家庭でできるノロウイルスの消毒方法

ノロウイルスは、ヒトの腸管内で増殖し、食中毒や感染性胃腸炎の原因となる非常に小さなウイルスです。感染力が非常に強く、わずか10〜100個程度のウイルスでも感染することがあります。感染者の嘔吐物や便には大量のウイルスが含まれているため、これが手指や調理器具などを介して食品に付着することで、食中毒を引き起こす場合もあります。ノロウイルスを完全に失活化する方法としては、次亜塩素酸ナトリウムや加熱による処理があります。

調理器具・食器などの消毒

洗剤などで十分に洗浄した後、0.02パーセント濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液に漬け込むか、ペーパータオル等に溶液を含ませて拭き取ります。また、加熱可能な器具については、85度以上の熱湯で1分以上加熱する方法も有効です。

（注意）次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食するため、金属部分を消毒した後は、薬剤を十分に拭き取ってください。

調理台・蛇口・引き出しの取っ手などの消毒

0.02パーセント濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液を含ませたペーパータオル等で浸すように拭き取ります。

（注意）次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食するため、金属部分を消毒した後は、薬剤を十分に拭き取ってください。

嘔吐物・ふん便の処理

嘔吐物やふん便の処理は、処理者自身の感染予防と、家庭内への汚染拡大を防ぐため、適切かつ迅速・確実に行うことが重要です。

1. 使い捨て手袋、マスク、エプロン、拭き取り用の布やペーパータオル、ビニール袋、0.1パーセント濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液を準備します。
2. 処理者は、使い捨て手袋、マスク、エプロンを着用します。
3. 嘔吐物やふん便は、布やペーパータオル等で外側から内側に向かって静かに拭き取り、拭き取り面を内側に折り込むようにします。
4. 使用した布やペーパータオルは、すぐにビニール袋に入れて処分します。可能であれば、袋内に0.1パーセント濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液を染み込む程度入れて消毒してください。
5. 嘔吐物やふん便が付着していた床とその周囲を、0.1パーセント濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液を含ませたペーパータオルや雑巾で覆うか、浸すように拭きます。金属部分は腐食の恐れがあるため、10分程度経過後に水拭きしてください。
6. 使用後の手袋やエプロンは、表面を内側に包み込むように裏返して外し、4と同様に処分します。
7. 処理後は、石けんで手洗いをしましょう。

（注意）処理中および処理後は、窓を大きく開けるなどして換気を行い、換気設備がある場合は必ず運転させてください。

消毒液の簡単な作り方

消毒液（次亜塩素酸ナトリウム溶液）は、塩素系漂白剤等を希釈して作ります。ただし、製品によって原液濃度が異なるため、使用前に表示をよく確認してください。ここでは、塩素系漂白剤の原液濃度が 5パーセントから6パーセントの場合における、消毒液の簡単な作り方をご紹介します。

調理器具・食器・調理台・蛇口などの消毒

0.02パーセント濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用します。

2リットルのペットボトル1本の水に、10ミリリットル（ペットボトルのキャップ2杯）の塩素系漂白剤を入れます。

嘔吐物・ふん便の処理

0.1パーセント濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用します。

500ミリリットルのペットボトル1本の水に、10ミリリットル（ペットボトルのキャップ2杯）の塩素系漂白剤を入れます。

2リットルのペットボトル1本の水に、40ミリリットル（ペットボトルのキャップ8杯）の塩素系漂白剤を入れます。

使用するときの注意事項

• 手指の消毒には絶対に使用しないでください。
• 使用する際は十分に換気してください。
• 有害ガスが発生するため、酸性のものと混ぜて使用しないでください。
• 汚れが残ったまま使用すると効果が弱まります。できるだけ汚れを落としてから使用してください。
• 漂白作用があります。容器の使用上の注意を確認してください。
• 商品により塩素濃度が異なるので表示などを確認してください。

保管するときの注意事項

• 希釈したものは時間が経つと効果が減っていくので、その都度使い切りましょう。
• 希釈したものをペットボトルで保管するときは、誤飲しないよう、容器に目立つように薬品名や濃度を記入しておきましょう。
• 原液、希釈液ともに、アルミホイルなどで包んで光を遮り、直射日光の当たらない場所で保管しましょう。
• 危険なので、子どもの手の届かないところに保管しましょう。

関連するページ

• 社会福祉施設等におけるノロウイルス対応標準マニュアル（東京都保健医療局）
• ノロウイルスに関するQ＆A（厚生労働省）