更新日:2025年4月16日

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元気なお店、活気ある事業所をご紹介します「ゼネラルボンド株式会社」

企業情報

所在地

東京都目黒区大岡山一丁目37番25号
ゼネラルボンドビル

代表取締役会長

後藤 栄太

問い合わせ

03-3718-6511

創業

1958年

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外観

 

接着剤製造からスタートし、建設物の補修補強分野へ

東急東横線都立大学駅から徒歩8分の閑静な住宅街の中にたたずむゼネラルボンドは、コンクリート建築物の調査から診断、改修、補強までを行う総合仕上工事の会社。ビルや公共建築構造物の補修や耐震関連で重要な役割を果たしている、補強のスペシャリストです。「簡単に言うと、壁などに入ったヒビを接着剤で埋めていく仕事ですね。父が創業して、その後を母が継ぎ、私で三代目。現在は長男に代替わりしています」とは、同社代表取締役会長の後藤栄太さん。

同社の創業は1958年。工業や土木建築向けの接着剤の製造、販売からスタートしました。それが社名の”ボンド”の由来というわけです。

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後藤 栄太 氏

「父が化学に詳しく、創業当初は水と混ぜてすぐに固まるセメントや水中接着剤等を自社開発していました。もともと土木建築を専門にしていたわけではありませんでしたが、日本の高度経済成長期と重なり土木建築関係の取引先が増え、その業界に進出していったわけです。当初はトンネルやダム等、土木関連の仕事が中心で、夜の仕事で危険を伴う作業に加え遠方の現場も多く、社員さんたちが疲弊してしまい、これらの仕事から撤退しました。また、その後、1978年に発生した宮城県沖地震で建物の被害が多く出たことから、接着剤の知見を活かして、建物の補修補強の分野に進出して、今に至っています。旧耐震基準のビルやマンションなどの大規模修繕、日常の雨漏り修繕のほか、鉄道の高架橋など主にコンクリート関連の補修をメインに手掛けています」

「ビルも年数が経つにつれて劣化していくので、一般的に12年から15年くらいごとに修繕する必要があると言われています。公共関連の土木構造体などは、50年を過ぎる建築物が急増し、今後その対策が急務となってきます。甚だ微力ながら、弊社の力を必要とする案件はまだまだ日本の各地にたくさんあると思います。
今年で設立68年目を迎えますが、これまで特別なことをやってきたわけではありません。ただそこに需要があった。これがこれまで続いた理由の一つですね。私は、父が早くに倒れたこともあり、若いときにこの会社に入りました。新しい建物を建てることは好不況に左右されがちですが、すでにあるインフラは壊さない限り増えていく。耐震補強ができるという点で、専門性を出せるかなと考えています。接着剤を使用した補修補強工法も増え、創業当初、接着剤を扱っていたことは今でも活きていますね」

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コンクリートをスキャンして内部の状況を確認

うまく継承するためにベテランが元気なうちにスイッチする

その一方で現在、同社が抱えている悩みの一つが技術者や職人の高齢化です。

「50代で若手という状況なので、人をこれからどうしていくかは大きな課題。弊社では今、最高齢の職人さんが77歳で一番元気。団塊世代も現役で頑張っています。ほかの業界ではあまり見られない光景かもしれませんね。ただ、これからが心配です」

後藤さん自身は2022年に第一線を退き、長男・達人さんに4代目を託していますが、そこには深い理由がありました。

「本人が社長をやりたいという意向があったのと、もう一つの理由が私の父が56歳で倒れ、60歳(当時、私27歳)で亡くなっていることです。ちょうどバブルと重なった時期でした。社長は今、33歳。スタッフの採用面で、これからの若い人に訴求していくには私では難しいと考えたのです。私は現在62歳になりますが、ベテランが元気なうちにスイッチしておかないと継承はうまくいかないと思うのです。私が代表を退くときにベテランスタッフも一緒に辞める、では何も残りません。幸い、私自身カラダは元気なので、未だ出来るという気持ちはあるのですが」

組織のあるべき姿を考えるきっかけになったのは、40代のときから参加している異業種交流会だったと言います。

「知り合いに誘われて、異業種交流会に参加しました。もともと口下手なタイプでしたが、異業種交流会では様々な年代の方々と話をすることが多く、会社の経営や運営面など肝心なことを突っ込んだところまで話ができるのがいいですね。その中で世代交代については、社長を交代したけれど、先代がずっと実権を握っているとの話をよく耳にします」

目下、同社にとって理想的な働き方改革についても思案中です。

「今、弊社では中堅世代が一番少ないのですが、ベテランと若手では考え方や価値観がまったく異なります。それなのに一つの規則で本当に対応することができるのか?と考えています。定年後のベテランスタッフ専用に、もう一つ別の会社をつくって世代によって会社を分けてもいいのではないか、とも考えています。建物の維持にはまだまだベテランスタッフの力が必要です」

現在、会長職にありますが、会社の経営や運営面などについて現社長の方針にはほとんど口出しをしないのも、後藤さんが貫いているこだわりでもあります。

「社長から聞いてこない限りは答えません。もちろん心配も多々あります。違う例え話になりますが、今ヒートショックが問題になっています。かつて子どもたちが真冬に部屋の中を薄着でガンガン暖房をつけて寝ていました。こちらとしては、もう少し温かい服を着て暖房を緩めれば省エネになると考えるじゃないですか。ところが、今では寒い部屋で過ごすこと自体がカラダの健康に悪く、室内は一年を通して一定に保つのが正しいとの考えもあります。考え方や価値観が大きく変わっているわけですから」

その一方で、長年拠点にしてきた目黒への想いもあります。

「現在では目黒はいろいろな人が住まう地域になっていて、本当の意味での地域密着はなかなか難しいところもあるなと感じています。ただ一つ思うのは、もし「東京で大きな災害が起きたとき」に被害規模が大きすぎては少なくとも発災当初は誰も助けてはくれません。だからこそ、地域で守っていかなければならないと考えています。その意味で、地元の基盤をしっかりしていきたいですね」

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補修後の鉄道高架橋  

お問い合わせ

産業経済・消費生活課 中小企業振興係

ファクス:03-3711-1132