更新日:2024年1月11日

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SDGsポスター物語「ようこそ目黒区へーその参 菅原道真編」

SDGsポスター物語「ようこそ目黒区へーその参 菅原道真編」

この物語は、東急グループが運行する「SDGsトレイン 美しい時代へ号」に、目黒区が掲出しているSDGs(持続可能な開発目標)啓発ポスターに掲載した物語です。
目黒区にタイムスリップしてきた歴史上の偉人とのやりとりの中で、SDGs達成の大切さに気付く、そんな物語です。
物語はフィクションです。

SDGsポスター物語「ようこそ目黒区へーその参 菅原道真編」(PDF:1,970KB)

時は21世紀、ところは目黒。

目黒区の魅力やSDGsの取り組みを伝えることをミッションに、目黒を駆け巡る広報課Aさん。
どうやって伝えるか悩み続けるAさんの前に現れたのは、なんと時空を越えタイムスリップしてきた源義経と弁慶だった(「ようこそ目黒区へーその壱 源義経・弁慶編」参照)。
秋の目黒の風物詩「目黒区民まつり」では、古典落語「目黒のさんま」のモデルともいわれる徳川家光も現れ、新たに目黒区民に加わった(「ようこそ目黒区へーその弐 徳川家光編」参照)。

季節は流れ、舞台は小雪ちらつく冬の東京大学駒場キャンパス正門前。
大学受験に臨む人だかりに、ちょんまげ姿で参考書を必死に確認するあの偉人の姿が!

偉人との出会いが、広報課Aさんや現在と未来の人々にSDGsの重要性を投げかける。
SDGsポスター物語「ようこそ目黒区へ-その参 菅原道真編」はじまり、はじまりー!

受験生 江戸幕府三代将軍 徳川家光!

広報課Aさん

「家光さん!頑張ってくださいね!」
目黒区広報課Aさんが声を掛けたのは、前回江戸時代からやってきた三代将軍徳川家光。
ちょんまげ頭に眼鏡をかけた学生服姿の家光が緊張した面持ちで答える。
「A殿の声援があれば百人力じゃ、今日の東大受験、絶対合格してみせるぞ!」
ここは目黒区駒場にある東京大学駒場キャンパス正門前。今日はまさに二次学力試験当日。
小雪のちらつく中、全国から集まった受験生たちの熱気であたりの雪も融け出しそうだ。
「まさか江戸時代からの留学生枠で受験資格が与えられるなんて思いませんでしたね」
「目黒区の受験生チャレンジ支援も特別に使わせてもらい助かったぞ」
「大学に行きたいって聞いた時は驚きましたよ」
「海の豊かさを守るため、本格的に海洋学を学んでみたくてな」
「素晴らしいサンマ愛ですね!」
「いやぁ、さすがA殿はお見通しであるな」
「ふふふ、そういえば先日福岡に行った際に太宰府天満宮で合格祈願をしてきたんですよ」
広報Aさんがおもむろにお守りを取り出した、まさにその時。
まばゆい光とともに空間が歪み、その中から人影が少しずつ近づいてくる。

徳川家光

「このパターンはもしかして」

三度目ともなれば慣れたもの、今度は誰がやって来るかと期待をこめて見守るAさん。
現れたのは平安貴族のような紫の束帯(そくたい)をまとった男性。
涼し気な目元には知性と気品が溢れており、ひと目で只者でないことが分かる。

あいた口が塞がらない家光をよそに、少々緊張気味に広報課Aさんが話しかける。
「わたくし目黒区広報課のAと申します。差し支えなければお名前をお伺いしても?」
「女子(おなご)が顔も隠さず、清げなる声で語りける、ここは桃源郷なりや?
麻呂は先の右大臣、菅原朝臣道真(すがわらのあそんみちざね)なり。ここはいづこか教えたもう」
「な、なんと!道真公。天神さまじゃ!A殿が天満宮からお連れしてしまったのか?」
「えー?私お守りをもらってきただけですよ。あの道真さん、ここは東京大学という学校の前です」
「学校?それにしては女子(おなご)もあり、みな貴族らしからぬ身なりであるな」
道真は周囲を見回し状況を理解しようと頭を巡らせた。
「見慣れぬ建物ばかりだが、唐(から)や天竺(てんじく)という訳でもなさそうじゃ」
「信じられないかもしれませんが、道真さんは千年以上の時を越えて来られたんです」
「ほう、日本書紀にある浦島子伝(うらしまこのでん)のようじゃ」
「浦島太郎のことですか?言われてみれば似てるかも」
その言葉を受け、独り言をつぶやきながら思索に耽る道真。
「実は、余も一足先に四百年前からやってきたお仲間じゃ」
先輩風を吹かせた家光の言葉は、道真の歓喜の声にかき消された。
「いとめでたし!(とても素晴らしい)」
その瞬間、粉雪の舞う曇天の空に一条の光が差し込み、
光は瞬く間に雲をかき消し澄み渡る晴天が広がった。

