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インターネットによる人権侵害をなくすために (めぐろ区報 平成24年1月25日号に掲載した記事です)
平成24年1月
インターネットは、ビジネスの世界だけではなく、行政、医療、福祉、教育などあらゆる分野で現代の生活にはなくてはならない存在となっています。
しかし、その一方で、有害サイトや迷惑メール、コンピューターウイルスの問題、違法コピーによる著作権侵害、掲示板等での中傷、ネットオークションでの詐欺など、さまざまなトラブルが増加しています。これらの多くは、インターネットを悪用した人権侵害という側面も持ち合わせています。
例えば、インターネット上の掲示板などについて考えてみます。これらには、匿名で書き込みができます。このため、書かれた人にはどんな相手が書いたか分からない怖さや、誰がその情報を見ているか分からない不安が生じます。
インターネットでは、誰でも簡単に情報を得ることができます。さらに、その情報を別の場所に貼り付けることが容易にできます。そのため、掲示板などに書き込みがされると、その内容がすぐに広まってしまう恐れがあります。そして、一度出た情報の完全な削除はできず、ただ忘れ去られるのを待つだけとなります。実際に地図情報サービスを二次的に利用し、差別的な書き込みをするなど、悪質な事件も起きています。
しかし、自分の名誉を傷つけられたり、プライバシーを侵害されたりする記事が掲載されても、被害者が自力で損害を回復するのは困難です。そこで、14年に施行された通称「プロバイダー責任制限法」では、被害者はプロバイダー(接続事業者)などに対し、人権侵害情報の発信者(掲示板等に書き込んだ人)の情報の開示を請求したり、人権侵害情報の削除を依頼したりできるようになりました。この法律によって、プロバイダー等はインターネット上で人権侵害が行われていることを知っていた場合などには、被害者に対し損害賠償責任を負うこともあります。また、人権侵害に当たる情報を削除したことについて、発信者から責任を問われないことなども定められています。
スマートフォン(高機能な携帯電話)の急速な普及などでインターネットはますます身近なものとなっています。私たちには表現の自由などが認められていますが、他者の権利を侵害しないよう配慮も求められています。
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