更新日:2024年4月11日

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SDGsポスター物語「ようこそ目黒区へーその四 紫式部編」

SDGsポスター物語「ようこそ目黒区へーその四 紫式部編」

この物語は、東急グループが運行する「SDGsトレイン 美しい時代へ号」に、目黒区が掲出しているSDGs(持続可能な開発目標)啓発ポスターに掲載した物語です。
目黒区にタイムスリップしてきた歴史上の偉人とのやりとりの中で、SDGs達成の大切さに気付く、そんな物語です。
物語はフィクションです。

SDGsポスター物語「ようこそ目黒区へーその四 紫式部編」(PDF:2,234KB)

時は21世紀、ところは目黒。

目黒区の魅力やSDGsの取り組みを伝えることをミッションに、目黒を駆け巡る広報課Aさん。
どうやって伝えるか悩み続けるAさんの前に現れたのは、なんと時空を越えタイムスリップしてきた源義経と弁慶だった(「ようこそ目黒区へーその壱 源義経・弁慶編」参照)。

秋の目黒の風物詩「目黒区民まつり」では、古典落語「目黒のさんま」のモデルともいわれる徳川家光も現れ(「ようこそ目黒区へーその弐 徳川家光編」参照)、大好きなサンマを守るべく大学受験に挑戦!そこで、学問の神様とよばれる菅原道真も登場(「ようこそ目黒区へーその参 菅原道真編」参照)!

季節は流れ、二度目の春に。
「さくら花ー ぬしをわすれぬものならばー」満開の夜桜舞う目黒川のほとりに響く女性の声。向き合うのはスーツ姿に烏帽子を決め込んだ菅原道真。時代を超えた女子会で、広報課Aさんと話に花を咲かせる、今回の偉人は…。

偉人との出会いが、広報課Aさんや現在と未来の人々にSDGsの重要性を投げかける。
SDGsポスター物語「ようこそ目黒区へーその四 紫式部編」はじまり、はじまりー!

紫式部VS菅原道真⁉

紫式部

桜の名所として全国に名を馳せる目黒川は今年も賑わっていた。
川を挟んでライトアップされた桜並木は、幻想的な桜の回廊として約4km続く。
満開の桜を一目見ようと訪れた見物客は、各所に点在する橋の上や、沿道に立ち並ぶ飲食店のテラス席など、思い思いに夜桜を堪能している。
その人だかりの中に区役所職員として合同パトロールに駆り出された広報課Aさんの姿。
マナーの悪い観光客が騒いでトラブルになることもあり、この時期の目黒区は公民連携し厳戒態勢で対応にあたっていた。

「さくら花ー ぬしをわすれぬものならばー」
業務を終え帰ろうとした広報課Aさんの耳に、甲高い女性の声が飛び込んできた。
「吹き込む風にー 言伝てはせよー」
続いて低く明瞭な男性の声。
たちまち周囲がざわつき人だかりができる。トラブルは勘弁してほしいと願いつつ、人波をかき分け、声の主までたどり着いた広報Aさんが目にしたのは予想外の組み合わせ。
雅な着物に身を包み、艶のある黒髪を腰の先まで伸ばした平安貴族風の女性と高々とした烏帽子を被り、スタイリッシュなスーツで決めた…菅原道真⁉

菅原道真

「このパターンはもしかして」

「道真さん!こんなところで何を?」
「しばらくだなA殿、実はこの先に麻呂の経営する飲食店があってな、投資先の酒蔵から仕入れた酒を差し入れに来たところであった」
「さすが天神さま!短期間に大成功じゃないですか。ところでそちらの女性は?」
どうやら我らと同じ、刻の迷いびとのようでな。名をなんと申したか」
その言葉を受けて平安貴族風の女性がふわりと前へ出る。
「わたくしは藤原朝臣為時(ふじわらのあそんためとき)の娘、宮中では藤式部(とうのしきぶ)と呼ばれております」
「今の時代では紫式部と伝わっておるようじゃ」
すかさず道真が補足する。
「紫式部さん!源氏物語大好きです!それで先ほどは大声で何を?」
「この怪しげなる男が、わたくしの敬愛する菅原道真公の名を語るゆえ、試してみたのだ」
「さすがに自分の歌の下の句はわかるぞ。それで麻呂の疑いは晴れたかな?」
「歌を嗜むものなら簡単過ぎたやもしれぬ。まずその身なりが怪しい」
これは「あるまに」というこの時代の装束でな、すっかり気に入っておる」
「すみません、いろいろとお話を伺いたいのですが、通行の妨げになっているので、まずは場所を移動しませんか?」
たまらず広報Aさんが提案する。
「では、この近くの麻呂の店で飲み直すとしよう」

