更新日:2023年10月16日

ページID:13733

ここから本文です。

SDGsポスター物語「ようこそ目黒区へーその弐 徳川家光編」

SDGsポスター(その弐)

この物語は、東急グループが運行する「SDGsトレイン 美しい時代へ号」に、目黒区が掲出しているSDGs(持続可能な開発目標)啓発ポスターに掲載した物語です。
目黒区にタイムスリップしてきた歴史上の偉人とのやりとりの中で、SDGs達成の大切さに気付く、そんな物語です。
物語はフィクションです。

SDGsポスター物語「ようこそ目黒区へーその弐 徳川家光編」(PDF:2,105KB)

時は21世紀、ところは目黒。

目黒区の魅力やSDGsの取り組みを伝えることをミッションに、目黒を駆け巡る広報課Aさん。
どうやって伝えるか悩み続けるAさんの前に現れたのは、なんと時空を越え平安末期の壇ノ浦からタイムスリップしてきた義経と弁慶だった(「ようこそ目黒区へ(その壱)ー源義経・弁慶編」参照)。

季節は移り、今回の舞台は秋の目黒の風物詩「目黒区民まつり」。
取材中のAさんの耳に飛び込む大音声。
「将軍として命じる!さんまを持って参れ!」

偉人との出会いが、広報課Aさんや現在と未来の人々にSDGsの重要性を投げかける。
SDGsポスター物語「ようこそ目黒区へ-その弐 徳川家光編」はじまり、はじまりー!

落語コンテスト優勝者?

「将軍として命じる!さんまを持って参れ!」広報課Aさん
秋晴れの田道広場公園に響き渡る大音声。その声の主を取り囲むように人だかりができている。
「ここは目黒であろう?目黒といえばさんまじゃ。余はさんまに目がなくてな、
脂の乗ったさんまの香ばしい匂いがたまらん!さあ、早うさんまを持って参れ」
立て板に水を流すようにまくしたてる着物姿の男。なんと髪はチョンマゲを結っている。

この日「目黒区民まつり」の取材で、公園に居合わせた目黒区広報課Aさんはこの様子に興味津々。
「今年の落語コンテストの優勝者は本格的だなぁ。本当に江戸時代からタイムスリップしてきたみたい」
毎年、秋に開催されるこの祭りは、模擬店やステージ、子どもたちが遊べる広場、
ふるさと物産展など来場者数3万人を超える目黒区の一大イベントである。
アマチュアの落語家が新作落語を披露する落語コンテストも事前に開催され、
優勝者はステージで披露することになっていた。

しかしなんといっても最大の目玉は、目黒区の友好都市気仙沼から送られた
新鮮なさんまを炭火焼きで提供する「目黒のさんま祭」
脂の乗ったさんまに大分県臼杵産のカボスをかけて、美味しそうに食べる笑顔がそこかしこに見られる。

「なに?さんまは事前申し込み制?
えーい、お主ではらちが明かぬ、知恵伊豆をここへ呼べ!」
優勝者のリハーサルかと様子を見ていた広報Aさんも、
ただならぬ様子を察して話しかけた。
「あの、もしかして本物の将軍様ですか?家光
鎌倉?室町?それとも江戸?」
「異な事を申す娘だ。
余こそ江戸幕府三代将軍、徳川家光である
頭が高い!控えおろう!」
「は、はい、すみません!」思わず謝罪してしまった広報Aさんだが、
3カ月ほど前にも同じようなことがあったことを思い出していた。
「義経さん、弁慶さんの次は家光さんか、いったいどうなってるの?」

やはり、さんまは目黒にかぎる!

ちょうどその時、偶然にも義経らしき男が目の前を横切った。義経
いつものかぶとを被っているが、その下はTシャツ短パンという奇妙な格好。
「やあA殿、久しいな。
教えてもらった菊棒も、
ほれこの通り馬のように乗りこなしておる

菊棒じゃなくて、キックボードですよ
ちゃんとヘルメットもかぶって偉いです」
「うむ、
武士の頭を守るのはかぶとと決まっておるからな
ところで何やらもめておったようじゃが」
「実は義経さん達と同じように、過去から徳川家光さんという方がいらっしゃいまして……」
「おお!家光か。実はあれから少し歴史を学んでな、
徳川といえば清和源氏の流れをくむ者だという、どれわしが話をつけてやろう」
しばらく言い争いを続けていた二人だったが、誤解が解けたのか
時折笑顔が見えるようになり、終いには肩を組んでビールで乾杯していた。
「いやあ、軍神義経公みずから源平合戦の話が聞けるとは武士冥利に尽きますな
「お主も話のわかる男で助かった。しかし、それほどさんまが好きなら
わしの予約券を譲ろう。1枚しか無いが存分に味わうといい」
「なんと!誠にかたじけない。ではさっそくさんまを所望いたす!」
「家光さん、良かったですね。どうぞお召し上がりください」
広報Aさんが運んできた焼きたてのさんまを一口頬張る。
「まさしく天下の美味!やはりさんまは目黒にかぎる」
落語「目黒のさんま」の一節を直に聞いた広報Aさんも大満足。

