更新日:2022年11月3日
さくらちゃん
目黒区内の公園や緑道、道路緑地などには約2,200本の桜がありますが、老齢化などにより、樹勢の低下や倒木などが懸念されています。桜の保全や更新の取り組みが必要となっていることから、目黒区では平成26年3月に目黒のサクラ基金を設立し、皆様からいただいたご寄付を活用して目黒の桜の風景を後世に伝えていくため、「めぐろサクラ再生プロジェクト」として目黒のサクラ保全事業を行っています。
めぐろサクラ再生プロジェクトのイメージ
目黒のサクラ再生に向けて
目黒のサクラ保全事業の流れ
目黒のサクラ保全事業だより(第2号)(PDF:2,073KB)
樹木診断を行います
桜の状態を樹木医が診断し、桜の診断表(個別カルテ)を作成します。診断に基づき、空洞などがある場合には、精密診断を行います。
精密診断の結果、倒木の危険性が高いものは伐採を行う場合もあります。
樹木診断の種類と手順
初期診断
倒木などの危険性の高い樹木を迅速に発見し、適切な処置を行うとともに専門診断(外観診断・精密診断)の必要な樹木を抽出するために行います。
外観診断
樹木を目視や木槌等の簡易的な器具用いて、幹や枝の健康状況を初期診断よりも詳しく診断し、精密診断が必要な樹木を抽出します。
精密診断
専門の腐朽診断機器(レジストグラフ等)を用いて樹木内部の空洞率を測定します。
レジストグラフは、直径1.5ミリメートルの細いキリを樹幹へ貫入し、キリにかかる抵抗をもとに波形グラフとして記録します。抵抗が大きい場合、樹木は健全で、抵抗が小さい場合やほとんどない場合は樹幹に空洞や腐朽がある恐れがあります。
樹木診断見学会を開催しました(菅刈公園・目黒川沿川 平成27年6月24日)
菅刈公園と目黒川沿いで桜の樹木診断見学会を開催しました。
初夏の晴天に恵まれ、目黒のサクラ基金の寄付者等15名の参加者が出席しました。
初期診断を見学する様子(菅刈公園)
菅刈公園では桜の生育特性や桜の健康状態が悪くなる原因、地域で取り組む桜保全の意義について皆で理解を深めました。
樹木医の先生から桜の外観診断について講義を受け、木槌で叩いた音の違いから桜の幹内部の空洞を診断する様子や、先の尖った鋼棒を刺し、地中に埋まっている根本部分の異常の有無を診断する様子を見学しました。また、樹木が腐る原因となる、きのこの発生状況も確認しました。
枯枝など確認する様子(目黒川沿川)
目黒川沿いでは大きく育った桜の枝が重なり合い、陽が当たらなくなり、下側の枝が枯れている様子や、枝先にこぶ病が出ている様子について樹木医の先生から説明を受けました。
精密診断を見学する様子
レジストグラフという専門の機械を使い桜の幹の腐朽状態(空洞化)を測定しました。
レジストグラフは幹に極細いドリルを貫入し、その抵抗値の変化をグラフ化して腐朽部分を判定するものです。グラフの様子から幹の腐朽状態を参加者の皆様と見学しました。
樹木診断見学会を開催しました(田向公園・碑さくら通り 平成27年6月26日)
田向公園と碑さくら通りで桜の樹木診断見学会を開催しました。
当日は天気が危ぶまれましたが、近隣にお住まいの方や目黒のサクラ基金の寄付者の10名の参加者が出席しました。
診断方法の説明を受ける様子(田向公園)
目黒区から桜保全の意義や、桜の生育特性について説明を行った後、樹木診断の方法について説明を受けました。
樹木診断の見学をする様子(田向公園)
桜の幹の打音検査を行い、幹の内部が傷んでいる様子について説明を受けました。
2日間で25名の出席者にご参加いただき、実際の樹木診断の様子を見学していただくことにより、地域の桜の現状や目黒のサクラ保全事業の内容についてご理解をいただくことができました。
また他地域で、桜保全にどのように地域の方が関わっているかご紹介させていただきました。今後、桜保全活動に地域の皆様に積極的に関わっていただければと思います。