菅原道真

「学問を志す全てのものに幸あれ!」

状況整理と理解が追いついたのか、興奮気味にまくし立てる道真。
「麻呂は常日頃から貴族のための学問に疑問を抱いておった。
貴賤貧富や男女の差別なく、学びたいもの全てに学問の扉は開かれるべきだと
「はい!今の日本は誰でも教育を受ける権利があり、受けさせる義務があります」
「それは良き法であるな。ますます気に入った」
「余も今まさにこの国の最高学府の門を叩こうとしていたところでござる」
家光が得意気に取り出した受験票を見た広報課Aさんがあることに気付いた。
「あれ?家光さん、今日の試験会場、本郷キャンパスでは?」
「なんと!東京大学は駒場だけではないのか!」
「大変!急げばまだ間に合うかもしれません!早くタクシーで向かってください」
「うむ、その前にひとつだけお願いが、天神さまのお力でなにとぞ合格祈願を!」
「道真さんは現代の日本では天神さまという学問の神様として信仰されているんです」
「それはいとをかし、麻呂にそのような力があるか分からぬが」
そう前置きし、襟を正した道真が恭しく口を開く。
「学問を志す全てのものに幸あれ!」
「おお!ありがたや!これで合格間違いなしじゃ!」
そう言い残し家光は大慌てで駒場キャンパスを後にした。
「やれやれ、家光さん間に合うと良いけど。ところで道真さんはこれからどうします?」
「麻呂はこの時代にとても興味がある。遣唐使よりも多くの学びがありそうじゃ」
「学問の神様が現代の知識を得たらすごいことになりそうですね!」
菅原道真が遣唐使を停止したのは西暦894年の話、かくして目黒区に新たな住人が加わった。

ようこそ目黒区へ

受験生チャレンジ支援

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登場人物紹介

 

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広報課Aさん

目黒区役所の広報課で働く通称Aさん。
真面目で頑張り屋の彼女は、目黒区のPRのため北は駒場から南は大岡山まで東奔西走。
大鳥神社の神頼みによる不思議な力で、歴史上の偉人まで呼び寄せてしまう。

 

菅原道真

菅原道真

845年生(57歳)。
学問で朝廷に仕える家系に生まれ、5歳にして和歌を、11歳で漢詩を詠む。
宇多天皇の絶大な信頼を得て、学者としては異例の右大臣となったが、いわれのない罪で大宰府へと左遷される。
没後は長く学問の神様として信仰されている。
不思議な力によって現代の目黒区へ呼び寄せられ、学問を志す全ての人にエールを送る。

 

家光

徳川家光

1604年生(32歳)。
江戸幕府の第3代征夷大将軍。
武家諸法度の改定や参勤交代など一連の強権政策により、幕府の統治を盤石なものとした。
落語「目黒のさんま」に出てくる殿様のモデルともいわれ、
遠乗りの帰りに立ち寄った目黒でさんまを食して以来その虜に。
タイムスリップした現代の目黒の区民まつりの会場で義経と出会い、目黒区で暮らすことに。
サンマを守るため、海洋学を学びに大学を受験することに!

 

源義経

源義経

1159年生(26歳)京都出身。
鎌倉幕府初代将軍 源頼朝の弟で、幼名は牛若丸。
頼朝の平氏打倒の挙兵に応じ、数々の戦功を挙げる。
壇ノ浦の合戦の最中、不思議な力により現代の目黒区に出現。
Aさんの勘違いにより、中目黒夏まつりに飛び入り参加し、よさこいと阿波踊りを堪能。
戦争の無い現代の日本・目黒を大いに気に入り、Aさんの勧めで現代の目黒区で暮らすことに。
徳川家光の応援に応援団長として駆け付ける!

 

弁慶

武蔵坊弁慶

1155年生(30歳)。
巨躯と怪力が自慢の僧兵。五条大橋で義経に敗れて以来、義経の忠臣として最後まで仕えたとされる。
主人の義経とともに現代の目黒区に出現。
自由奔放な義経に振り回されながらも、現代社会に馴染もうと奮闘中。
警備のことなら任せろと、今回は現代の服装に身を包み、受験生を守ります。

 

企画・デザイン 目黒区広報課 大谷信広

イラストレーション 亀川秀樹

お問い合わせ

広報課 区報担当

ファクス:03-5722-8674