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北朝鮮による日本人拉致問題とは (めぐろ区報 平成22年12月15日号に掲載した記事です)
北朝鮮による日本人拉致問題とは
もし、ある日突然、愛する家族や親しい友人が何者かに連れ去られ、何十年も自由を奪われたうえに、自らの意思に反して帰ることができないでいるとしたら、どのように思いますか。このような不条理なことが、許されていいはずはありません。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)による拉致問題は、重大な人権侵害であり、明白な犯罪行為です。
1970年代から80年代にかけて、多くの日本人が不自然な形で行方不明となりました。これらの事件の多くは、日本の捜査や亡命した元北朝鮮工作員の証言により、北朝鮮による拉致の疑いが持たれています。日本政府はこれまでに17人を北朝鮮による拉致被害者として認定していますが、このほかにも、いわゆる特定失踪者(民間団体である「特定失踪者問題調査会」が家族からの届け出などを受けて、独自に調査の対象としている失踪者。全国で400人以上、都内でも50人近くいると言われている)を含め、まだ多くの拉致被害者がいるものと見られています。
北朝鮮が日本人の拉致を初めて認めたのは、今から8年前の平成14年9月。同年10月には、5人の拉致被害者の帰国が実現しました。そして16年には、この5人の被害者の家族の帰国・来日も実現しました。
その後、18年には「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」が施行され、毎年12月10日から16日までが「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」と位置づけられるとともに、この問題に対する国と地方公共団体の責務などが定められました。しかし、帰国者以外の安否不明の拉致被害者については、北朝鮮から納得のいく説明がなされないまま、現在に至っています。
北朝鮮による拉致問題は、日本だけの問題ではなく、韓国をはじめ、タイ、ルーマニア、レバノンなどの国々でも起きています。国連では、拉致被害者の即時帰国を含め、問題を早急に解決することを強く要求する決議が毎年採択されており、国際社会全体の人権問題となっています。
被害者全員の一日も早い帰国に向け、この問題を風化させることなく、わたしたち一人ひとりが拉致という現実を胸に刻んでいくことが大切です。
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