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パラ馬術 吉越奏詞選手インタビュー
オリンピックとパラリンピック競技の中で唯一動物と一緒に競技をする馬術競技。今回は、目黒区立の小中学校を卒業(2013年に区立碑小学校卒業、2016年に区立第七中学校を卒業)し、また、目黒日本大学高等学校(旧日出学園)出身であるパラ馬術の吉越奏詞選手にインタビューをしました。
経歴
先天性の脳性まひで、医師からは「車いす生活になる」と言われた吉越選手。障害があっても乗れるということで乳幼児の頃初めて馬に乗る。中学2年生の時、東京でオリンピック・パラリンピックの開催が決まり、馬術でパラリンピックに出場することを意識し始める。高校3年生の時に出場した世界選手権で6位入賞を果たす。現在は、日本体育大学に所属しており、日々トレーニングを重ねて東京2020パラリンピック競技大会の出場とメダル獲得を目指している。
馬に乗りたい!乗馬リハビリが叶えた自由
幼少期の吉越選手
馬に初めて乗ったのは、乳幼児の頃です。兄が碑文谷公園ポニー教室に通っていて、母と一緒に僕も行っていました。「馬は障害を持っている子でも乗れる。馬が好きなら乗ってみたら」とスタッフの方が誘ってくれたそうです。母の努力もあり、区の療育施設「すくすくのびのび園」乳幼児クラスでポニー乗馬を始めました。他のリハビリは嫌がって泣いてばかりなのに、乗馬時は笑顔になったと聞いています。2歳には、独りで乗れるようになりました。僕は先天性の脳性まひで、車いす生活になると医者に言われていましたが、乗馬の効果が出たのか、歩けるようになりました。
馬は対話ができる動物です。こちらの問いに答えてくれます。馬に乗っている時は楽しく、自由だと感じていました。「馬に乗りたいから体を鍛えよう、体調管理をしよう」その思いがエネルギーになっていると思います。馬は、僕にいろんなパワーをくれます。
世界で手応え、パラリンピックの夢を現実に
競技としての乗馬を意識したのは、中学2年生の時です。2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定した時に、母に「パラ馬術に出場する!」と宣言しました。「パラリンピックへの夢」という作文で東京都教育委員会賞もしました。僕の意志で周囲の状況を変えた感じです。高校3年生の時に世界選手権で6位を取った時は、「やった!これで東京2020に行けるぞ!」と手ごたえを感じました。今は、大学で筋力トレーニングをしながら四街道グリーンヒル乗馬クラブで特訓中です。東京2020のために難しい馬に挑戦しさらに上位を目指しています。馬術競技は、オリ・パラで唯一動物と人間が一緒になって行う競技です。人馬一体で競技に挑むため、信頼関係が非常に大切です。毎日が馬と向き合う生活です。障害を持つ僕がここまでできるようになったのは、馬のおかげです。馬術は、素晴らしいスポーツです。馬と応援してくれるみなさんに恩返しするために、東京2020出場とメダルを目指して頑張ります!
東京2020パラリンピックを見据える吉越選手
目黒区のみなさんへ
僕はポニー広場で乗馬の基礎を学びました。障害をもった子供たちには、もっともっと上を目指してほしい。夢を持ち続けてほしいと思っています。馬術は、動物と人が力を合わせて競う素晴らしいスポーツです。応援よろしくお願いします。
選手紹介
プロフィール
- 氏名 吉越 奏詞(よしごえ そうし)
- 生年月日 2000年8月7日
- 身長、体重 167センチメートル、60キログラム
- 競技 パラ馬術(グレードII)
- 所属 日本体育大学 四街道グリーンヒル乗馬クラブ
- 出身校 目黒区立碑小学校、目黒区立第七中学校、目黒日本大学高等学校(旧日出学園)
主な成績
2018年
- 4月CPED Iベルギー大会 10位
- 5月CPED Iノルウェー大会 2位
- 7月CPED Iドイツ大会 6位
- 9月CPED I世界選手権 6位
パラ馬術
種目は馬場馬術(dressage)のみ。馬を正確かつ芸術的に美しく制御する技術を競う。障害の種類や程度により「グレード」が異なる。「グレード」はIからVまであり、競技内容と馬場の大きさが違う。技術には、基本的な「常歩(なみあし)」、対角線上の肢が交互に2拍子のリズムで動く「速歩(はやあし)」、スピードのある「駈歩(かけあし)」、前肢と後肢が異なる軌跡を描く「二蹄跡運動(にていせきうんどう)」があり、グレードIは常歩、グレードIIは常歩と速歩など、グレードにより求められる技術レベルが異なる。見所は人馬一体の美しい動き。人馬の信頼と尊重が創り出す演技は、大きな感動を呼ぶ。
協力
このインタビューは、一般社団法人日本障がい者乗馬協会の協力のもと実施しました。
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