「この時代なら、もっと自由に好きな物語が書けたのかしら」

広報課A

「カンパーイ!さあ、どんどん飲みましょう!」
この夜、5度目の乾杯を高らかに唱和し、紫式部は上機嫌だ。
「このしゅわしゅわするお酒のなんと美味なること!
「京の酒蔵で作った発泡日本酒じゃ。気に入ってもらえて何より」
紫式部の身の上話を聞かされて、すっかり同情してしまった広報Aさん。
「結婚してわずか3年で旦那さんが亡くなって、ご苦労されたのですね」
「わたくしの時代、女子(おなご)は政治の道具。家同士の繫がりを強めるための結婚が当たり前だったし、親子ほど年の離れた、いとこ同士の結婚だったから、恋愛感情とは違うかも。
夫を亡くしてからは、幼子を抱えて必死に生きてきたわ」
「平安貴族はたくさんの恋愛を楽しんでいるイメージがありました」
「一部の力ある貴族はね。わたくしの上司もそう。嫌な人なのよ」
「藤原道長さんですか?光源氏のモデルとも言われていますけど?」
「自分が世の中の中心だと思って憚らないところは似ているかもね」
「そんな男尊女卑的社会の中、自身の文才で名を残した紫式部さんはやっぱりすごいです。あらためて憧れちゃうな」
「女子は漢文など読めずとも、平仮名だけ読み書きできれば良いって、それが当たり前の時代だった」
「現代では世界中でジェンダー平等への動きが活発になっています。目黒区でも「目黒区男女平等・共同参画及び性の多様性の尊重を推進する計画」が令和4年に改定されました。
女性の起業や、就労支援をしたり、男性が家事、育児、介護を積極的に担うための支援をしたりしているんです」
「それはとても素敵ね。わたくしもこの時代なら、もっと自由に好きな物語が書けたのかしら」
グラスを傾け、寂しそうに微笑む紫式部へ広報Aさんが力強く頷く。
「できますよ!もともと文才がありますし、現代は発表する場がたくさんあります!そうだ、インスタとかやってみませんか?」
スマートフォンを取り出し画面を見せる。そこにはかわいらしい子猫の写真。
「まあ、いとあはれだわ!こんなに小さい板にどうやって入っているの?」
隣で微笑ましく聞いていた道真が口を挟む。
「インスタとは良いアイデアかも知れぬな。初期費用は麻呂が投資しよう」
「さすがアルマーニをダンディに着こなす敏腕トレーダーですね!」
「めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな」
「その歌って百人一首の紫式部さんの歌ですね」
「今日の思い出に夜桜と月を添えて、この板に入れたいの」
「任せてください!写真はあとで共有しますね」
時代を超えた女子会はこのあと明け方まで続いたという。
かくして目黒区に新たな住人が加わった。

ようこそ目黒区へ

目黒区男女平等・共同参画及び性の多様性の尊重を推進する計画

男女が個人として尊重され、共に責任を分かち合い、自らの意思によってその能力を発揮し、家庭、地域、職場などのあらゆる分野において共同参画するとともに、性の多様性が尊重されることにより、誰もが自分らしく生きていくことができる社会づくりに向けた計画です。

男女平等・共同参画及び性の多様性の尊重を推進する計画

登場人物紹介

 

広報課A

広報課Aさん

目黒区役所の広報課で働く通称Aさん。
真面目で頑張り屋の彼女は、目黒区のPRのため北は駒場から南は大岡山まで東奔西走。
大鳥神社の神頼みによる不思議な力で、歴史上の偉人まで呼び寄せてしまう。

 

菅原道真

菅原道真

845年生(57歳)。
学問で朝廷に仕える家系に生まれ、5歳にして和歌を、11歳で漢詩を詠む。
宇多天皇の絶大な信頼を得て、学者としては異例の右大臣となったが、いわれのない罪で大宰府へと左遷される。没後は長く学問の神様として信仰され、物語では、不思議な力によって現代の目黒区へ呼び寄せられ、学問を志す全ての人にエールを送る。
現代の世では、その才を生かし、敏腕トレーダーとして飲食店まで経営!

 

紫式部

紫式部

970年から978年生まれ(正確な生まれた年は不明。35歳)。
宮中では藤式部(とうのしきぶ、ふじしきぶ)と呼ばれており、後に「紫式部」と呼ばれたとされるが、いずれも通称。本名は不明。
「源氏物語」の作者として知られ、「百人一首」にも和歌が収められている。
藤原道長に召し出され、道長の娘、一条天皇の中宮彰子に仕え、「源氏物語」を完成させたとされる。
不思議な力で現代の目黒区に現れた。

 

弁慶

武蔵坊弁慶

1155年生(30歳)。
巨躯と怪力が自慢の僧兵。五条大橋で義経に敗れて以来、義経の忠臣として最後まで仕えたとされる。
主人の義経とともに現代の目黒区に出現。
自由奔放な義経に振り回されながらも、現代社会に馴染もうと奮闘中。
現在、菅原道真の経営する飲食店でアルバイト。

 

 

  • 企画・デザイン 目黒区広報課 大谷信広
  • イラストレーション 亀川秀樹

お問い合わせ

広報課 区報担当

ファクス:03-5722-8674