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地震が起きたら
大規模な災害は、人命や財産を一瞬にして奪い、区民生活や都市機能、地域社会に重大な被害をもたらします。
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、災害関連死を含め6,432人もの尊い命が亡くなりました。2011年3月11日に発生した東日本大震災でも、災害関連死を含む死者・行方不明者は令和6年3月1日現在で22,325人と多数の方の尊い命が地震やそれに伴う津波の犠牲となり、現在も多くの方が避難生活を続けています。
また、令和6年1月1日に発生した能登半島地震では、地震の直接の被害により亡くなった方よりも、その後の避難生活等における身体的負担等による災害関連死として亡くなられた方が多い状況です。
このように、大規模な災害が発生した場合、その被害は広範囲かつ長期間に及びます。
今、東京で地震が起こったら……
令和4年5月に東京都防災会議が公表した被害想定のうち、目黒区の被害想定は以下のとおりです。
被害想定の前提条件
都心南部直下地震
震度6強(マグニチュード7.3)
冬の夕方
風速8メートル毎秒
晴れの日
建物の被害
地震の揺れなどによるものと、火災によるものがあります。被害を最小にするためには、耐震補強などの予防対策や初期消火などの応急対策が重要です。
| 区内の建物総棟数 |
55,891棟 |
| 全壊棟数 |
1,827棟(区内建物総棟数の3.2パーセント) |
| 半壊棟数 |
4,551棟(区内建物総棟数の8.1パーセント) |
| 焼失棟数 |
4,426棟(区内建物総棟数の7.9パーセント) |
|
エレベーター閉じ込め件数 |
551台 |
人の被害
火災や家屋の倒壊などによる死者やケガなどの被害です。家具の転倒防止や家屋の耐震補強などの予防対策で被害を少なくすることができます。
| 死者数 | 161人 |
| 負傷者数 | 2,064人 |
| 帰宅困難者数 | 58,466人(23区全体では3,675,733人) |
| 一時的な避難者数 | 71,172人 |
| 避難生活者数 | 47,448人(全区民の17.0パーセント) |
ライフラインの被害
水道、電気、ガス、電話などのライフラインが被害を受ければ、いつもの生活は続けられなくなります。家庭や職場での備えが必要です。
| 水道断水率 |
25.2パーセント
|
| 下水道管被害率 |
6.5パーセント
|
| 停電率 |
15.7パーセント
|
| ガス供給停止率 |
47.3パーセント
|
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固定電話不通率 |
8.1パーセント |
| 震災廃棄物 |
69万トン
|
過去の災害の被害の内訳
阪神・淡路大震災により亡くなった方のうち、当日の午前中(地震は明け方に発生)に亡くなられた方は4,461人で全体の約7割を占めています。
また、全体の中での主な死因は2階建て木造家屋の1階部分の崩壊、家具類の倒壊などによる窒息・圧死で4,224人もの方が亡くなられています。
このことは、揺れはじめから揺れが収まるまでの時間帯が一番危険であること、逆にこの時間帯をケガをせずに生き延びることができれば、命の危険性はかなり低くなるということを示しています。
そして、この一番危険な時間帯については自分で自分の身を守る「自助」でしか自らの命を守ることはできないということを認識していいただき、日ごろから家の内外の点検や備えをしてください。
まずは自分の身を守る
屋内では
テーブル・机などの下に身をふせ落下物や飛散物から身を守りましょう。身を伏せる際には、テーブル・机などの脚を両手でつかみ、テーブル・机の転倒などによってケガをしないように注意しましょう。
次に、揺れが収まってから、火の始末、窓や戸を開け出口の確保をしましょう。あわてて外に飛び出さないようにしてください。
地震が起きた時にも屋内で身を守るには、日ごろから家具の固定などの備えが大切です。自宅内の安全対策については、「家具類の転倒・落下・移動防止対策をしましょう」をご覧ください。
屋外では
倒れやすいブロック塀や自動販売機から離れてください。また、看板やかわら・ガラスの飛散などに注意しましょう。
揺れが収まったら火の始末
初期消火
揺れを感じたら、まずは身の安全を確保しましょう。無理をして火を消そうとすると、やけどなどの怪我につながります。揺れがおさまってから落ち着いて消火しましょう。
消火する際には、ご家庭で備えている消火器だけでなく、区が設置している街頭消火器も活用してください。
街頭消火器の設置や使用方法については「街頭消火器」をご覧ください。
訓練への参加
消火器などの備えだけでなく、地域や区が実施する防災訓練などに参加して、実際に消火器の扱い方を確認しておきましょう。
区が実施する防災訓練に関しては「防災訓練」をご覧ください。
地震が発生した後の行動
自宅の安全
家屋の点検・避難方法の判断
ガラスなどの破片でケガをしないように注意しましょう。家屋の被害状況を確かめて家が安全かどうかを冷静に判断して余震に備えましょう。
