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障害を知ること、理解すること (めぐろ区報 平成22年11月25日号に掲載した記事です)
障害をもたない人が、頭の中で障害を理解・想像することは簡単ではありません。
障害を実際に体験することもなかなかできませんが、例えば、目隠しをして道を歩いてみると、慣れ親しんだ道であっても、意外に歩くのが難しく怖いことが分かります。また、目の前の状況がはっきり見えても、話せない、聞こえない、コミュニケーションがとれないことのつらさ、もどかしさには想像以上のものがあります。
障害といっても、心臓やじん臓などの内部障害や知的障害、精神障害、高次脳機能障害、発達障害など、外見からはほとんど分からない障害も多く、障害があることに気づいたり、理解したりすることが難しい場合もあります。「障害は個性」ととらえる考え方がありますが、一方では、差別や偏見など、「個性的」では済まされない現実があります。
本当の「障害」は、障害をもっている人の身体や心にあるのではなく、むしろ、何の障害もなく見える人や聞こえる人、また、障害をもたない人中心のルールや、地域社会の現実の中にこそ、「さまたげ」として存在するのではないでしょうか。私たちの身近にある地域社会や学校、職場にそうした「さまたげ」がないかどうか、意識すること、分かろうとすることが大切です。
どこにどんな「さまたげ」があるのかは、なかなか気づきにくいものです。そこで、実際に障害をもつ人に聞いてみましょう。それまで全く考えてもいなかったことが分かるかもしれません。私たちが、日々何げなく暮らしている地域や、何の疑問もなく行っているルールが、実は障害をもつ人にとっては大きな「さまたげ」になっていて、そのことで不利益を被っている場合があるかもしれないのです。
障害をもつ人に対する支援施策は進んできていますが、改めて、だれもが生活しやすい環境や条件が整っているかを確認し、地域社会にある「さまたげ」を低くし、さらにはなくしていくようなシステムを作っていくことが必要です。それは、今障害をもっていない人にとっても有益なはずです。
12月3日から9日は障害者週間です。もう一度、私たちのふだんの生活や身の回りのことを見直してみましょう。
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