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5年目を迎える子ども条例 子どもの権利を尊重し子育ちを支える (めぐろ区報 平成22年6月15日号に掲載した記事です)
平成22年6月
国連で採択された「児童の権利に関する条約」(通称「子どもの権利条約」)が国際条約として発効してから20年が経過し、今では日本をはじめとする世界193の国や地域で批准されています。この条約では、子どもを保護の対象としてだけではなく、権利を行使する主体として見ており、参加の権利や意見表明権など新たな発想による規定が盛り込まれています。
また、国内では、12年に「児童虐待防止法」が施行されました。この法律では、学校や病院関係者などの虐待に対する早期発見の努力、発見時の通告、一時保護、立ち入り調査などが具体的に定められており、16年、19年には、通報義務の拡大、立ち入り調査の強化などの改正が行われました。
このように子どもの権利をめぐる法整備は、ここ10年ほどの間に進んできましたが、子どもへの虐待や体罰、子ども間でのいじめなど、子どもの権利への侵害は、依然として深刻な状態が続いています。特に子どもへの虐待については、児童虐待防止法施行後も増え続け、現在も連日のように報道されています。
一方、社会や家庭の中では、労働時間の短縮が進まず、大人たちは子どもと向き合うゆとりの時間を失いつつあります。また、多くの子どもたちは、塾通いなどで忙しく、子どもが子どもらしくのびのびと生きにくくなっています。ゆとりのない生活の中で、「夜眠れない」「イライラする」「朝、食欲がない」などの強いストレスを持つ子もいると言われています。
このような子どもを取り巻く環境や社会の変化に対応するには、大人は子どもを守り育てる「子育て」を行いながら、子ども自身が自分の力で考え行動し、経験を通して成長する「子育ち」を支えていくことが必要です。
区では17年に「子どもの権利条約」の理念を踏まえ、子どもの権利を大切にし、大人が協力して未来をつくる子どもを応援していくために「目黒区子ども条例」を制定しました。この条例の趣旨を生かし、大人は子どもと誠実に向き合い、その思いを受け止め、成長を支えるとともに、子ども自身が主体的に参加表現できる環境を整え、自立した責任ある社会の一員となるよう支援していきましょう。
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