東京都では、自宅で安全に過ごせる場合は引き続き自宅で生活する在宅避難を推奨していますが、自宅で安全に過ごすのが難しいと判断した場合は、安全に気を付けながら、避難所へ移動することも選択肢の一つです。
在宅避難については、「在宅避難とその備え」をご覧ください。
電気火災の対策
地震による停電後の復旧に伴い、散乱した室内で電気ストーブや照明器具、破損した電気配線や電化製品に再通電し、火花等が近くの可燃物に着火し、電気火災が起こる場合があります。
目に見える被害に関わらず、避難などの理由で自宅を空ける場合は、ブレーカーを落としましょう。
また、電気火災の防止には、感震ブレーカーの設置も有効です。感震ブレーカーについては、「地震による電気火災には、感震ブレーカーが有効です」をご覧ください。
地域での協力
共助
災害時においては、自助・公助のみでなく、隣近所で協力し救出・救護・初期消火を行う共助はとても重要です。近くに高齢者や障害のある方などがいる場合は、自分の身の安全が確保できた後に、地域で協力して安否の確認をしましょう。
初期消火
大きな地震がおきたときは、同時に多数の火災が発生することが予想され、消防署による早急な消火・救助活動ができない可能性があります。火が小さいうちに消火することは、自己の財産だけでなく地域全体を守ることにつながります。
自分の身は自分で守る、自分たちのまちは自分たちで守るという意識で行動しましょう。
発災後に守っていただきたいこと
車を使用した移動の影響
阪神・淡路大震災の時、幹線道路は倒壊家屋などの影響だけではなく、自動車の集中により道路が渋滞してしまいました。この渋滞により、人名救助のための資機材や救助隊員の輸送車両、救助した人を乗せた緊急車両でさえも、先に進むことが出来ず、結果的に多くの命を失うこととなりました。
震災時の被災地内からの移動目的は、(1)安否確認(2)避難(3)食料調達(4)水の調達(5)救助救援(6)出勤(7)医療関連(8)見舞いの順番となっています。
災害時にとっていただきたい行動
安否確認・見舞いについては、徒歩で行うようにしてください。徒歩では困難な距離へ車を利用して移動する場合は、救助活動に影響が出る、発災直後の数日は我慢してください。
避難については、徒歩で行ける範囲の避難所へ避難してください。また、様々な理由で徒歩での避難が難しい場合や、自宅が安全な場合は在宅避難も検討してください。なお、避難所には駐車スペースはなく、避難所で車中泊をすることはできません。
食料調達・水の調達については、発災時に備えて各ご家庭で最低3日、7日分を目標に備蓄をするとともに、物流の回復までは、市区町村の備蓄品の配給も併せて利用してください。
緊急車両を優先するため車は絶対に使用しない
阪神・淡路大震災の時も、むやみに車で移動をせず、待機や協力をしていただければ、もっと多くの方の救助が可能となった可能性があります。
渋滞により移動が出来なくなる緊急車両は、自分の家族を乗せた救急車や、自分の家族を救助するための車両かもしれません。
大震災で都市機能が麻痺している状況では、自動車の利用は絶対に控えてください。多くの方の命がかかっています。
初期消火の重要性
令和4年5月に東京都防災会議が公表した都心南部直下型地震の被害想定によると、目黒区内の出火件数は14件と想定されています。
また、この14件の出火からの延焼により、最終的に4,426棟の建物が焼失し、これは区内建物棟数の7.9パーセントに及びます。更に、ここで想定されている死者数161人のうち、火災によってなくなるかたは94人とされており、焼失棟数や火災による死者数に対する割合から見ても、火災の発生を防ぐことは肝要であり、特に初期消火の重要性がうかがえます。
大規模な地震が発生したときには、同時に多発する火災・家屋倒壊・多数の負傷者に加えて、障害物や事故による道路閉塞なども予想され、区役所だけでなく、消防署・警察署においても充分な消火活動・救助活動を行える状況にはありません。
「火を出さない」ことが「自分たちのまちを守る」一番の方法であることは間違いありません。
万が一、出火してしまったときにも、早めの消火で延焼を防ぐことができます。
各ご家庭における初期消火の備えや、地域における防災区民組織や消防団への参加と協力をお願いします。
まとめ
地震が起きたら
- テーブルや机の脚をつかんで下にもぐり、身を守る
- あわてて外に飛び出さない
- 屋外では塀や自販機の倒壊・転倒や落下物に注意する
- 火の始末は揺れが収まってから
大きな揺れが収まったら
- 火の始末を行う
- 出口の確保
- 家屋を点検し、今後の過ごし方・避難方法を冷静に判断する
- 避難等で家を空ける際にはブレーカーを落とす
- 自分の身の安全が確保出来たら、高齢者や障害のある方などの災害要援護者を守る
- 隣近所で協力して初期消火などを行い、地域の安全を確保する
- 特に発災直後の移動には、車は絶対使わない
被害を最小限にするために重要なこと
- 区民の皆さま一人ひとりに「自助」の意識を持っていただくこと
- 地域の皆さまの「共助」による相互救助・初期消火活動
- 災害時の移動に車を使用しないこと
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