海を守るために

骨も残さずきれいに食べ終わり、名残惜しそうに家光が愚痴る。
「しかし一人一尾とは寂しいのう。余の知るさんまは下魚と呼ばれ、
魚河岸へ行けば山のように積まれていたものじゃが」
広報Aさんが申し訳なさそうに答える。
「近年は温暖化や海洋環境変化の影響で、さんまの不漁が続き、
今日もなんとか事前予約分だけは確保できたんです」
「うぅむ、さんま好きとしては由々しき事態。なんとかならぬか」
「世界中で海の豊かさを守るための活動が行われてはいるんですが、
みんなが自覚を持って行動できているかというと……私もあまり自信がありません」
「余も海を守るために何かできぬだろうか?」
真剣な表情の家光。そこには江戸幕府将軍としての覚悟と責任が表れていた。
「それならまずは、
足元の紙皿をきちんとゴミ箱に捨てるところから始めましょうか弁慶
「やや、これは一本取られたな」
ぴしゃりと額を叩き、破顔一笑の家光。
その様子をみて、足元に転がったビールの空き缶をそっと拾う義経。
「義経さん!飲酒運転になるから帰りは歩いてくださいね」
「わはは、A殿にはかなわんな。ところで家光はこれからどうする?」
「ここが目黒なら、江戸城は近いはずじゃが」
「江戸城はもうありませんよ?いまは皇居になっています」
「なんとこの時代、帝は江戸にお住まいか!では将軍の居城は?」
「将軍じゃなく総理大臣で、幕府も無くなって150年以上経ってます」
「わしのいた時代に比べれば随分と最近に感じるな。
ではどうじゃわしら同様この目黒に住んでみては?」
義経からの誘いに我が意を得たりとばかりに膝を打つ家光。
「それはありがたい申し出。目黒のさんまが食べ放題じゃな」
目黒でさんまが獲れないことを家光が知るのは少し先の話。
ともあれ目黒区にまた新たな住人が加わった。

ようこそ目黒区へ

登場人物紹介

 

/images/13733/sdgs_kohoasan2.jpg

広報課Aさん

目黒区役所の広報課で働く通称Aさん。
真面目で頑張り屋の彼女は、目黒区のPRのため北は駒場から南は大岡山まで東奔西走。
大鳥神社の神頼みによる不思議な力で、歴史上の偉人まで呼び寄せてしまう。

 

家光

徳川家光

1604年生(32歳)
江戸幕府の第3代征夷大将軍。
武家諸法度の改定や参勤交代など一連の強権政策により、幕府の統治を盤石なものとした。
剣術や遠乗りなど武芸を好んだ。
遠乗りの帰りに立ち寄った目黒でさんまを食して以来その虜に。
さんまへの執着から区民まつりの会場で騒ぎを起こす。
落語「目黒のさんま」に出てくる殿様のモデルとも言われている。

 

/images/13733/sdgs_yoshitsune2.jpg

源義経

1159年生(26歳)京都出身。
鎌倉幕府初代将軍 源頼朝の弟で、幼名は牛若丸。
頼朝の平氏打倒の挙兵に応じ、数々の戦功を挙げる。
壇ノ浦の合戦の最中、不思議な力により現代の目黒区に出現。
Aさんの勘違いにより、中目黒夏まつりに飛び入り参加し、よさこいと阿波踊りを堪能。
戦争の無い現代の日本・目黒を大いに気に入り、
Aさんの勧めで現代の目黒区で暮らすことに。
これからの義経の変化やいかに。

武蔵坊弁慶


1155年生(30歳)。
巨躯と怪力が自慢の僧兵。五条大橋で義経に敗れて以来、義経の忠臣として最後まで仕えたとされる。
主人の義経とともに現代の目黒区に出現。
自由奔放な義経に振り回されながらも、現代社会に馴染もうと奮闘中。
目黒区民まつりでは、さんま焼き隊に参加。
気仙沼で水揚げされた生さんまを、一心不乱に焼く、焼く、焼く。

 

企画・デザイン 目黒区広報課 大谷信広

イラストレーション 亀川秀樹

お問い合わせ

広報課 区報担当

ファクス:03-5722-8674