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認知症の人の気持ちを理解する (めぐろ区報 平成21年7月25日号に掲載した記事です)
平成21年7月
6月22日の夕刻、営業の終了した区内の金融機関支店で、職員を対象に「認知症サポーター養成講座」が開かれました。この講座は、認知症について正しく理解し、地域の支え合いで認知症の人の尊厳ある暮らしを守っていこうと全国で実施されているものです。今回は、同支店からの申し込みにより、区の包括支援センターの出前講座として開催されました。
区内の金融機関では初めて開催されたこの出前講座では、講義の後、日常業務で認知症と思われる高齢者と接する場面が多くあること、心配なケースなどがあれば包括支援センターと連携して対応していくことなどが話し合われました。
認知症は、かつては「痴呆(ちほう)」と呼ばれ、記憶障害などで「本人は何もわからなくなっている」と受け止められていました。しかし、近年、医学的な進歩とともに、認知症のかた自身の発言も多く聴かれるようになり、記憶や認知機能の衰えに強い不安を抱き、だれよりも苦しみや悲しみを感じているのも本人であることが明らかになってきました。
また、物取られ妄想、徘徊、攻撃的な言動などの症状についても、かつては「問題行動」と呼ばれていましたが、最近は、認知症という病気が引き起こしている症状として「周辺症状」や「行動・心理症状」と表現されています。この症状の背景には認知機能の障害に伴う不安感や焦燥感があること、また、徘徊といった一見無目的と思われる行動にも、その人なりの理由があることが分かってきました。
このように、認知症についての見方は、近年、大きく変わってきました。認知症になっても、周囲の理解と支えがあれば、穏やかに暮らしていくことが可能です。そのためには、地域のあらゆるところに、「認知症サポーター」をはじめとする認知症を理解し、認知症のかたを温かく見守る人々が数多くいることが必要です。
区では、今後もさまざまなかたを対象に認知症サポーター養成講座を開催し、認知症に対する正しい知識の普及啓発に積極的に取り組んでいきます。認知症になっても、人権が尊重され、穏やかに安心して暮らせるまちづくりを進めていくことが求められています。
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