業者に求人を出す等の対応に追われている。
教員不足の原因は、東京都の令和4年度教員採用試験倍率が2.1倍で過去最低を記録した状況に代表されるとおり、教員志望者が減少している一方で、小学校は1クラス40人から35人学級に移行が進むことで1校あたりに必要な教員数は増加していること等が挙げられる。
さらには、時間的、精神的負担等の労働環境が主な要因となり、新規採用した教員の4パーセントが1年以内に退職していること等も教員不足に拍車をかけている。
この状況が続けば、教育基本法第一条に教育の目的として掲げられている「人格の完成を目指す」ための教育活動が遂行できなくなるため、目黒区議会は国に対し、次のことを要望する。

  1. 教職の魅力向上のための財政支援と制度改革に取り組むこと。
  2. 国の標準を下回る学級編制基準の弾力的な運用が実施できるように教職員基礎定数を増やし、加配定数を削減するよう見直すこと。
  3. 教員免許状を保有しているものの教壇に立っていない者の採用試験への受験を支援し、講師登録制度を推進すること。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出する。
令和5年3月22日
目黒区議会議長 宮澤 宏行
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、文部科学大臣宛て

産婦健康診査事業の推進を求める意見書

産後の健康診査は、産後2週間程度と産後1か月程度の出産後間もない時期に産婦に対する健康診査を実施し、母体の身体的な回復状況、授乳状況、精神状態を把握することで産後うつ予防や新生児への虐待予防等を図る重要な健診である。
また、自治体の産婦健康診査事業により産婦の情報を得ることで早期の支援に取り組めた好事例も散見する。
産婦健康診査の費用は、受診する医療機関や健診項目により異なるが、健診1回の平均費用は5000円程度となる。
国では、出産費用が年々増額傾向にあることを踏まえて子育て支援策の拡充に取り組み、2023年度から出産育児一時金の支給額を現行の42万円から50万円に増額する。しかし、東京都の場合には、全国的にも出産費用が高い傾向にあり、出産育児一時金が50万円に増額されても自己負担が発生する産婦もいるため、産婦健康診査の自己負担はさらに重くのしかり、自治体の産婦健康診査事業による補助が求められるところである。
産後初期の産婦は、地元の病院で健診を受けるとは限らないため、各自治体は地域外の病院との委託契約が必要になり、現状、事業に取り組めない自治体が多いことから、目黒区議会は東京都に対し、次のことを要望する。

  1. 各自治体が産婦健康診査事業に取り組むための都内広域連携の枠組みを構築すること。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出する。
令和5年3月22日
目黒区議会議長 宮澤 宏行
東京都知事宛て

太陽光発電設備の設置を義務付ける制度について都民の十分な理解を得るための努力等を求める意見書

東京都は2030年までに都内の温室効果ガスを50パーセント削減する「カーボンハーフ」の実現に向けた施策の一環として、全国初となる太陽光発電設備の設置を義務付ける制度を創設し、2025年4月から開始する。
義務付けの対象は、都内で住宅を供給する延床面積の合計が年間2万平方メートル以上となる大手住宅メーカーで、東京都は設備設置費用の一部を補助する制度設計となっている。
一方で国は、昨年8月に太陽光パネルの設置費用が安価な傾向にあっても電気料金への賦課金を原資とした補助を受けることに変わりはなく、地域や立地条件により発電量の違いが生じる等の課題も多いことから新築住宅への設置義務化を見送っている。
気候変動対策のための温室効果ガス削減は誰もが理解するものであるが、太陽光発電設備の設置を義務化することへの費用対効果、制度設計等については都民の十分な理解を得ていないことから、目黒区議会は東京都に対し、次のことを要望する。

  1. 制度は2025年4月に開始となるが、都民の十分な理解を得られるよう努力すること。
  2. 太陽光発電設備の耐用年数は約30年であり、設備の交換と廃棄、リサイクルについても制度設計上で明確にすること。
  3. 太陽光発電システム機器の生産と破棄においても二酸化炭素の発生量が最少となるよう事業者等に求めていくこと。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出する。
令和5年3月22日
目黒区議会議長 宮澤 宏行
東京都知事宛て

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