樹木診断の取組状況
平成27年 | 度初期診断:街路樹1,015本 |
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外観診断:街路樹191本、児童遊園2本 | |
精密診断:街路樹93本、公園・緑道37本、児童遊園2本 | |
平成28年度 | 外観診断:公園・緑道41本 |
平成29年度 | 外観診断:児童遊園24本 |
精密診断:公園・緑道96本、児童遊園11本 | |
平成30年度 | ― |
令和元年度 | ― |
令和2年度 | 外観診断:街路樹201本、公園・緑道17本、児童遊園5本 |
精密診断:街路樹49本、公園・緑道8本 | |
令和3年度 | 外観診断:街路樹220本、公園2本 |
精密診断:街路樹28本、公園・緑道18本 |
桜の再生計画を作成します
桜の保護・植替えについて、地域の皆様のご意見を取り入れながら地域に合った再生計画を作成します。
目黒川(ソメイヨシノ)(将来像)
呑川本流緑道(コヒガン、コシノヒガン)(将来像)
目黒のサクラ再生実行計画の作成状況
平成28年度
- 碑さくら通り
- 田向円融寺通り
- 碑文谷五丁目緑地
平成29年度
- 目黒川緑地帯
- 児童遊園
平成30年度
- 立会川緑道
- 呑川本流緑道
令和元年度
- 呑川柿の木坂支流緑道
- 呑川駒沢支流緑道
令和2年度
- 駒場野公園
- 九品仏川緑道
桜の保護・植替えを進めていきます
桜の再生計画に基づき、保護・植替えを進めていきます。
桜は日当たりを好む植物です。日当たりを良くすることや、土壌改良等により桜の保護を行います。また、計画的に植替えを進めていきます。
桜の保護(土壌改良)を行いました
目黒川で樹勢の低下が目立つようになってきた桜の回復を試みるため、エアレーションによる土壌改良を行いました。
1.圧縮空気を噴射させ、穴を掘ることで、固まった土をほぐします
専用の機械を用いて、直径3センチメートル程度の大きさの穴を深さ0.5メートル掘りました。空気の力で穴を掘るので、根を傷つける心配がありません。
作業中の様子
イメージ図
2.空けた穴に肥料を入れて、土の状態を良くします
桜の周りに合計25か所の穴を掘りました。肥料と多孔質の土を土壌改良材として投入しました。
作業後の様子
イメージ図
老齢化した桜の植替えの流れ
伐採の様子(菅刈公園)
樹木診断により倒木の危険があると判断された桜については、安全確保のために伐採を行っています。
大きな桜は、クレーンを用いて上から少しずつ切っていきます。
空洞化した桜(立会川緑道)
倒木の危険があると判断され伐採した桜の幹内部には、空洞がある場合があります。
抜根の様子(立会川緑道)
伐採した桜の切り株は、すぐに掘り起こさず1年から2年置くことで抜根しやすくなります。
植替え後の様子(碑さくら通り)
サクラ再生実行計画に基づき、植替えを行っていきます。
令和3年度までに、目黒川や田向円融寺通り、碑さくら通りなど合計25本の植替えを行いました。
工事の取組状況
平成27年度 | 伐採工事:街路樹17本 |
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平成28年度 | 伐採工事:街路樹11本、緑道2本 |
抜根工事:街路樹1本 | |
平成29年度 | 伐採工事:街路樹2本、公園2本 |
抜根工事:公園・緑道11本 | |
平成30年度 | 伐採工事:公園・緑道8本 |
抜根工事:街路樹13本、緑道3本 | |
植替工事:街路樹12本 | |
令和元年度 | 伐採工事:街路樹2本、公園・緑道10本 |
抜根工事:街路樹7本、緑道2本 | |
令和2年度 | 伐採工事:街路樹7本、公園・緑道5本 |
抜根工事:公園・緑道4本 | |
植替工事:街路樹2本、公園・緑道5本 |
