更新日:2015年12月16日

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区内の活気ある事業所をご紹介します 第4回「株式会社フィーゴ」

卓越した彫金技術を誇るジュエリー工房

所在地

目黒区緑が丘三丁目8番8号

代表取締役

坂元 亞郎(つぎお)氏

電話番号

03-3729-2082

ホームページ

ジュエリー工房フィーゴ


株式会社フィーゴの坂元代表取締役

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「現代の名工」の技を見学できる貴重な工房

東急大井町線・緑が丘駅から歩くこと約5分。大通りに面した建物の1階にジュエリー工房フィーゴがあります。建物の前面はガラス張りで、日差しの差し込む工房内はとても明るい雰囲気。外からでも職人さんたちの仕事ぶりを見ることができます。「たくさんの方々にジュエリーをもっと身近に感じてほしいと思い、あえて『見える工房』にしています」と語るのは工房を運営する株式会社フィーゴの代表取締役を務める貴金属技能士の坂元亞郎さん(74)です。坂元さんは、卓越した彫金技術・貴金属細工加工技術で知られ、2004年には「現代の名工」(卓越技能者)に選出され、2006年には黄綬褒章を受章した実力の持ち主。そして同社の副代表で約55年来、坂元さんとともに第一線で働いてきた貴金属技能士の梶原昭雄さんも同じく「現代の名工」であり、黄綬褒章の受章者。現代の名工と黄綬褒章受章者が2名、貴金属技能士が計4名も在籍する工房は、全国でもフィーゴだけということです。名職人の技が身近に見られるとあって、フィーゴには国内外のジュエリー業界関係者はもちろん、近隣の小学校の子どもたちも見学にやってくるそうです。


株式会社フィーゴ社屋外観

幻の彫刻技術「粟穂の技」を再興


粟穂の技で作られたブローチ

坂元さんは、1941年(昭和16年)東京生まれ。父の家系が代々刀装具職人だったこともあり、彫金技術を身近に見て育ったそうです。高校卒業後は当時すでにジュエリー業界の老舗として知られていた御木本真珠店(現株式会社ミキモト)に入社、現在も一緒に働く梶原さんとは同期入社でした。「もともとは技術部配属で生産ラインの改良などを担当していたのですが、職人の皆さんの仕事を見ているうちに自分でもやってみたくなって、制作の道へ進みました」と坂元さん。その後はめきめきと腕を上げ、昭和天皇のカフスボタンや皇后のブローチなどの制作を担当、1974年にはローマ法王の十字架飾りの制作も手掛けたそうです。「ミキモトでは本当に様々な仕事に挑戦させてもらうことができました。ただ、長く働いているうちに、次第に日本のジュエリー業界の状況に危機感を抱くようになってきました。海外ブランドが日本にどんどん進出してきて人気を博するようになると、日本のジュエリーメーカーがこぞって外国製品を模した製品を作るようになってきたからです。外国のマネばかりしていては、日本独自の技術が廃れてしまいます。日本人にしかできない技で世界に日本のジュエリーの素晴らしさをアピールすべきだと思うようになりました」と坂元さんは振り返ります。
そこで自らも日本独自の技を高めようと挑んだのが、明治の初めに途切れたままになっていた幻の彫金技術「粟穂の技」の再興です。「粟穂の技」はたがねによる彫金技法。文字通り粟の穂のような繊細な凹凸を地金に掘っていくもので、1平方センチメートル分を彫るのに3日はかかるという、大変細かくて根気のいる技術です。坂元さんは江戸時代の名人が遺した粟穂の作品を参考に3年間にわたって試行錯誤を重ね、1975年、ついに「粟穂の技」の再興に成功しました。


製作実演中の坂元氏

 

ジュエリーを身に付ける喜びを1人でも多くの方に…


工房内の様子

その後、独立して仲間と会社を設立、様々な製品を手掛けて自らの技を磨くのと同時に、坂元さんは後進の育成にも尽力。これまで数百名を指導してきました。
そんな坂元さんが憂慮しているのが、近年、ジュエリー制作の現場で極端な分業化が進んでいることです。「分業すると確かに効率はよくなるのですが、腕のよい職人は育ちません。デザイン、彫り、磨きなどジュエリーづくりの工程を最初から最後まで一人でこなしてこそ一人前の職人。1つの工程だけをずっと繰り返していては、自分の作品を作りだすことはできないのです。もちろん、昔のように親方が徒弟制度のような形で弟子を一人前になるまでじっくりと育てる…ということは今の時代にはなかなかできません。でも何とか知恵を絞って若い人を育てていかないと、せっかく長い年月をかけて育まれた日本の技が絶えてしまいます。私も微力ながら自分の技術を若い人に引き継いでいきたいですね」。坂元さん自身にもまだまだ取り組んでみたい仕事がたくさんあるといいます。「これからも引き続き、お客様に喜ばれるもの、よいものを作り続けたいと思います。そして一人でも多くの方にジュエリーに興味をもち、ジュエリーを身に付ける喜びを知っていただきたいですね。工房では見学も歓迎します(要電話予約)。ぜひお気軽にお立ち寄りください」。

お問い合わせ

産業経済・消費生活課 中小企業振興係

ファクス: 03-3711-1132

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