ここから本文です。
ひとめぐり「五本木小学校主任教諭 鈴木陽子さん」(令和3年9月15日号)
ひとめぐりは、目黒区で活躍するかたにスポットを当てて紹介する、めぐろ区報の連載記事です。
また、紙面で掲載しきれなかったインタビューを動画でもお楽しみいただける、ひとめぐりmovieも掲載します(動画のない記事もあります)。
令和3年9月15日号 vol.2
五本木小学校主任教諭 鈴木陽子(すずき ようこ)さん
プロフィール
東京都生まれ。都内の小学校、中学校教諭を経て、現在は目黒区立五本木小学校の図画工作専科教員。小学校学習指導要領解説図画工作編作成協力者(平成20年)、小学校図画工作教科書の著者などとして、美術教育の発展に努める。
「図工を通して豊かに想像をたなびかせてほしい」
図工の魅力は、思ってもみなかった自分と出会うこと
図工は「自ら作り出す喜び」を感じながら、表したり、見たりすることを通して、「思ってもみなかった自分と出会うことができる」と思います。私は、図工を学ぶことの大切さは何か、いつも子どもたちと一緒に考えています。図工の知識は、自分の感覚や行為を通して分かるのです。だから、子どもたちが材料や用具に働きかけながら「私はこの色が好き」「この形面白い」「どう組み合わせようか」と試行錯誤する図工の時間を大切にしています。その中から、自分の新しい一面に気付くきっかけになってくれたらと思います。
2019年に開催された五本木小学校での展覧会の作品
いろいろな出会いから広がる、深まる学び
授業では、いろいろなモノに触れ、学び、見方を広げていくプロセスを大切にしています。
以前から、自分たちの住んでいる大地を感じる授業をしたいと考えていました。そこで山形の枝豆農家のか
たの協力のもと、栄養教諭と一緒に実践したのが、土を絵の具にして表現する「大地のおくりもの」という授業。授業で使う土は、子どもたち自身で集めてもらうことに。しかし、目黒ではアスファルトや人工芝が多くて、土が集められないということに、子どもが気付いたのです。それでも祖父母の家の土など、70種類の土をみんなで集めました。集めた土は天日干しして、ふるいにかけて、瓶に入れ、見比べました。子どもたちから「なぜ土はみんな色が違うのだろう」という問いが生まれました。土をのりで溶き、絵の具にして描いてみました。中には作品のタイトルに「大地はなぜ命を生み出すのだろう」とつけた子がいて、表す過程で新しい見方や問いが生まれたことに驚かされました。子どもたちの問いからも共に学ばせてもらうことばかりです。
一人ひとりの持つ「良さ」を大切にしてほしい
図工に、うまい、下手はありません。失敗しても大丈夫、失敗したらほかの方法を考えて作り直すことで新しい発見があります。子どもたちの持って生まれた「良さ」は一人ひとり違います。自分の感じ方、考え方を大切にしてほしいと思います。子どもたちが、心と体をいっぱいに働かせて、面白さ、不思議さ、美しさ、神秘さなどに目を見張り、想像をたなびかせている人に成長してほしいと心から願っています。
お問い合わせ
広報課 (区報担当)
電話:03-5722-9486
ファクス:03-5722-8674