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令和3年度 | 伐採工事:街路樹9本、緑道2本 |
抜根工事:街路樹6本、緑道3本、児童遊園1本 | |
植替工事:街路樹2本、緑道3本、児童遊園:1本 |
桜守 活動がスタートしました
駒場野公園内の桜が踏圧により弱ってきていることから、令和3年10月3日(日曜日)に駒場野自然クラブの活動で桜の保全を行いました。
参加者やボランティア団体の皆さまの協力のもと、8基の進入防止柵を作成し、桜の根周りに設置、根の保護を行いました。
作成した柵は、サクラ再生実行計画に基づき、公園の利用と桜の根の保護を両立させるため、必要に応じて動かせるよう可動式となっています。
柵の作成の様子
設置後の様子
桜守活動とは、地域の皆さまで地域の桜を守るボランティア活動です。
また、進入防止柵に使用した材は、ボランティア団体が園内の木を維持管理のために伐採したものです。
目黒のサクラ保全事業報告会を開催しています
平成30年度目黒のサクラ保全事業報告会の様子
目黒のサクラ保全事業について寄付者や区民の皆様にご報告をするため、毎年目黒のサクラ保全事業報告会を開催しています。令和3年度は新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、報告会に代わり、目黒のサクラ保全事業報告会のページで令和3年度のめぐろサクラ再生プロジェクトの取組についてご報告しています。
ふるさと目黒の桜を後世に伝えていくために「目黒のサクラ基金」
目黒のサクラ基金にご協力ください
積雪により倒木した桜
みなさまからお寄せいただいたご寄付は「目黒のサクラ基金」に積み立て、区内の公園や緑道、街路樹等の桜の樹木診断や生育環境の改善、植替え等の関連事業に使わせていただきます。
なぜ桜の保護・植替えが必要なの?
区内の公園や緑道、街路樹などには約2,200本の桜があります。今後、老齢化や生育環境の変化により、樹勢が衰え、枝折れや倒木が懸念されることから、保護や植替えなどの取り組みが必要となっています。1本の桜を植え替えるためには、伐採や抜根、新植などに約100万円かかります。
知っていますか?桜の性質
日当たりを好む木です
- 桜は日当たりを好む代表的な樹種です。
- 根の張りが浅く土壌の環境に影響を受けやすい木です。
- 桜は、根が浅く、広く張る樹種です。地面の近くに多くの根を伸ばすことにより、生育に必要な酸素を吸収しています。そのため土が締まって硬くなったり、根元周りに多量の土が被されると呼吸ができなくなり、樹勢が低下します。
腐朽しやすい木です
- 桜は幹や枝の切り口から、腐朽菌が侵入しやすい樹種です。
- 太い枝を切断すると、その切口が治るまでに時間がかかり、きのこや腐朽菌が侵入するきっかけになり、腐りやすくなってしまいます。
- 腐朽しにくいように、切口に薬剤等を塗布します。
病気や虫がつきやすい木です
- 桜は虫や病気に侵されやすい樹種です。
- 特にまとまって植えられている街路樹では病虫害の被害を受けやすく、虫の大量発生や病気の蔓延が起こりやすい樹種です。
寄付・募金状況
平成25年度
16件、787,000円
平成26年度
90件、3,250,768円
平成27年度
125件、3,003,007円
平成28年度
78件、2,598,938円
平成29年度
117件、3,383,745円
平成30年度
189件、9,067,973円
令和元年度
212件、11,579,618円
令和2年度
227件、11,829,183円
令和3年度
380件、39,502,154円
目黒の桜の保護・植替えにご協力いただけるかたはこちらのページをご覧ください。
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