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刑を終えて出所した人の人権 (めぐろ区報 平成23年6月15日号に掲載した記事です)
刑を終えて出所した人やその家族に対しての偏見・差別意識が存在しています。本人に更生意欲があっても、就職や住居の確保が困難な場合があるなど、出所した人の社会復帰は、極めて厳しい状況にあります。
こうした中、20年に更生保護法が施行されました。この法律は、国の責務として、保護観察官などの指導や監督の権限を強化する一方で、住居や就業等の生活環境の調整を行うことで受刑者などの円滑な社会復帰を図るという、更生保護の機能の充実強化を目的としています。
更生保護とは、罪を犯した人や非行のある少年を実社会の中で適切に処遇することにより、再犯や非行をなくし、こうした人の自立更生を助けることで社会を保護するというものです。
刑務所や少年院などの矯正施設入所者の中には、高齢や知的障害をもつなどの理由で自立した生活を送ることが困難であるにもかかわらず、過去に必要とする福祉的支援を受けてきていない人が少なくありません。そのうえ、身寄りがなく受入先を確保できないまま出所する人も多く存在しているという実態がしばしば指摘されてきました。
このようなケースでは、再犯により矯正施設に戻ってくる率が通常以上に高いことから、それを防ぐためには施設を出てからすぐに福祉サービスなどにつなげる必要がありました。
そこで、21年度からは「地域生活定着支援センター」を順次各都道府県に設置し、保護観察所と連携して、福祉の支援を必要とする矯正施設の入所者や出所者の支援を行うことになっています。
刑を終えて出所した人などが社会の一員として円滑な生活を営むためには、本人の強い更生意欲だけではなく、家族、職場、地域社会の理解と協力が不可欠であるとともに、これらの人に対する偏見をなくし差別意識を解消することが大切です。また、罪を犯した人を更生させ、地域社会に健全な構成員として迎えることは、社会全体にとっても望ましいことです。
犯罪被害者の感情に配慮することは重要ですが、犯罪や非行などの罪を償った人がしっかりと更生し、再び犯罪などに手を染めることがないよう、社会復帰のチャンスを作り、提供することも重要なのではないでしょうか。
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