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「自殺の防止」を考える (めぐろ区報 平成22年1月25日号に掲載した記事です)
昨年末、内閣府から出された21年度版自殺対策白書によると、全国の自殺者数は3万2千249人で、11年連続で3万人を上回りました。自殺者数は、性別では、男性が女性の2倍を超えており、年齢別では、45歳から64歳の層が多くなっています。原因・動機別の自殺者数(複数回答)を見ると、約半数が「健康問題」で、以下「経済・生活問題」「家庭問題」「勤務問題」「男女問題」「学校問題」の順となっています。
自殺に至るまでの状況はさまざまですが、個人的な問題としてのみとらえられるべきものではありません。多くの場合、失業・倒産・多重債務・長時間労働といった社会的要因に加え、健康・性格傾向など個人的要因を含めた多様な要因が複雑に関係して、心理的に追い込まれた末の結果であり、自殺にはさまざまな人権上の課題が背景にあることがうかがえます。
また、自殺は自殺者個人だけの問題にとどまらず、残された家族や周囲の人々にも大きなダメージを与えます。
このように、自殺には社会的な要因があることを踏まえ、自殺をなくしていくためには、社会全体で取り組んでいかなければないことから、18年には自殺対策基本法が制定されました。
自殺対策基本法では、自殺対策を総合的に推進して自殺防止を図り、併せて自殺者の親族などへの支援を充実していくことなどが定められています。
対策の具体的な内容としては、自殺は防ぐことができるという観点から、制度・慣行の見直しや相談・支援体制の整備といった社会的な取り組みを行う一方で、自殺者の多くが自殺の直前に、うつ病などの精神疾患を発症している可能性があることから、適切な治療による自殺予防が挙げられています。
しかし、実際は、自殺を図った人が精神科医などの専門家に相談している例は少ないと言われています。
家族や職場の同僚など身近な人は、自殺のサインに気付いたときは、専門家への相談を促すなどの自殺防止への取り組みが求められます。
一人ひとりが命の大切さへの理解を深めるとともに、自らの心の不調や自殺を考えている人のサインに気を配り、自殺を未然に防ぐことが大切です。
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