ここから本文です。
ちょっと待って!お肉の生食
近年、SNSなどで「ユッケ」「牛刺し」「鶏刺し」など、生または生に近い状態の肉料理が話題になることがあります。しかし、お肉を生のまま、あるいは十分に加熱せずに食べることは、食中毒を引き起こすおそれがあり、大変危険です。特に、子どもや高齢者など抵抗力の弱い方は重症化しやすく、最悪の場合、命に関わることもあります。「新鮮だから大丈夫」「これまで食べても平気だったから」といった思い込みが、重大な健康被害につながる可能性があります。正しい知識を身につけ、食中毒を予防しましょう。
なぜお肉を生で食べると危険なの?
牛、豚、鶏などの動物の腸管内には、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター、サルモネラ属菌、E型肝炎ウイルスなどの病原微生物が存在しています。と畜や加工の過程で、これらの病原微生物が食肉や内臓に付着することがあるため、生または加熱が不十分な状態で食べることは、食中毒のリスクを非常に高めます。
どのような食中毒の危険性があるの?
牛肉
牛肉には、腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌、カンピロバクターなどが付着している可能性があります。腸管出血性大腸菌に感染すると、激しい腹痛、下痢、血便などの症状が現れ、重症化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を引き起こし、命に関わることもあります。
法令による規制
- 平成23年10月から、基準に適合しない生食用牛肉の取扱いは法律で禁止されています。
基準を満たす場合に限り、「ユッケ」「たたき」「牛刺し」などの提供が認められています。ただし、基準を満たしていても、子どもや高齢者などの抵抗力の弱い方は、生肉の喫食を避ける必要があります。 - 平成24年7月から、牛の肝臓(レバー)を生食用として販売・提供することは法律で禁止されています。
関連するページ
豚肉
豚肉には、E型肝炎ウイルス、サルモネラ属菌、カンピロバクターなどが付着している可能性があります。E型肝炎ウイルスに感染すると、発熱、腹痛、黄疸などの症状が現れ、最悪の場合、命に関わることもあります。
法令による規制
平成27年6月から、豚肉や豚の内臓を生食用として販売・提供することは法律で禁止されています。
関連するページ
鶏肉
鶏肉には、カンピロバクターやサルモネラ属菌などが付着している可能性があります。カンピロバクターに感染すると、ギラン・バレー症候群などの重い神経障害を引き起こすことがあり、入院が必要になる場合もあります。
法令による規制
現時点では生食に関する法令による規制はありません。しかし、生または加熱が不十分な鶏肉料理(鶏刺し、鶏のたたき、レアな焼き鳥など)によるカンピロバクター食中毒が多発していることから、鶏肉を生または加熱が不十分な状態で提供することの自粛を指導しています。
関連するページ
ジビエ(野生鳥獣肉)
ジビエは、E型肝炎ウイルス、腸管出血性大腸菌、寄生虫など多様な病原微生物に汚染されている可能性があり、食中毒のリスクが高いとされています。
法令による規制
現時点では生食についての法令による規制はありません。ただし、ジビエは家畜(牛、豚、鶏)と異なり飼養管理されていないため、どのような病原微生物を保有しているか分からず、加熱が不十分な肉や内臓の喫食は非常に危険です。そのため、生または加熱が不十分な状態で提供することの自粛を指導しています。
<ジビエとは>シカ、イノシシなど、狩猟の対象となり食用とされる野生鳥獣やその肉のことを指します。
関連するページ
食肉を安全に食べるためには?
中心部まで十分に加熱調理を行えば、食肉に付着した病原微生物は死滅し、安全に食べることができます。法規制の有無にかかわらず、生または加熱が不十分な食肉を食べることは、腸管出血性大腸菌やカンピロバクターなどによる食中毒のリスクを伴います。飲食店などでは、生やレアな状態で提供される肉料理は避け、中心部までしっかりと加熱されたものを選びましょう。特に、子どもや高齢者など抵抗力の弱い方は重症化しやすく、最悪の場合、命に関わることもあるため、慎重な判断が必要です。安全のためには、「十分加熱された食肉」を選びましょう。
お問い合わせ
生活衛生課 食品衛生係
電話:03-5722-9506
ファクス:03-5722-9367