更新日:2015年6月16日

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区内の活気ある事業所をご紹介します 第1回「富士精器」

2014年タイに現地法人設立。「富士精器株式会社」

所在地

目黒区碑文谷一丁目12番15号

代表取締役

藤野 雅之

電話番号

03-3715-5401

ホームページ

富士精器株式会社


富士精器株式会社の藤野社長

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高度な切削加工技術で世界へ

目黒区碑文谷に本社・工場を構える富士精器株式会社。昭和11年(1936)に電気部品の機械加工を手掛ける個人事業として創業、戦時中は戦闘機「隼」で知られる中島飛行機の直属工場となり、戦後は自動車部品の製造で成長を続けてきました。80年代にはNC旋盤(注1)を導入し、多品種小ロットの精密機械部品製造へと方向転換。以来、高度な切削加工技術を強みとして鉄道、船舶、自動車のほか半導体や医療、産業用ロボットなど幅広い分野で精密機械部品のOEM製造・販売を行っています。「旋盤加工というと輪切りにした素材を加工するのが一般的ですが、当社は棒材から加工するのが特徴です。NC旋盤やマシニングセンター(注2)などの金属切削加工機を駆使し、ミクロン単位の精度が要求される精密機械部品の製造を行っています」と三代目社長の藤野雅之さん。「最も得意とするのはステンレスの一種・SUS316など、難削材の加工で、年間500アイテム以上の製造を手掛けています」。
2014年11月には初めての海外拠点をタイに設け、本格的に海外進出の第1歩を踏み出しました。「当社はOEM生産が100パーセントです。供給先の企業が国内よりも海外で売上を伸ばしつつある今、私たちもそれに合わせた体制を整えることが、喫緊の課題でした」と藤野社長。「従来の国内向けだけの商売では、行き詰ってしまうのが目に見えています。そこで、海外では汎用性の高い大量生産型の商品を製造し、国内では高度な技術を要する多品種小ロットの製造を手掛ける…といった具合に経営を2極化させるべく、舵を切りました」。将来はタイを拠点に東南アジア各地の顧客に部品を供給する体制を整えられるよう、準備を進めています。


工場内の様子

(注1)旋盤に数値制御装置を取り付け、刃物台の移動距離や送り速度を数値で指示できるようにしたもの
(注2)自動工具交換機能をもち、目的に合わせてフライス削り、穴あけ、ねじ立てなど複数の加工を1台で行うことができる数値制御工作機械

「モノづくりは人づくりから」 問題発見型人材の育成を目指す


企業理念・経営理念・行動指針

富士精器の成長を支えるのは、現状に満足せず常に「改善」を心がける企業風土です。
月に1度は品質会議を開き、社員全員で工程の確認、問題点の発生要因分析や改善につなげています。「トップダウンではなく現場社員からのボトムアップで改善活動に取り組む姿勢を大切にしています。例えば以前、不良品が急増したときには社員から行動指針が提案され、不良品低減に成功しました。今ではその行動指針は弊社の社是となっています」と藤野社長。その行動指針とは(1) RESPECT(他の人の思考、感情、経験に敬意を払います)(2) REAL(本音で意見を出し合って最善の道を導き出します)(3) RELATIONSHIP(よりよい人間関係づくりに注力します)。会社からの命令ではなく、自らが考案した指針だからこそ、社員は積極的にこの指針を遵守、品質だけでなく現場の雰囲気も大きく改善されたと言います。「いくら機械化が進んだとはいえ、モノづくりの基本は人づくりです。人材育成こそが企業の成長・存続のカギであることを私自身、社員に教えてもらいました」という藤野社長は、数年前から土曜日に社内講習会「富士学校」を開講。社員の未来を見据えた人づくりに取り組んでいます。富士学校ではベテラン社員が講師となって機械設備の操作技能や難削材の加工技術を若手社員に継承。休日返上にもかかわらず若手社員が積極的に自主参加し、熱心に技術習得に取り組んでいます。藤野社長曰く、「若手に触発されてベテラン社員のモチベーションもUP。相互啓発によって現場に思わぬ相乗効果を生んでいるようです」。


製品の検品作業

 

事業継続を支える、「世のため、人のため」の精神


製作工程の様子

もう一つ、富士精器が代々大切に受け継いできたのが、「世のため、人のため」の精神。「私たちがこの地で商売ができているのは、ご近所の皆様のご理解があってこそ。だから町内会の仕事やPTAの活動など、どんな小さなことでも地域に関わることなら、喜んでさせていただいてきました」。15年ほど前からは、区内の小学校から工場見学の受け入れを開始。現在では7校の子どもたちが、毎年見学に来るようになりました。「見学に来た子どもたちには、ぜひモノづくりの楽しさ、素晴らしさを感じてほしいと思います。そして将来、この分野に進みたいと思ってくれたら、嬉しいですね」と藤野社長。工場見学の受け入れには、思わぬ「ご褒美」があったそうです。「見学に来た子どもたちと後日、路上で出会うと『あ!富士精器のおじちゃんだ!』って言われたり、工場の前を通りかかった子どもが、母親に『この間、ここで大きな機械を見たんだよ』と説明していたりするのを見聞きすると、本当に嬉しいですね。地域の皆さんに我々の仕事を知っていただき、受け入れていただくことができるよう、これからも地域貢献・交流に努めたいと思っています」。

お問い合わせ

産業経済・消費生活課 中小企業振興係

ファクス: 03-3711-1132

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